【NBA】NBA2024最高峰スコアラー兼プレイメイカー比較とリムショットを抑止するチームTOP5とショートミッドレンジシューターランキングと色々。/DJ・バーンズ、レイカーズ、バックス、ウルブズ、ナゲッツ、マーベリックス、ヨキッチ、ドンチッチ、トレイ・ヤング

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【NBA】NBA2024最高峰スコアラー兼プレイメイカー比較とリムショットを抑止するチームTOP5とショートミッドレンジシューターランキングと色々。

昨日2024/4/1、Todd Whiteheadさんがまた興味深いデータを公開していまして↓。

以下全て2024/4/1時点。

「相手のドライブをフローターかジャンパーで終わらせた割合」です。言い換えると「相手のドライブからのレイアップを阻止した割合」とも言えます。

その割合でTOP5のチームはそれぞれヤニス・アデトクンボ&ブルック・ロペス、アンソニー・デイビス、ルディ・ゴベアら優れたショットブロッカーを擁していますから“さもありなん”です。

しかし、彼らは必ずしもDefRtgが優れているわけではありません。

今季2024、DefRtgランキング。Cleaning The Glass準拠

1位ウルブズ、3位セルティックス、5位キャバリアーズはTOP層ですが、レイカーズは14位でバックスは17位と中間層。

リーグ全体の傾向としてリムショット(レイアップ)は効率的なシュートかつフリースローも得やすく味方シューターにスペースも与えやすくなる“一石二鳥”以上のシュートで、それを阻止する「リムプロテクト」は今日のNBAで非常に重要視されていますが・・・・・

NBAは常に進化しております。

近年、フローターやショートミッドレンジ(リムから4~14feetのシュート。以下SMR)の上手い選手・チームが増えてきているんです。リムショットを阻止する「リムプロテクト」は依然として重要ですが、ショットブロッカーを外に釣り出す戦術やSMRの上手い選手が増えた事で、所謂「リムプロテクター」が無効化される場面も増えました。

10年前2014シーズンのSMR FG%ランキング。

10年前、SMR FG%1位はヒートの46.09%(2位に大差をつけての1位)。しかし、そのヒートのSMR Freq(全FG中のSMR割合)は14.67%で29位。決してSMRを頼りにはしていませんでした。他チームもSMR FG%はほぼ42%以下でSMR Freqも15%~22%程度です。

で、

今季2024のSMR FG%ランキング。

8チームが46%を超え、SMR Freqも10年前と比べ軒並み上昇。5年前の2019シーズンと比べても上昇傾向にあります。(もう少し言うと2021シーズンに大きく上昇して、ここ2,3シーズンは上昇が落ち着いてきた感じです。より詳しく見たい方はこちらリンク先へどうぞ)

超雑に言うと、皆シュートが上手くなりすぎてリムプロテクトやオープン3Pを守るだけではディフェンスが不十分になってます。

象徴的な選手はルカ・ドンチッチとニコラ・ヨキッチ

2021シーズン以降のSMR FG%ランキング。SMR試投数500以上選手対象。

2021シーズン以降のSMR FG成功数ランキング。

ヨキッチのSMR FG%は1位で60.8%(2位に7%差をつけての1位。率直に言ってクレイジー)、ドンチッチは9位で52.07%。成功数ではヨキッチ1位、ドンチッチ2位。両者SMR Freqも30%超え。

しかし、それでもSMRの効率はリムショットやオープン3Pと比べると劣ります。なので「やはりヨキッチとドンチッチはSMRを減らすべきでは?」「相手チームはドンチッチとヨキッチにSMRを打たすべきでは?」と思う方がいるかもしれません。

そこで強調したいのは

彼らは“厳しいディフェンスに遭いながら”上記SMRの数字を残している。

という事です。

今季2024ヨキッチの相手ディフェンダーとの距離毎のFG%。

今季2024ドンチッチの相手ディフェンダーとの距離毎のFG%。

本当は2021~2024全ての数字を載せたいんですけど冗長になるので省略。簡単に言うと、オープン以外でもよく打ち、よく決めてます。詳しく見たい方はNBA.com/statsヨキッチページドンチッチぺ―ジへどうぞ。

