【2023NBAファイナル】侮れないマイアミ・ヒートvsどうした!?デンバー・ナゲッツ。ガッツと意思決定の優秀さとアメリカ代表にも勝った男が同居したマイアミ・ヒートに怖いものなし。遅れがちなナゲッツのギアチェンジ。/ジミー・バトラー、アデバヨ、ヨキッチ、プレイオフ
本日2023/6/5の試合結果。
私含む大方の予想を覆し、マイアミ・ヒートがロードで貴重な貴重な1勝をあげました。
以下The手のひら返し。
まずはヒートの見事な修正を褒めたいです。シュートタッチの修正ですね。
3P17/35で48.6%、決めるべきオープン3Pを全て決めていたような印象があります。調子づけばタフ3Pも入りだしますし、インサイドにスペースも出来ます。ロールマンとしてのアデバヨも超効果的でした。
その大きなキッカケとなったのは第1Qではマックス・ストゥルース。4Qではダンカン・ロビンソン。二人ともトータルで見ると、そこまで目立つ数字ではありませんが、それぞれのQではアデバヨと共にヒートオフェンスを牽引していたと言っても過言ではないでしょう。
ゲイブ・ビンセントのチームハイ23得点も忘れちゃいけませんね。
正直言いまして、全く予期していない勝ち方でした。ヒートの選手たちが満遍なくスコアを重ねて勝利すること自体は非常に「ヒートらしい勝ち方」と呼べますが、その過程がです。
ジミーが相変わらずショットメイキングには苦戦しながらの勝利。というのが意外でした。
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私、前の試合後に「ヒートはジミーが大活躍してスタートライン」と言いましたね・・・・・
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はい。
とにかくですね。各選手、節目節目でシュートが入りだした後のデシジョンメイキングが素晴らしかったです。
「同じことはさせまい」とタイトに寄ってくるクローズアウトに対して冷静にフライバイでかわしてから3Porペネトレイト。スクリーニングアクションで生まれた相手の隙やオープンマンを見逃さずパスをさばく。
ゲイブ・ビンセントを見逃したケビン・ラブの謝っている姿も印象的でした。
当ブログでは常日頃データやらスタッツの引用を多めにして、出来るだけディテールの伴った記事を心掛けていますけども、本試合のヒートに関しては数字で褒めるより、その修正とステップアップとガッツを称賛したいです。
続いてナゲッツについて。
注意:無駄に偉そうな記述が続きます。
どうした!?ナゲッツ。
「集中力やインテンシティの維持」が非常に難しいのは大前提ですが、それを鑑みても、全体的によろしくないエフォートだったと思います。
ヨキッチからパスを受けたオープンマンはシュートを決めるなりフリースローをもらうなりしてくれないとナゲッツオフェンスがキツくなるのは間違いないですし、実際本試合の敗因の一つとして「ヨキッチ以外のシュートタッチの悪さ」を強調しても良いと思います。
ただ「ヨキッチ以外のシュートが入らない」というのは、第1戦もある程度そうでしたし今後も起こり得る予期すべき事態です。シュート以外のミスも必ず生まれます。開き直るべきではありませんが、ミスが生まれる事を踏まえて励まなきゃいけません。
そういった不可避なミスを補うためにナゲッツができる事は
アンフォースドターンオーバーをしない事。
ボックスアウトを怠らず相手にオフェンシブリバウンド=シュート機会を多く与えない事。(サイズで有利なはずが本試合は11:6で大きくリードされています)
余計なファウルをせず余分なフリースローを与えない(特に早い時間帯やショットクロック切れ間際)、インテンシティを下げざるを得なくなる事態を招かない事。
「シュート決めろ、ミス全部なくせ、相手のシュート止めろ」とは言えませんけど、上記はシュートの好不調関係なく出来る事で、本来いつ何時も守らなきゃいけない事です。全てなくすのは無理にしても、努めなければいけない事です。
それが本試合のナゲッツは終始できませんでした。
数々のand1やKCPの2つの3Pへのファウルは大きな痛手となっちゃいましたし、前回褒めたMPJは足が止まちゃってました。彼らだけでなく多くの失敗を積み重ねて「ナゲッツ全員がヒート全員のガッツに負けた」と思います。エリック・スポールストラHCの戦術面での功績は勿論の事。
それでも、なんだかんだ3点差だった事、終盤の追い上げ、ヨキッチの高効率41得点は流石です。
しかし、レギュラーシーズン含む今までの試合でもよく思いました・・・・
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「もうちょい早くにギア(特にディフェンス強度)を上げられないものか」。
