【NBA】複数NBAサイト・メディア・NBA2023オールスターが選ぶ歴代&現役“トラッシュトーカー”ランキング。GOATたちが生んだ史上最高峰のライバル関係。聖人化した悪童。/ウォリアーズ、セルティックス、デンバー・ナゲッツ、ウルブズ、シカゴ・ブルズ、レイカーズ

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【NBA】複数NBAサイト・メディア・NBA2023オールスターが選ぶ歴代&現役“トラッシュトーカー”ランキング。GOATたちが生んだ史上最高峰のライバル関係。聖人化した悪童。

最近FadeawayWorldが歴代トラッシュトーカーのTier List(ランク付け)を公開していまして。

The Biggest Trash Talkers In NBA History By Tiers

とりあえずラリー・バード一強。

他サイトでもラリー・バードが1位もしくはTOPティアです。トラッシュトーカーGOATです。

この手のランキングは大体20位くらいまでしか決めませんけど、1つ60位まで決めてるサイトもあって感心しちゃいました。リンク

バードのトラッシュトークで有名なのは・・・・・・と紹介したいのは山々ですが、各自“larry bird trash talk”でググって下さい。

というのは、バードのトラッシュトークは言わば「名作映画のワンシーン」みたいなものです。文字だけでネタバレするのは気が引けるくらいにシャレていて爽快感があります。しかも量が尋常じゃない。いまだに新しいのが出てきます。

なので本記事では極力ネタバレ回避したいんですけども・・・・・やっぱり少しだけ。オタクの悪い癖で、好きな事は早口で語りたくなっちゃうのもまた真理。

バードのトラッシュトークの特徴はなんといっても「単なる毒舌・悪口ではなく、ハイレベルなプレイが伴って初めて完成されるトラッシュトーク」というところ。

その一例が以下。

1983年セルティクス対サンズ戦。残り数秒セルティックスのビハインドでタイムアウト。

タイムアウトが明けコートに戻る際、バードはサンズベンチやコーチに

「疲れたから早く帰りたい。3Pを決めて帰る」

と言い、ディフェンスについていたジョニー・ハイには

「ジョニー、もっと近くに寄っ方が良い。俺は『3Pを打つ』と言っているんだ」

とまで言ってのけます。

プレイが再開され、バードは宣言通りにインバウンズパスを受け取り、そのままターンアラウンド3P。

ボールがネットに吸い込まれ、バードはサンズベンチを指差し一言。

“Told you so”「言ったろ?」

Rich Eisen Showが選んだ“Don’t poke the bear”「怒らせたりちょっかい出したらアカン」選手5選(6選)。
プレイオフでのホークス対セルティックス戦で掲げられたバナー。
「バードはどんな鷹(ホークス)よりも高く飛ぶ」
観客もシャレが利いてます。

バードは故郷インディアナ、後にHCやフロントで要職を務めるペイサーズの選手たちにも全く容赦がありませんでした。

トラッシュトークの的となった選手にチャック“ライフルマン”パーソンがいます。インディアナ・ペイサーズの選手です。

クリスマスシーズンの試合前、チャック・パーソンは記者たちに向かって「今から“Bird hunting野鳥狩り”に行くところだ」とバードを挑発。

バードは「ヤツにプレゼントがある」と思わせぶりな応答。

試合中、バードは3Pを放った直後シュートが入る前に、ベンチで座るチャック・パーソンに向かい

「メリー・ファッキン・クリスマス」

と告げ、シュートを成功させます。

試合は152-132でセルティックスが勝利し、この日ライフルマンは1羽もバードを狩ることは出来ませんでした(3Pゼロの10得点)。

ルーキー時代のレジー・ミラーも返り討ちに遭いました。勿論インディアナ・ペイサーズの選手です。

セルティックス対ペイサーズ戦。第4Q残り20秒、セルティックス3点リードでバードのフリースロー。

フリースローレーンに立つレジー・ミラー(当時ルーキー)はバードがフリースローを放つ寸前に“Hey!Hey!”と声をかけ妨害。

バードはレジーを見て

「なぁ新人。俺はこのリーグでベスト・ファッキン・シューターだ。わかるか?このリーグで、だ。その俺に向かってお前は何を言おうってんだ?」

バードはきっちり2本のフリースローを決め試合終了。

実際の試合映像へのリンク

ちなみに、この試合を含めて59本連続フリースローを成功させてます。それとは別に71本連続成功記録も持ってます。これはベスト・ファッキン・シューター。(ステフが“ベストシューター”だと思いますが、ステフに“ファッキン”は似合いませんからね)

ルーキー時代のショーン・ケンプも餌食になりました。インディアナ州出身の選手です。

ショーン・ケンプはインディアナでの高校時代、ラリー・バードの記録をいくつも破っていました。

NBAの試合で初めてケンプとバードが会った時、バードはケンプに訊ねます。

「俺の高校記録を全て塗り替えたというのはお前か?」

「ああ、俺だ」

「俺の弟にダンクをしたのもお前だな?」

「ああ、俺だ」

「今夜お前のために用意したものがある」

お察しの通り、バードはこの試合で40得点のトリプルダブルを記録する超ハイパフォーマンス。

試合も勿論勝利し、ケンプは5得点。
当時の事を楽しそうに語るショーン・ケンプへのリンク。

さらにさらに面白いのが、幼い頃バードは授業中皆の前で喋ることが出来ず悪い成績を得るくらい極度の口下手で、大学のスカウトからも「私が出会った中で最もシャイで内向的な男」と言われるような人柄でした。