もしも相手が「リムショットやオープン3Pよりもマシ」と思ってヨキッチやドンチッチにミッドレンジで好きに打たせたら、ヨキッチ60.8%とドンチッチ52.07%が更にヤバくなりかねません。当然ボリュームも増えるでしょう。

更に強調したいのは

彼らのSMRでの決定力がAt Rimリム他アシストと強く結びついている

という事。

相手にとって“SMRを無視できない”という事は“リム近辺(At Rim・ゴール下)を空けやすくなる”という事です。P&RディフェンスやヘルプディフェンスなどでSMRにコンテストしに行くのは大抵リム近くにいるビッグマン・リムプロテクターです。そうなれば、ヨキッチはアーロン・ゴードンへ、ドンチッチはダニエル・ギャフォードらへAt Rimアシスト・ロブ・ダンプオフを出しやすくなります。

SMR自体はリムショットよりも効率が悪いですが、SMRが上手い事で味方のリムショットを多く生んでいるんですね。

2021~2024、100ポゼッションあたりでのAt Rimアシスト数。4000分以上出場選手対象。

ヨキッチ2位、ドンチッチ7位。
リムショットはFTも生みやすく、FTを生んだパスはand1以外はAstにカウントされないので、「リム近辺に多くパスを出す選手や上記ランキングにいる選手は数字以上に貢献している」とも言えます。3Pと比べバラツキ(シューターの好不調の波)が出にくいのもメリット。当然3Pアシストにもドデカいメリットがありますがここでは省略。

で、ここまでヨキッチとドンチッチ両者共通の長所を述べましたが

面白いのは二人が全く違ったプレイスタイルで上記共通の長所を持っているところ。

広い意味では「両者チームオフェンスの根幹を担うスコアラー兼プレイメイカー」で似てますが、スコアリングやプレイメイキングの方法は全くと言って良いほど似てません。まぁ「似てるor似てない」は主観も混じるので断言はしづらいですが、少なくともそう言えるだけのちょっとしたスタッツ・データがあります。

まずは両者の1試合あたりでのボールタッチ数を見てみましょう。

今季2024、1試合平均タッチ数ランキング。

ヨキッチは1位、ドンチッチは3位。他メンツもプレイメイカーが並んでいますね。

しかし、近い回数ボールを触っているにもかかわらず、ヨキッチとドンチッチのボールを保持している時間には大きな差があります。

上記タッチ数ランキングにTime of Poss(1試合あたりでのボール保持分数)とAve Per Touch(1タッチあたりでのボール保持秒数)を添えたモノ。

ヨキッチはリーグ1位のタッチ数ですが、ボールを保持している分数は1試合あたり4.7分でリーグ39位程度、1タッチあたりでのボールを保持している秒数も2.82秒で、他プレイメイカーと比べて少なめ。

一方ドンチッチは8.4分と5.49秒と多め。

ドンチッチは3Pライン外でボールを持つことが多く、ドリブルも多くつき、主に超優れたアイソレーションプレイヤー・P&Rボールハンドラーとして超ボリュームの得点とアシストを重ねチームオフェンスに貢献しています。

ヨキッチは3Pライン外の他ポスト・エルボーからのプレイメイキングが多く、DHO(ドリブルハンドオフ)・ロールマン等でスクリーナー兼オフェンシブリバウンダーとしての貢献もあります。

今季2024、1試合平均アイソレーションポゼッション数ランキング。

今季2024、1試合平均P&Rボールハンドラーポゼッション数ランキング。

ドンチッチのアイソレーションとP&Rは正に「必殺技」です。そこからステップバック3、ヘッドフェイクやステップワークからのミッドレンジジャンパー、ロブ、キックアウト等々、ボリュームが多いだけでなく効率(PPP、1回あたりでの得点量)も非常に良いです。量はまだ少ないですが今季はスポットアップも向上。