私は金魚の記憶力を持つ人間なので、強いチームを見るとすぐ「このチーム負ける気せーへん」ってなりますし、今季プレイオフでのナゲッツはそういった事の多いチームでした。正直言いまして、1勝1敗となった今も「ナゲッツ有利」の考えは変わっていません。
ただ、2日間空いた後のホームでのNBAファイナルで、こういった試合をしてしまった事は非常に大きな不安材料だと思います。
同時に、ヒートは今日の試合を勝つべくして勝ち、シュートの入る入らない・ホームorロード関係なく絶対に油断してはならないガッツあふれるチームだと強く感じました。
ヒートおめでとう。ナゲッツ頑張れ。次も楽しみにしております。
今回はこの辺で。ではまた。
余談。
最近よく見聞きする「ヨキッチの得点が多いのは悪い兆候」という言説。
敗因分析について語る良いキッカケなので利用させてもらいましょう。
「ヨキッチの得点が多いと試合に負けてるので悪い兆候」
こういった単純な分析はわかりやすくて良いんですけど、多くのディテールを見逃す事に繋がります。
まず「今季プレイオフでのナゲッツはヨキッチが40得点以上すると0勝3敗、40未満だと13勝1敗」ってデータがありまして
加えて「味方のシュートが入っていない→ヨキッチが行かざるを得なくなる→ヨキッチの得点が多くなる→チームとしてはよろしくない」というロジックを基に「ヨキッチの得点が多いのは悪い兆候」という仮説が立てられています。私がいくつか目にしたところでは。
上記のロジックを基に「ヨキッチの得点が多いのは悪い兆候」とか「ヨキッチの高得点はチームにとってよろしくない事」とする仮説は、「ヨキッチの高得点」よりも余程大きな「悪い兆候」「チームにとってよろしくない事」を無視した仮説です。「味方のシュートが入っていない」の部分ですね。
さらに大事なディテールも無視しています。「ヨキッチの高得点はいずれも高効率」というディテールです。
以下はヨキッチのキャリアハイ得点を並べたものです。プレイオフ含む。2023/6/4時点。※画像クリックで拡大
3試合でも15試合でも何かを推論するためのサンプルサイズとしては心許ないので、上記リストを「やっぱりヨキッチの高得点は悪い兆候ではない」旨の根拠にはできません。
ただ少なくとも、「ヨキッチの高得点TOP15は9勝6敗、TOP30では21勝9敗」というのは事実で、「ヨキッチの高得点は悪い兆候」の確たる根拠は存在しません。
と言いますか、低効率なら兎も角、高効率でのハイスコアリングが悪い兆候なはずがないんです。普通に考えますと。
「ヨキッチの高得点」を「味方のシュートが入っていない事」に結び付けて考えるのは論理の飛躍になります。それら2つが同時に起きて試合に負ける事は勿論ありますし、そういった事が続くこともあります。
ただですね。分析の基本と言いますか、気を付けるべき落とし穴と言いますか
相関関係と因果関係はイコールではありません。
いつぞやも書いた有名な例
「世界各国のチョコレートの消費量とノーベル賞輩出数には相関関係があるが、チョコレートの消費量がノーベル賞を多く生む原因・因果にはならない」
という事です。
そもそもヨキッチが高得点した試合は今季プレイオフを除けば負けが多いわけではありませんし、仮に今後そういう試合が続いたとしても、その原因は別にあります。
こう書くと「ヨキッチは絶対に悪くない」と盲目的に庇っているようですが、そうではなくて「選手の高得点自体は悪い兆候・敗北の原因にはなり得ない」という事が言いたいんです。
もしヨキッチがFG25/60とか超低効率に50得点したら、それは勿論「悪い兆候」「チームにとってよろしくない事」です。「超低効率」と「高得点」が合わさって初めて「悪い兆候」「チームにとってよろしくない事」になります。
繰り返しになりますが、ヨキッチであれ誰であれ「高得点」は「味方のシュートが入らない事」や「低アシスト」とイコールではありません。そこを混同視してしまうと、他の問題点や正確な敗因分析や改善・アジャストメントから遠ざかっちゃいます。今日の試合で言うなら、規律・努力・連携の欠如やもっと細かなミスの数々です。
ただ、これもしょっちゅう書いていますけど、我々ファンは「楽しむ事が大事」です。そういった事が求められてるコミュニティ以外で細かい事ばかり言って堅苦しく窮屈になり過ぎるのはコミュニティにとって良くないと思います。
ぶっちゃけ上記全部忘れて欲しいくらいです。細かい事言わんと、好きに分析・考察を楽しむのが一番です。
私並びに当ブログはめんどくさく考えるのが好きってだけです。
たまに馬鹿馬鹿しいコラ画像やジョークを挟むのが好きってだけです。
ゴリラとかNBAと全く関係ない画像も貼りたくなるだけです。
ではまた。