【NBA】優勝への方程式?セオリー?過去優勝チームの成績・スタッツを見て考える“優勝への法則”。
2023レギュラーシーズンも3分の1が過ぎまして。
序難圧倒的な強さを見せていたチームに些かの陰り、出遅れた優勝候補の巻き返し、躍進が期待されたチームの失望等々、多くのドラマが生まれております。
NBAファイナルが行われるのは6月。泣こうが喚こうが結果は5か月後に必ず出ます。MVP議論と同じく、開幕3か月後足らずで「どこどこが優勝」「誰々がMVP」だなんて騒ぎ立てるのは時期尚早には違いないです。
しかし、待ってなどいられない。期待や予想、それに伴うワクワクはスポーツ観戦の大きな楽しみの一つ。スポーツファンとは鼻先に人参をぶら下げられた馬の如く、前のめりに先走るものなのです。
そんなこんなで、各所様々なアプローチで優勝候補/プレイオフ進出etc.を占っています。
当ブログで何度か紹介した「予測システム/モデル」もその一つ。
Five Thirty Eightによる予測。2023/1/4時点。※画像クリックで拡大
ESPNのBasketball Power Indexによる予測。
BBRによる予測。
上記は数学的・機械的な予想。人間による予想となれば、その数はここに書ききれない膨大な種類になるはず。
・・・・・・本来なら。
私は同意出来る出来ないを問わず分析や評価を聞くのが好きなので、お気に入りのアナリストやサイトを中心に各チーム各選手の評価をよく調べます。
すると多くの人が口を揃える「優勝へのお約束」のような文言もよく見聞きします。
Offense sells tickets, defense wins championships.
オフェンスはチケットを売り、ディフェンスは優勝を勝ち取る。
“Offense sells tickets, defense wins games, rebounding wins championships.”とかバリエーションも豊富です。
以下は2000年以降の優勝/ファイナル進出チームのOffRtgとDefRtgレギュラーシーズン順位一覧表。
引用元のBill Herenda氏は「いかにディフェンスが大事か」の一つの証左として上記画像を提示しています。
恐れ多くも私、あえて異を唱えたい。
勿論ディフェンスは大事。間違いありません、疑いようもありません。私が異を唱えたいのはその部分ではないのです。
「優勝のためにディフェンスがどれほど大事か」を示すのにレギュラーシーズンのDefRtg順位を用いることに異を唱えたいのです。
ディフェンスはオフェンスと比べると、更に数値化/定量化の難しい分野です。Bill Herenda氏はディフェンスに関して間違いなく私よりも多くの知識・分析力・判断材料を持っているはずです。それでもシンプルにファイナル進出チームのDefRtgを用いてディフェンスの大事さを訴えたのは、「シンプルな方が多くの人に伝わりやすい」と思ったからだと思います。恐らく。
ただ実際のディフェンス評価はシンプルには出来ません。例え2チームが同数値のDefRtgを持っいても、2チームは同じディフェンスをしているわけではありません。得意なディフェンススキーム、不得意な相手オフェンススキームには多少なりとも違いがあります。サイズや能力の違う選手がプレイしている以上必ずです。
傾向としてレギュラーシーズンのDefRtgが高い方が優勝の可能性が高まるのは間違いありませんが、相関関係と因果関係はイコールではありません。レギュラーシーズンで強固な守りを見せていたチームがプレイオフで脆く見える、プレイオフ一回戦とセミフィナルでは別に見える、なんて事はざらにあります。プレイオフに進出するチーム/強豪には必ずと言ってよいほどグッドなディフェンスに対してベターなオフェンスの出来るタフショットメイカーがいます。レギュラーシーズンで高いDefRtgを誇っていた’21ニックス(レギュラーシーズンDefRtgリーグ4位)と’21シクサーズ(リーグ2位)は’21ホークス(レギュラーシーズンOfffRtgリーグ9位)に敗北。トレイ・ヤングを起点としたオフェンスに対して答えを用意できませんでした。
誤解のないよう念を押しますが、「プレイオフではディフェンスが大事じゃない」と言いたいのではありません。「プレイオフでディフェンスは超大事。超大事だからこそレギュラーシーズンのDefRtGを過信せず、その中身や相手との相性を細かく見る事が面白い予想を生むのではないか」って事が言いたいのです、恐縮ながらそう思いますです、はい。
さらに言うと「バスケではオフェンスとディフェンスをはっきりと二分して捉えるべきではないんじゃないか」と思うことが偶にあります。良いオフェンスは確率高くシュートを決めてターンオーバーも少なくなり、相手にディフェンシブリバウンドやライブボールターンオーバーからのトランジッションイージースコアを減らし、良いディフェンスは相手に確率の低いシュートを打たせターンオーバーを増やし以下略。
オフェンスとディフェンスはいつだって連動しているはずでしょう。あれだけ鉄壁に見えた昨季’22セルティックスのディフェンスがウォリアーズの“ディフェンス”によって崩壊させられたのも目にしました。ジェイソン・テイタムやジェイレン・ブラウンらのドライブ&キックを封じ込めて、相手ライブボールターンオーバーやリバウンドからのトランジッションオフェンスでセルティックスに強固なハーフコートディフェンスを準備させない。「攻防一体とはこの事かな」と一人頷いておりました。勿論ウォリアーズが優勝したのは他にも多くの要因が重なっての事でしょうが。
「優勝にはディフェンスが云々」以外にも「優勝にはスターが○人必要」とか「○○なスタイルでは今は優勝できない」とか、最近目にした少し変わったものだと「レギュラーシーズンで150失点したチームは優勝した事がない(現在東1位3位のセルティックスとネッツが今季経験済み)」等々色々と面白いセオリーが語られます。それぞれ正しい正しくないは私にはわかりません。
強いて言うなら「優勝のための通説やセオリーは守られるより破られた方が面白そう」ってことくらいです。
2001年以来のレギュラーシーズンDefRtg12位以下のチームが優勝してくれても全然良いです。
今回はこの辺で。ではまた。
おまけ。
NBA歴代優勝チームのワーストレギュラーシーズン勝敗記録。
今までレギュラーシーズン勝率5割未満で優勝したチームは存在しません。6割未満も7チームだけで2000年以降は存在せず。つまり勝率5割6割未満のチームは・・・・・・
歴史を作るチャンス!