2024ドンチッチのプレイタイプ毎のPPPとパーセンタイル評価とグレード評価。

Stableはざっくり言うと「ある程度ボリュームも考慮されている」という事です。

一方ヨキッチは「捉えどころがない」と言いますか、プレイタイプが広範です。

今季2024、1試合平均ポストアップポゼッション数ランキング。

ヨキッチのスコアリング中一番多いのはポストアップですが、それでもFREQ%は26.0%で全体の4分の1程度。インバーテッドP&R(ビッグマンがボールハンドラーになるP&R)をやる事もありますし、通常のP&Rでロールマン(ほぼショートロール)をやる事もありますし、カッティングやプットバックの得点も多めです。

2024ヨキッチのプレイタイプ毎のPPPとパーセンタイル評価とグレード評価。

得意なプレイタイプ的にはドンチッチは限定的で、ヨキッチは広範な感じしますよね。でもさらに面白いのがシュートエリア・ショットチャートではドンチッチの方がずっと広範です。

今季2024ドンチッチのトゥルーシューティングチャート。

ほぼどこからでも高効率スコアリング。相手からするとどこからも打たれたくない悪夢。

今季2024ヨキッチのトゥルーシューティングチャート。

3Pも平均以上ではありますが、兎に角ペイント内とローポストでの鬼。いやジョーカー、いやビッグハニー。

両者のスコアリングを雑にまとめますと、

ドンチッチはどの位置からのシュートも躊躇わず効率良く打つので、ハーフコートオフェンスでのプレイタイプはコートを広く使えるアイソとP&Rが非常に多い。

ヨキッチはペイント内とローポストでのシュートが超高効率なので、そこに至るまでの過程(プレイタイプ)を多種多様にしている。

こんな感じですかね。(長くなるので両者のパス・アシストについてはまた別の機会に)

どうしてもアイソやボール保持の時間が多いと「持ち過ぎ」だのなんだの言われがちですけど、大事なのは「チーム全体がどうなるか」です。

アイソにしてもSMRにしてもリムプロテクトにしても、それのみに注目してしまうと、チームスポーツにとって非常に重要かつ醍醐味な「シナジー(相乗効果)」を見逃してしまいます。当ブログで常日頃書いている

あらゆるスタッツ/指標はコンテキストが大事で、多角的に用いることが求められます

の別の言い方みたいなもんです。

ドンチッチとヨキッチはアシストとスコアリング両方で全く別のアプローチをしながら「SMRが上手い」など共通点と相違点が入り混じり、結局のところ同じくチームのため体を張る稀代の・・・・・・・稀代の・・・・

・・・・・仲良し!

https://twitter.com/ClutchPoints/status/1758909322589802856
オールスター記者会見中ヨキッチにイタズラされ思わず母国語で放送禁止用語を口走るドンチッチ。(○ァック的な意味だそうで)

今回はこの辺で。ではまた。

余談。

比較は喜びを奪う

とは第26代アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトの御言葉。含蓄のある事をおっしゃいます。

しかし勝負事・競争であるスポーツにおいて比較は避けられません。優劣を決めるわけですからね。

ただ、比較とは必ずしも優劣を決めるためだけではありません。少なくとも本記事でのドンチッチとヨキッチの比較は両者の優劣を決めるために書いたわけではないです。

比較し、互いの特徴・長所をより明確にしていくために書きました。

比較し、調べていく過程で思いもよらない長所や見所が見つかる事は非常に多いです。「似ている」と言われる選手の共通点と相違点を確認していくと特に。

アルペレン・シェングン、ドマンタス・サボニス、バム・アデバヨ、ドレイモンド・グリーンらプレイメイキングビッグを比較するのも面白そうなので、これもまた別の機会にでも。

最後のおまけ。

最近ヨキッチとよく比べられているNCステイトのDJ バーンズ君。

バーンズについてコメントするヨキッチと、それを記者から聞かされ楽しそうなバーンズ。可愛い。DJ バーンズのデューク戦ハイライトへのリンク

では。

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