【NBA】スラムダンク・タフ3P・ノールックパスよりも難しくて効率的で魅力的で奥が深いプレイ?歴代フリースロー名(迷)場面集。3P%とFT%とFTAと得点量の相関関係。
NBAファンには各々好きな選手がいるように、多少なりとも「好みのプレイ」ってのがあると思うんです。
ただ、「好みのプレイ」を聞かれて「フリースロー」と答える人はそうはいないんじゃないかと思います。
「フリースローを得るためのテクニック」に魅了される事はあっても、フリースローそのものに魅了されたり感動する事は恐らく少ないでしょう。
フリースローは非常に大事なプレイですが、ハイライト集・歴史的瞬間にフリースローのシーンが含まれる事はあまりありませんし、あったとしてもフリースローを決めた事より外した事の方がクローズアップされています。
以上の様にフリースローは選手・チームの運命を左右する超重要なプレイです。近年はビッグマンでもフリースローの上手い選手が増えましたし、「フリースローを得る事」「フリースローを与えない事」は大事です。
そう、フリースロー大事、超大事。期待値も超高い。(※)
※:あくまで数学上かつ雑に説明しますと、FT%が70%しかない選手でもフリースローを2本連続で決めてくれる確率は49%。FT%80%なら64%、FT%85%なら72.25%もあります。大抵の選手が高効率に得点出来ちゃいます。FTラインに立つと大抵の選手がステフ、KD、ヨキッチになります。
ニック・クラクストンやヤコブ・パートルのようなFG%が高くFT%が極端に低い選手やゴール下ワイドオープンのような特殊な状況を除いて、フリースローを与えるくらいならオープンでFG打たせた方がマシというケースは多いです。
ただし、上記はあくまで数学上での話です。実際は試合展開、自チームオフェンス、相手ディフェンスの多くの要素を踏まえた上でプレイは選択され、得点期待値も変化します。
・・・・なんですけど、試合を観ていて「フリースロー決めたぁぁぁぁ!!うぉぉぉぉ!!」とは中々なりません。
外した時に「っんだよ!もぉぉ!!」とはなりますけどね。
しかし、何事も楽しまにゃあ損です。僭越ながらフリースローに関する注目ポイント、興奮できそうな見所をいくつかまとめてみました。
まずパッと思いついたのはスパーズのジェレミー・ソーハン。早速ビクター・ウェンバンヤマと仲良くしているシーンも見受けられるナイスガイでありエナジャイザーであり片手フリースローの使い手。
次にステフィン・カリーらフリースローの得意な選手の連続記録。少し意地悪な見方ですけど、決めた時より外した時の方がレアですので、どっちにしろ面白いです。
フリースローレーンでは熾烈なポジション争いがあったり、時にはチームの垣根を越えたリスペクトも見られます。
最後に2023シーズンのフリースローに関するスタッツ・指標をいくつか。
75ポゼッションあたりでのフリースロー試投数ランキング。(Stable FTA Per 75※)
※:Stable FTA Per 75のStableは直訳すると「安定した」「変動の少ない」といった意味で、Stableがついてる時は、そのスタッツが試行回数を基にして、より信頼性を高める調整がなされている事を意味します。
2本中1本決めたのと100本中50本決めたのは同じ50%ですけど、後者の50%の方がより信頼性の高い50%になります。それを実際に数値に反映させるのがStableスタッツです。
ポジション・役割問わず様々なタイプの選手がいて、優秀なスコアラー揃いです。当然ながら75ポゼッションあたりでの得点量とも強い相関関係が見られます。
「3P%の高い選手はFT%も高い」って印象ありますけど、こちらには然程相関関係は見られません。
やっぱりフリースローはメンタル面の影響も強く出るって事でしょうかね。
ドウェイン・ウェイドは「バスケットボールで最も難しいショットは?」の問いに「オープンショット。考え過ぎちゃうから」(意訳)と答えてましたし、
スーパースター・NBA選手と言えど、そこら辺の緊張・苦悩は日本世界人類共通だと思うと、これまたフリースローを応援したくなります。
以上。
今回はこの辺で。ではまた。
おまけ。
日本では漫画『スラムダンク』で一躍有名になったリック・バリーのアンダーハンドフリースロー(下手投げ)。
リック・バリーはこのフォームで非常に高いFT%を残しました。
しかし、現在このアンダーハンドフリースローを採用している選手はあまり見られません。
その理由は色々あるでしょうが、その一つに「見栄えが悪い」というのがあります。残念ながら「カッコ悪い」と考える人もいるんです。
漫画『スラムダンク』では、見栄っ張りなはずの桜木花道がなりふり構わず上手くなろうとする姿を表していて、むしろカッコ良いフォームですけど、アメリカではアンダーハンドフリースローは“Granny Shot”「おばあちゃんシュート」とも呼ばれ、からかう向きが一部あるんです。
かつてリック・バリーはシャキール・オニールにアンダーハンドフリースローを伝授しようとしましたが、シャックは「0%を記録した方がマシ」と拒否。
ウィルト・チェンバレンはキャリアFT%が51.1%しかありませんが、ある年のある試合アンダーハンドによるフリースローで28/32、87.5%もの高確率を記録し、伝説の1試合史上最多100得点を達成しました。
しかし、翌シーズン以降チェンバレンはアンダーハンドフリースローをやめてしまいます。その理由を自伝の中で「愚かで子供っぽく思えたんだ。自分が間違っていたことはわかっている。偉大なフリースローシューターの打ち方だ。ただ俺にはできなかったんだ」と述べています。
やはりフリースローは奥が深い。
いつか心眼でフリースローを打つ選手が現れるかも?
アンダーハンドフリースローの再来と共に気長に待つとしましょう。
・・・・・心眼は流石にないな。