トラッシュトークのエピソードだけ聞くと信じられないかもしれませんが、チームメイトの証言や引退後の振る舞いなどを見ていると大いに窺えます。

表舞台に姿を現す事は少なく、式典に表れた際はどこか身の置き所のなさそーな表情で、自身の栄誉については語りたがりません。

代わりにマジック・ジョンソン、バイロン・スコット、ケビン・マクヘイル、ダニー・エインジ、リック・カーライル、レジー・ミラー、マイケル・ジョーダン、チャールズ・バークレー、ドミニク・ウィルキンス、チャック・パーソン、ドック・リバース等々

偉大なライバルたち、チームメイト、バードのトラッシュトークの被害に遭った選手たちでさえ嬉々として当時の事を振り返ります。

バード引退時のMJによるコメント。
「ラリー、引退するらしいな。神に感謝する。嬉しいよ。君の顔を見るのにはウンザリだったんだ。君は僕に多くの悲しい記憶をもたらしたからね」
自身も偉大な選手でありトラッシュトーカーだったMJからの最大級の賛辞。
1998年ペイサーズHC時ECFで対戦後のMJとバード。
両者口は悪いですが、双方のリスペクトが窺える名場面です。
1998年ECF第4戦でレジー・ミラーが超クラッチショットを決めた際のバード。
残り0.7秒で観客も選手も大喜びする中、自分の現役時代やMJをよーく知っているバードは全く表情を変えず。(実際MJのラストショットは非常に惜しかったです。本当に血の気が引きました)

マジックなんか明らかに盛って語ります。講演会で「それは流石にウソだろ?」っていう様な内容を喋るんですけど、「あのバードならあるかもしれん」となりますし、マジックの楽しそうな顔を見てると「どっちでもいっか」って思ってしまうんです。リンク

2022年、イースタンカンファレンスファイナルMVPトロフィーにラリー・バードの名前が冠せられ、ウェスタンはマジック・ジョンソントロフィーになると知らされ、バードは「もし私が一つでもマジック・ジョンソントロフィーを取れていたら、それが私のキャリアハイライトだったんだけどね」とコメント。流石である。リンク

ケビン・マクヘイルは何百回も同じ話を繰り返してきたであろうにもかかわらず、クリス・ボッシュに「バードのトラッシュトークについて聞かせてください」とおねだりされて、また嬉しそうに喋るんです。

少し前、元NBA選手たちが集まって思い出話に花を咲かす“Open court”って素晴らしい番組がありまして。リンク(上記画像とは別エピソード)

バードはマジックと意気投合しながらも「慣れ合わない方が良い」と意図的にマジックを遠ざけていて、マジックはそんなバードの真意を知りながらも会う度に声をかけ「飯でも食べに行かないか?」と誘います。

自身とマジックの伝記の序文では「引退後、10人中9人が『マジックとは最近どう?』と訊ねてくる。残りの一人は『マクヘイルとは最近どう?』だよ」とユーモラスに不満を表明。

Jackie MacMullan著“When The Game Was Ours”

そんな照れ屋でトラッシュトーカーなラリー・バードですが、本当に大事な事を伝えたい時には躊躇しません。

マジックがHIVに感染したと知らされた時、バードは直ぐに代理人に連絡を取り電話番号を調べさせ、マジックと直接言葉を交わしました。以下は2012年頃に行われたマジックのインタビューから抜粋。

あなたの事を本当に心配してくれる人を見つけて下さい。

(HIVにかかり)ラリーから電話がきた時、僕は言葉に詰まり何も言えなかった。

僕らは共に競い合い戦い合ってきた戦士だった。

その彼が言ったんだ。

「君なら大丈夫だ」

僕にとって最も偉大な瞬間だった。

彼は僕が大丈夫だと確かめ、僕は「僕なら大丈夫だ」と確かめたんだ。

2012年頃のインタビューですので当時から20年近く経っていましたが、マジックは涙を流しながら当時を振り返っていました。動画へのリンク

そんなマジックですから、バードへの軽視には人一倍敏感です。

以下のエピソードは2022年最近になってジャマール・マッシュバーンが明らかにしたもの。

1992年ドリームチームの練習相手として、僕やクリス・ウェバー、アラン・ヒューストン、ロドニー・ロジャースらが集められたんだ。

練習試合で僕らがリードしている時、「記者が来る」という理由でスコアが消され、試合は止められた。

試合後ホテルに戻り、ロドニー・ロジャーズが「ラリー・バードは1984年以来ジャンパーを決めていない」と軽口を言い、それがマジックの耳に入った。

僕らは特に気にもしてなかったんだけど、次の日の練習試合で今まで経験した事がない目に遭ったよ。

マジックは8回立て続けにラリーへパスを出した。その度にラリーはロドニー・ロジャースへ「左、ワンドリブル、プルアップ」「右、ワンドリブル、スピン、ショット」と予告しシュートを決める。

