NBA’23MVP候補たちの「調子の悪い試合」の平均スタッツ。「MVP候補の不調」は「○○の絶好調」以上?/ドンチッチ、エンビード、ヨキッチ、テイタムetc.

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NBA’23MVP候補たちの「調子の悪い試合」の平均スタッツ。「MVP候補の不調」は「○○の絶好調」以上?/ドンチッチ、エンビード、ヨキッチ、テイタムetc.

The RingerのZach Kram記者が面白い記事を書いていましたので紹介。

“The NBA’s Best, at Their Worst”という記事タイトルで、2023/1/26時点での「MVP候補たちの不調な試合の平均スタッツを見比べてみよう」といった内容。

各選手の「不調な試合」をどうやって決めてるかと言いますと、ジョン・ホリンジャー(※1)が考案した指標Game Score(※2)を用います。

※1:John Hollinger。NBAアナリスト。現The Athleticシニアライター。グリズリーズのバスケットボール運営副社長を務めていた事もあります。
20代の頃から選手を評価するため、貢献を数値化するための手法を考え、それらを人々に伝えてきたバスケットボールアナリティクス界の偉人の一人。
PERを考案したのもホリンジャーです。考案したのは2000年前後と言われ、「PER並びに所謂アドバンスドスタッツの欠点や留意点」を周知しながら、同時にスポーツアナリティクスをより身近な存在にしました。その先進性とバスケットボールアナリティクスへの貢献は計り知れません。

※2:Game Score。GmSc。ゲームスコア。一人の選手の1試合での生産性を大雑把に計る指標。あくまでボックススコア上での評価です。計算式は以下。

(Points)+0.4*(Field Goals Made)+0.7*(Offensive Rebounds)+0.3*(Defensive rebounds)+(Steals)+0.7*(Assists)+0.7*(Blocked Shots)- 0.7*(Field Goal Attempts)-0.4*(Free Throws Missed) – 0.4*(Personal Fouls)-(Turnovers)

黄色の列がゲームスコア。

MVP候補各選手の今季2023/1/26時点までの試合をゲームスコアの高い順にソートして、高い試合と低い試合を同数になるように二分。低い方のグループの平均スタッツを算出。

あくまでボックススコア上での「不調の試合」ですが、ちょっとした話のタネにはなりますし、面白い試みだと思います。

MVP候補の人選は米ベッティングサイトFanDuelでMVPオッズの低い8選手。2023/1/26時点。
本記事では、そこからテキトーに5選手に絞って紹介。(記事が長くなりすぎちゃうので)

前置きが長くなりました。

まずはルカ・ドンチッチ

28.0PPG, 7.8RPG, 8.1APG, 43-32-73 shooting splits, 55TS%

不調の試合でもメジャースタッツ3部門のトータルボリュームに関しては他の追随を許しません。兎に角、シュートを打つ、アシストを出す、リバウンドを掴む。試合終盤4Qともなれば、見るからにバテてるのにそれでも打つ、そして決める。なんてシーンを幾度となく見せてくれます。

ジェイソン・テイタム

25.3PPG, 8.4 RPG, 4.3APG , 42-32-82 shooting splits, 55TS%

好調時と比べボリューム・効率ともに結構な下がり幅がありますが、テイタムにはオフェンスと比べれば不調の出にくい優秀なディフェンスがあります。
ハイレベルなオンボールディフェンス、ヘルプディフェンス、パッシングレーンディフェンス、セルティックスの規律あるディフェンスを遵守できる多才さ、3レベルスコアラーな事も踏まえればリーグTOP3のオールラウンド選手と呼んで差し支えないのではないでしょうか。

ジョエル・エンビード

26.8PPG, 9.3RPG, 4.0APG, 49-33-83 shooting splits, 60TS%

得点量こそ大きな下落幅ですが、効率は60TS%と高水準を維持。ディフェンシブアンカーとしての貢献も非常に大きいので、自身の不調が試合を壊す事は少ない印象です。ファウルをもらい、フリースローも上手いですしね。
コート上での安定感の反面、細かな欠場が多いのは気になる所ですが、プレイオフでの爆発の為だと思えば安いもんです。くれぐれもご自愛下され。

ご自愛しながらハシャいで下され。

ニコラ・ヨキッチ

18.7PPG, 9.6 RPG, 9.4APG, 60-37-79 shooting splits, 67TS%

・・・・・不調の試合でほぼトリプルダブルのTS%67%って、どういうこったよ。

PPGは大きく下がりますが、「シュートを沢山外した」のではなく「そもそも沢山打たなかった」事によるもの。シーズン序盤は特にジャマール・マレー他復帰・新加入選手にシュート機会を多く与えてる印象でしたね。
MVP候補なわけですから、話題に多く上るのはしょうがないんですけど、最近ヨキッチの事ばかり書いてるし見てる気がします。一時の3P関係の話題はステフィン・カリーばかりになった現象を思い出します。

最後、ケビン・デュラント

25.2PPG, 5.9RPG, 4.2 APG, 51-32-93 shooting splits, 62TS%

・・・・・・お前もどういうこったよ。

史上屈指のスコアラーは伊達じゃありません。兎に角、安定感が凄い。しかも好不調の波が出やすいジャンパーを多投しているにもかかわらずの、この超高水準安定感。
レギュラーシーズンで25PPG以上TS%62%以上を同時達成した選手は史上40例を満たしません。KDは「不調の試合」でそれをやってのけています。あくまでシーズン途中の段階ではありますが。

2022シーズンまでの規定試合数出場者対象。TS%順。

数字を持ち出さずとも試合を観れば一目瞭然な精密さ、ジャンパーを放った瞬間の安心感。そして、相手の絶望感はきっと筆舌に尽くし難いものがあるでしょう。

御早い帰還を待っております。

以上。

ヨキッチを除いて皆不調時でも25PPG以上TS%55%以上。現時点でのリーグ平均TS%が57.9%です。エンビードとKDは不調時でも平均以上の高効率でハイスコアリング。不調時でもテイタムは攻守オールラウンドな貢献。不調時でもドンチッチはチームを背負うハイボリュームスタッツ。不調時でもヨキッチは18.7PPGながらTS%66.6%のリーグ9位相当超高効率ほぼトリプルダブル。

今季2023/1/26時点での25.0PPG以上選手のリスト。

世界一当たり前な事を書きますが、やっぱりMVP候補たちは凄いですね。

元記事では他にステフィン・カリー、ジャ・モラント、ヤニス・アデトクンボについての記述もありますので、気になる方は是非。元記事へのリンク

今回はこの辺で。ではまた。

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