【NBA】過去15年で最も効率的だったハーフコートでの選手&プレイTOP15ランキング。新旧アイソレーション王。近年重要度を増すP&Rとトランジッションの悩ましい得点期待値の差。
↓は「過去15シーズンで最も効率的だったハーフコートプレイ」ランキング。
もう少し厳密に言うと、過去15シーズンのハーフコートオフェンスで最も効率的にシュートを打った選手&プレイタイプのランキングです。300ポゼッション以上対象。そのプレイで得たフリースローでの得点も含まれています。(トランジッション、カッティング、ロールマン、プットバック、スポットアップシュート除く)
雑に噛み砕いて言うと「最も効率的だったオプション」ランキングとなるでしょうか。
ザッと見た感じ、プレイタイプがバラバラなのが興味深いですね。
TOP3は上から2019ステフィン・カリーのオフボールスクリーンプレイ、2018ジェームズ・ハーデンのアイソレーション(以下Iso)、2023ニコラ・ヨキッチのポストアップ。以下もデイミアン・リラードのピック&ロールボールハンドラー(以下P&Rハンドラー)、ダーク・ノビツキーのポストアップ、デマー・デローザンのアイソレーション、ジョエル・エンビードのポストアップetc.ポジション・プレイタイプ共にバラバラです。
300ポゼッション以上対象なので、基本的に所謂「1stオプション」「メインオプション」の選手たちです。
ケビン・デュラント(以下KD)がいないのは意外です。調べてみたらラッセル・ウェストブルック、ステフ、カイリー・アービング、ハーデンらと一緒にプレイしてきたのと怪我で各プレイタイプポゼッション数が殆ど300に届いてませんでした。大体はPPPが1.0を超えていて流石の高効率でしたが。
↓はKDが78試合に出場した2019シーズンのIsoポゼッション数ランキング。KDは4位で285ポゼッション、1.06PPPです。
・・・・いつ見てもハーデンのIso1280回は脳がバグります。2位ラス353回の3倍以上です。
ちなみに同シーズンのP&Rハンドラーポゼッション数ランキング。
2019ハーデンはP&Rハンドラーも581回こなし14位。なんと言うか、お疲れ様です。
2023シーズンと比較してみましょう。
2023シーズンのIsoポゼッション数ランキング。
ハーデンは役割やハムストリングスの問題もあって大分数を減らしていますね。ただPPPは1.10で相変わらず高水準です。
そして“新世代Isoキング”ことルカ・ドンチッチが471回で2年連続で1位。いずれの年もPPPが1.11と高い効率。
さらにドンチッチはP&Rハンドラーポゼッション数でも5位で1.06PPP。“新世代Isoキング”はテキトーに思いついたアダ名ですけど、まさに王様級に立派な数字です。
2023シーズンP&Rハンドラーポゼッション数rランキング。
いつぞやも言いましたが、近年は全体的にP&Rの頻度が多くなりました。
ただP&Rは攻守ともに練度・連携も求められるプレイで、ハンドラーにシュートを打たせた時とロールマン(ピック)に打たせた時でPPPに大きな違いが見られる複雑なプレイでもあります。
2023シーズンP&RハンドラーPPPランキング(チーム)。
1位のマーベックスでもPPPは1.03程度で他全て1.0以下。それに対してP&RロールマンPPPランキング1位ナゲッツのPPPは1.29、最下位のラプターズですら1.02、29位スパーズですら1.05でP&RハンドラーPPP1位以上の数値です。
2023シーズンP&RロールマンPPPランキング(チーム)。
「じゃあもっとロールマンに打たせまくればいいじゃない」と言いたいところですが、相手ディフェンスカバレッジを読んで適切なプレイを選択したり他に色々な要素が絡んだ上での数値ですから、中々そう上手くも行きませぬ。
TS%歴代1位ルディ・ゴベアに無理矢理打たそうとしても上手く行かないのと同じですね。
トランジッションオフェンスも全体的に効率良いので増やしたいところですけど
トランジッションオフェンスには、狙いすぎると相手にセカンドチャンスやカウンターを与えやすくなるリスクもありますから、これまた色々複雑です。
・・・・・・なーんか最近「複雑」とか「難しい」って感想ばっかりですね。
なんとなく良い写真で誤魔化せたところで(?)
今回はこの辺で。ではまた。
余談。
近年は一般人でもトラッキングデータの入手が容易になって、お金さえ払えば更に詳細なデータも得られます。
しかし、人間ってのは欲張りなもんで、調べていくうちP&R他、各種カッティング・スクリーンプレイ頻度等々もっと細分化されたデータが欲しくなってくるんです。P&R一つとってもダブルドラッグ、ラムスクリーンからのP&Rやピストルアクションに絡んだP&R、スペインピックに派生していったりと多種多様で複雑です。↑で紹介したデータでは一括りにされていますが。
んで、最近読んだモノにこんなことが書いてありまして↓
カタログの一項目として羽根の色を機械的に記録しているうちに、その茶色と金の混ざり具合がカジンスキーをも超え、モネにも匹敵する色の爆発であることを見落としてしまうことはないだろうか?
思い当たることがあるだろう。
研究対象にひたすら統計学的、解剖学的に接することで、本来、研究動機となったはずの、素晴らしく魅惑的なイマジネーションの世界から離れてしまうのだ。
Alan Moore著『Watchmen』より抜粋
「ギクリ」としちゃいましたね。
バスケに全く詳しくない私の家族が、「見た目が可愛い」という理由でキャム・ジョンソンのプレイに一喜一憂している姿を見た時も「私より余程自由に楽しんどる」と思うところがありました。
常日頃から気をつけてはいますが、「バスケは難しい」「複雑」とか強調し過ぎて他人様の楽しみに水を差さないよう定期的に自分を戒めようと思いましたですはい。
オフシーズンは試合のない禁断症状もあって余計に物思いに耽ってしまいますね。
この精神、これもまた大事。気をつけまする。