8回シュートを決めた後、背中の悪いラリーはコートを離れベンチには座らず、脇で横になりながら言うんだ。

「なぁ若いの、1984年みたいだったか?」

僕はただベンチで座りながら「ワーオ」って感じさ。

動画へのリンク

私の一番のお気に入りかもしれないトラッシュトーク(?)は最近のものです。

2019年、マジックと共にNBA生涯功労賞を受賞した際のスピーチ(一部)。

ヨボヨボの元NBA選手たちが「今の選手は俺たちの時代じゃ活躍しない」みたいなことを言う。

馬鹿げてる。

ヤツらはレブロンがプレイした18年間、ジェームズ・ハーデン、クレイ・トンプソンの1クォーター37得点、私のように30分で60得点しているのを見ちゃいないんだ。

(中略)

現在の選手の活躍を、私はこれ以上なく誇りに思う。

スピーチをする際、受賞トロフィーをマジックに持たせるバード。リンク
ヤニスやドンチッチら次世代のスパースター達も真剣な面持ちでバードとマジックのスピーチを聞いていました。リック・カーライルやビル・ウォルトンが嬉しそうだったのも合わせてグッときちゃいました。

映画や漫画等あらゆる創作物を含め、私はバード&マジックのような「ライバル関係」を見た事がありませんし、バード&マジックやビル・ラッセル&ウィルト・チェンバレンが同時にNBAに存在した事は「バスケットボールの神様による史上最高のクラッチプレイの一つ」だと思っています。(ここで言う「バスケットボールの神様」はマイケル・ジョーダンでもリッキー・ルビオの事でもありません)

バードが言うように二人の関係はきっと「他人には理解できない」「説明できない」ものなのでしょう。

しかし、それが何であれ、どんな形であれ、ビル・ラッセル&ウィルト・チェンバレンのように永遠に語り継がれていって欲しいです。

・・・・・そういえば私、記事冒頭で「バードのトラッシュトークはネタバレしたくない」と書いてましたね。

・・・・

今回はこの辺で。ではまた。

おまけ。

2023オールスターウィークエンドの際、The Athleticが出場選手にいくつかアンケートをしてまして。その中に「現在のNBAで最もトラッシュトーカーなのは?」という質問もありました。

結果は以下。

パトリック・ベバリー6票、ドレイモンド・グリーン4票、他ユドニス・ハスレム、ディロン・ブルックス、ジョー・イングルス、デイミアン・リラード、メンフィス・グリズリーズ1票ずつ。

んで、個別回答の中で面白いものがあったので紹介。

グリズリーズのジェイレン・ジャクソンJr曰く

彼がもうNBAにいないのはわかっているけど、ジョアキム・ノアがグリズリーズにいた頃、僕は練習で初めて彼と会ったんだ。

練習中彼は狂ったように僕へ話しかけ、大声で叫びながら僕の胸にボールを叩きつけてきたよ。

素晴らしかったね。

ジョアキム・ノアと言えば、新人時代に憧れのケビン・ガーネットとコート上で初めて会った際に「あなたは僕のアイドルだ」と告げ、ガーネットからまさかの「フ〇ック・ユー、ノア」と返答されるトラッシュトークを受けた事で有名です。

・・・なんというか・・・「成長したんだな」って。

ちなみにガーネットとノアは引退後は共演もしていて、最近も“SHOWTIME Basketball”で対談。ガーネットは当時の事を真剣に謝罪していました。

リンク

正直申し上げて、私にとって現役時代ガーネットのトラッシュトークは受け入れ難いモノが多かったですけど、攻守でハードワーカーだったプレイスタイル、最近の真面目なバスケへの接し方は非常に好感が持てます。

「もし自分がヨキッチと対戦した時どう守るか」とかホントすっごい真面目に考えて喋ってます。「真面目に」と言うか現役時代と同じで、一生懸命全力で身振り手振りを交えながら軽快な語り口調なので聞いていて気持ちが良いです。

説明に熱が入り過ぎて画面から見切れるガーネットさん。リンク

つい先日ポール・ピアースがベロベロに酔っ払ってNBAファイナル視聴生配信に来た時も、ガーネットはどうにかして配信を成立させようと一生懸命その場を取り繕っておりました。

ガールフレンドを連れてくるわ、試合を観ずにイチャつきだすわ、葉巻を吸いだすわで終始ピアースに手を焼き、ウンザリしていたであろう配信スタッフからライターを投げつけられマジ切れしそうになったピアースを「落ち着け、試合を観ろ」と諫めるガーネットさん。聖人かな?リンク
反省したのか償いなのか知りませんが、後日ピアースはジャマール・マレーを「NBAベストPG」と超高評価。許した。リンク

トラッシュトークの話題だけあって話し始めるとキリがありませんな。続きはまたいつか。

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