【NBA】身長とシュート・プレイメイキング・リバウンドの相関関係。NBA“クラッチ”ランキング。散布図での傾向を無視するスーパースターと八村塁と渡邊雄太。
「身長はスキルにどういった違いを見せているのか」シリーズ第5弾。
久しぶりなので今回は以前の記事のおさらいみたいなもんです。2023シーズンでの数字を基にして、身長の高さとシュート・パス・リバウンドの相関関係をざっと眺めてみましょう。
まずは身長とStable points/75(※)の散布図。横軸が身長の高さ。縦軸が得点量。以下全て58試合以上出場選手対象。
※:75ポゼッションあたりでの得点量。Stable Points Per 75のStableは直訳すると「安定した」「変動の少ない」といった意味で、Stableがついてる時は、そのスタッツが試行回数を基にして、より信頼性を高める調整がなされている事を意味します。
2本中1本決めたのと100本中50本決めたのは同じ50%ですけど、後者の50%の方がより信頼性の高い50%になります。それを実際に数値に反映させるのがStableスタッツです。
身長の高さと得点量には特に相関関係は見られません。身長が高かろうが低かろうが、やるときゃやります。
次。
身長とTS%。
若干右肩上がりです、つまり身長が高いほどTS%も高くなる傾向が少しあります。
内訳も見てみましょう。
身長とStable Rim FG%(リム近辺での確率)。
身長とStable Short Midrange FG%。
身長とStable Long Midrange FG%。
身長とStable FG3%(3Pの事です)。
身長とFT%。
リムに近ければ近いほど身長の高い選手の確率は高くなり、遠ければ遠いほど身長の低い選手の確率が高くなる傾向が若干見てとれます。その傾向を無視した位置にニコラ・ヨキッチ、ジョエル・エンビードらエリートプレ―ヤーがいます。そういった傾向を無視してこそのエリートプレイヤー・スター選手と言うべきでしょうか。ディアロン・フォックスのRim FG%・ Short Midrange FG%の高さも躍進の表れのようで何やら微笑ましいです。
ちなみに、58試合以上出場選手を対象にしてますので、47試合しか出場していないケビン・デュラントは対象外ですが、KDをStable Long Midrange FG%の対象に含めるとこんな感じになります↓。
KDはやっぱKDですわね。ここ4シーズンは怪我による欠場も目立ちます故、是非とも来季は長くその雄姿を見せて下され。
カワイ・レナードもよろしくお願いいたします。
次。身長とパス/アシスト系スタッツの相関関係。
身長とStable Assists/75。
身長とPlaymaking Talent(※)。
※ざっくり説明しますと
1「どれだけチームメイトに多く得点チャンスを作れたか」
2「どれだけ期待値の高い得点チャンスをチームメイトに作れたか」
3「どれだけ多才なパスを出していたか」
4「どれだけミスを少なく効率良くパスを出していたか」
5「どれだけディフェンスを引き寄せられているか」
の5つを総合的に評価した指標。
5つそれぞれをどうやって評価しているか、さらに詳しく知りたい方はこちらへ→BBall Indexの用語解説
けしからん事にまた一部選手がド派手に傾向を無視してますが、まぁ概ね身長が低いほどアシストは多く、プレイメイキングに長けているようです(BBall Indexの指標上では)。
次。身長とリバウンド系スタッツの相関関係。
身長とStable Rebounds/75。
身長とStable Offensive Rebounds/75。
身長とStable Defensive Rebounds/75。
リバウンドと身長の高さには強い相関関係が見受けられます。ディフェンシブリバウンドでその傾向が若干緩和されるのは、ビッグマンがボックスアウトに専念してリバウンドを掴む動作をハンドラーに譲る事があるからでしょうか。
以上。雑なまとめでした。
んで、雑な感想。
小っちゃい人も大きい人も皆頑張ってるんだなぁ。
今回はこの辺で。ではまた。
余談。
いつぞやも長々と愚痴りましたが↓
現行の計測方法ですとリバウンダーの評価ってのは中々難しいです。BOX OUTSというボックスアウトの回数をカウントするスタッツもあるんですけど、正直計測方法がかなり曖昧。
ぶっちゃけBOXOUTSに限らず、NBAオフィシャル・公式でも計測方法が曖昧というか「知りたいのはそこじゃない」ってスタッツは山ほどあります。
ダブルチームに遭った回数は、P&Rカバレッジでの一瞬のブリッツもダブルチームとカウントしてるようでP&Rハンドラーを多く務める選手は大抵被ダブルチーム回数も高くなっています。それが「間違い」ってんじゃないんですけど、私が調べたい類の被ダブルチーム回数はそれじゃあないので困っちゃうんです。
クラッチスタッツもそうですね。NBAオフィシャルが定めたクラッチの定義は「残り5分以内で5点差以内の状況」を指していて、クラッチスタッツはその状況下でのスタッツです。
「クラッチプレイヤー」「勝負強い」といった選手を推し量るのにクラッチスタッツはよく引用されますが、個人的にはあまり参考にしないです。
そもそも「クラッチ」「勝負強い」って概念はオフィシャルが公式に定義するよりも遥か以前に存在していて、元から曖昧ですから致し方ないんですけど、だからこそ「オフィシャルが無理に定義する事なかったんじゃない?」と思っちゃいます。定義関係なく「残り○○秒以内」でのスタッツを調べる術はありますし。
それにジェリー・ウェスト、ラリー・バード、マイケル・ジョーダンら定義以前の「偉大なクラッチプレイヤー」と呼ばれる選手たちは皆「残り5分、5点差以内」云々じゃなくて、NBAファイナルやプレイオフ土壇場での超ハイパフォーマンスも多分に考慮した上での評価でしょうし、いくらレギュラーシーズンでのクラッチスタッツが良くてもプレイオフで結果を残せていない選手を「クラッチプレイヤー」と呼ぶのには、私違和感ありますですハイ。(書いてから気付きましたが、クラッチプレイヤー・オブ・ザ・イヤー受賞したディアロン・フォックスにスンゲー失礼な物言いですね。ごめんなさい。怪我を押しての強行出場立派でした)
まぁクラッチスタッツは気にしなきゃいいだけですし、特に邪魔になるわけでもないですけどね。「クラッチプレイヤー」を探したり推し量るのには向いてないとしても、「残り5分以内で5点差以内の状況」でのスタッツを表している事は間違いありませんから、競った試合終盤・土壇場でのチームパフォーマンスを調べるのには有用だと思います。
2023プレイオフ、クラッチでの勝敗数・各Rtg一覧。勝利数順。
2023レギュラーシーズン、クラッチでの勝敗数・各Rtg一覧。Netrtg順。
“clutch nba history”で検索するとMost Clutch NBA Players of All TimeとかNBA Power Rankings: The 50 Most Clutch Players of All TimeとかTop 10 of the best clutch NBA players of all time in 2023とかTop 10 clutch plays in NBA historyとかクラッチプレイヤーに関する記事が沢山見つかります。
1位がマイケル・ジョーダンな事を除けば各記事ランキング内容はバラバラです。読んでいて飽きが来ず楽しかったです。
やっぱり曖昧なら曖昧なりの良いところ・楽しい部分があるって事ですね。リバウンド・ボックスアウト・ダブルチームの計測方法も上手く捉え楽しむ事に致します。