【NBA】「シンプソンのパラドックス」と「あらゆるスタッツ/指標はコンテキストが重要で、多角的に用いることが求められる理由」と「好きに捉え自由に楽しむ大事さ」と。/ペイサーズ、セルティックス、グリズリーズ、スティーブン・アダムズ、ヒールド、ブログドン

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【NBA】「シンプソンのパラドックス」と「あらゆるスタッツ/指標はコンテキストが重要で、多角的に用いることが求められる理由」と「好きに捉え自由に楽しむ大事さ」と。

本記事は昨日の記事の続きです↓。

本記事から読み始める方のために前回記事を簡単にまとめますと

近年非常に多くなったスタッツ・指標の種類、それらデータへの選手・ファン・メディアの付き合い方の多様性について云々。

となります。

今回の記事は、その付き合い方について、もう少し掘り下げてみましょう。

始めに、私が常日頃スタッツ・指標と向き合い記事へ引用する際に意識・自戒している統計学用語に“Simpson’s paradox”「シンプソンのパラドックス」というものがあります。

「シンプソンのパラドックス」を超雑に説明しますと、「部分・個別の統計から得られる印象と実際の全体の統計から得られる結果に齟齬が出る現象」を指します↓。

もっと詳しく知りたい方は上記画像引用元wikiなりでお調べ下され。

NBA選手に当てはめて説明してみましょう。

2023シーズン、マルコム・ブログドンはFG48.4%3P44.4%と非常に優秀なFG効率を記録しました。一方、バディ・ヒールドはFG45.8%、3P42.5%で両方ともブログドンに劣る効率です。パっと見ではブログドンの方が効率が良い様に思えます。

しかしeFG%を見るとブログドン57.4%、ヒールド59.6%でヒールドの方が効率的に見えます。

ヒールドは全FGA中3Pを打つ割合(3PAr)が非常に高いのでこういった結果が生まれます。

ブログドンの平均3P試投数4.4に対し、ヒールドは8.5。3PArはブログドン40.6%、ヒールド65.2%。

上記例はFG効率、つまりeFG%を用いましたが、これをフリースロー効率も含めたTS%にするとブログドン61.5%対ヒールド61.4%でまた逆転します。

チーム内での役割やオープンでのシュート頻度でもまた評価は変わってきます。

注目する部分によって、得られる印象はコロコロ変わります。(上記例は厳密に言いますと「シンプソンのパラドックス」とは少し違います)

シュート効率一つとっても御覧の有様ですから、選手をより詳しく全体的な評価をしようと思ったのなら、さらに複雑さは増していきます。

この「複雑さ」や「ややこしさ」を楽しめるか否かは人によりけりだと思いますが、私は楽しめるクチであります。

統計学において大体は悩みのタネである「シンプソンのパラドックス」は、NBAファンにとっては面白くて有益なモノです。

というのも、「シンプソンのパラドックス」があるからこそ私は選手へ注意深く詳細に評価・観察をして、その過程で新たな見所・改善点・努力の痕跡を目にする事も非常に多いからです。

当ブログ記事の執筆もその一環と言えます。「読者の皆様に極力いい加減な情報は届けたくない」と調べものをしている過程で得た有益なモノは数知れず。いつぞやも言いましたが、当ブログを始めて以降見たい試合・選手・チームは増える一方です。

我が愛しのスティーブン・アダムズはキャリアTS%が59.1%でリーグ平均に対し+3.5%。一見優秀なシュート効率を持っているように思えますが、そのポジションとシュート範囲を鑑みると、シュートスキルは乏しいと言わざるを得ません。

2016~2023スティーブン・アダムズのトゥルーシューティングチャート。
ほぼ全てペイント内、特にゴール下でのシュートを主にしてのTS%60%は優秀とは言えません。

しかし、スクリーン、シーリングによるレーン確保、オフェンシブリバウンド、ハブ役等々、スコアリングが苦手でありながら高い技術も度々見せてくれる縁の下の力持ちです。

2.3年目チームメイトが大きく様変わりしていく中での安定した好影響。キリがないので詳細は省きますが、スティーブン・アダムズのプレイ・スタッツ・言動は言わば「シンプソンのパラドックス」に溢れていて、新たな発見が多く、いつ見ても飽きません。
BBall Indexによるスタッツ・指標上での得意不得意一覧。
来季は是非とも怪我なくプレイオフで。

以上。

今回「シンプソンのパラドックス」を紹介しましたけども、いつもより執筆に迷いました。

というのも、この概念は選手たちの記録やスタッツに水を差したり疑心暗鬼に陥らせてしまう可能性も秘めているからです。

ただ、個人的には楽しんでいますし、選手・チームの評価を公平にしたいのであれば気を付けなければならない概念です。

極一部の時間帯や限られた状況でのスタッツ、小さなサンプルサイズのスタッツを取り上げて「○○は勝負弱い」とか「実は○○は大した事ない」なんて主張がされているケースもザラに見かけます。(勿論逆のケースもあります)

まぁ「他人がどうこう」よりも自戒の意味も込めて今回記事を上げてみました。

当ブログで度々言っている

あらゆるスタッツ/指標はコンテキストが大事で、多角的に用いることが求められます

の別の言い方みたいなもんですね。さらに言い換えれば「よーく見ていけば大抵の選手が好きになり得る」とも。

これも毎回言ってますが、楽しむ事だけが目的なら「スタッツ/指標他、好きに捉えて自由に楽しむ」事の方がずっと大事だと思います。我々はあくまで“ファン”ですし。

なにやら小賢しい記事になってしまいましたが、こっちのシンプソン↓に免じて許してください。

アメリカの人気長寿コメディ『ザ・シンプソンズ』
過去にはレブロンやコービー、ヤオ・ミンが番組内でネタにされた事もあり、ミームもよく見ます。

今回はこの辺でではまた。

余談。

『ザ・シンプソンズ』の登場キャラクター、リサ・シンプソン。

『ザ・シンプソンズ』を何度か見てると無性に可愛く見える不思議。キャラクターデザインとは奥が深いです。

けど立体化するとやっぱ怖い。

「読者の皆様に極力いい加減な情報は届けたくない」とか言ったわりに趣味全開自己満上等の記述もやめられないんだから困ったもんです。

趣味全開でレゴブロックに恍惚とするマイルズ・ターナー。動画へのリンク

ではまた。

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