ロンゾ・ボールとアレックス・カルーソの堅守【’23スターたちの帰還】

目次

はじめに

昨季’22長期欠場を余儀なくされた選手たちに焦点を当てて、軽く語ろうと思います。

今回はシカゴ・ブルズのロンゾ・ボールとアレックス・カルーソ。

怪我をする前の活躍

昨季’22開幕前のシーズン予想ではブルズの評価は決して高くありませんでした。

オフにロンゾ、カルーソ、デローザンを獲得しロスターの大改造をしたとはいえ、皆スーパースターと呼べるほどの選手ではありませんし、間違いなく実力者ではありますがデローザンは32歳とザック・ラビーンとのタイムラインの合わなさが疑問視される事もありました。

しかし蓋を開けてみれば、あれよあれよの快進撃。ブルズは一躍話題のチームになりました。

特にデローザンは一部から疑問視もされていただけに、そのクラッチな活躍も相まってまさに“時の人”でした。

ですが今回注目したいのはロンゾとカルーソ。ブルズにとって二人がどういった存在だったのかを見ていこうと思います。

昨季シカゴ・ブルズは46勝36敗(勝率.561)でした。

ロンゾ・ボールはシーズン後半の42試合を欠場しトータル35試合の出場。出場試合の戦績は22勝13敗(勝率.629)

アレックス・カルーソはシーズン中盤にまとまった数の試合を逃し、プレイオフ前に戻っては来れましたがトータル45試合出場(内4試合がプレイオフ)。出場試合の戦績は24勝17敗(勝率.585)

特にロンゾが離脱した2022/1/14時点ではブルズは27勝13敗でイースト首位を走っていただけに、二人の離脱は悔やまれるものでした。

二人の離脱によってブルズから何が損なわれたか?

まず一つはディフェンス。

ロンゾのOn Court DefRtgは108.2でDifferential(コートにいる時といない時の違い)は-8.6になります。わかりやすく言いますとロンゾがいると100回の守備機会あたり8.6点も失点を抑える事ができます。(以下数字はCleaning the Glassから)

カルーソのOn Court DefRtgは108.1でDifferentialは-8.5です。

2人ともDefRtgのDifferentialでパーセンタイル(リーグの全員を0~100にスケーリングした評価、100に近いほど優秀)が95以上とリーグでトップクラスに影響力のあるディフェンダーでした。

カルーソは闘犬のようなオンボールディフェンスを見せ、ロンゾは210cmのウィングスパンによる範囲の広いエリアディフェンスで私を楽しませてくれました。

2人が揃った時のブルズのディフェンスは特に強力になります。

もう一つは多様性。

↑のディフェンスにも言える事ですが、離脱以降はブルズの繰り出せる策・選べる選択肢は明らかに減りました。オフェンスはデローザンやラビーンによる1on1、Isoの比重が増え、ブーチェビッチを絡めた2メンゲーム等もやりはするものの、試合終盤は相手にとって読みやすい・対応しやすい単調な攻めが目立ちました。

ロンゾ13.0PPG、カルーソ7.4PPGと得点量はそこまでありませんがカルーソのカッティングや、特にロンゾのプレイメイキング、トランジッション、3Pが使えなくなったことはブルズのオフェンスにとって非常に大きな損失になりました。

ディフェンスにおいても、前述の通り優れたPOAディフェンダー(POA=ポイント・オブ・アタック。メインハンドラーや攻撃の起点になる選手などを指す)を二人も失うことは後手に回ることを増やし、相手のやりたい攻めを好きにやらせることに繋がりました。

’23への期待

’23のロンゾとカルーソに期待したい事はずばり「勝利」です。誰にだってそうなんですが、この二人・ブルズには特にそうです。

怪我人・欠場者に苦しむというのは多かれ少なかれ毎年どのチームにもある事です。言い訳にはなりません。

しかし昨季前半ブルズのイケイケなバスケは見ててやはり胸が躍りました。もし怪我人が出ずあのままの勢いでプレイオフに進んでいたら?と思ってしまう事があります。

その「If」を来季は見てみたいです。

ロンゾは鳴り物入りでNBA入りし、才能の片鱗と成長を見せ続けてはいるものの、いまだプレイオフ経験はなし。

カルーソはフラれる形で優勝したレイカーズから去り、改めて自分を証明し優勝をしたいはずです。

カルーソは以前JJ・レディックとの対談でこのような事を述べています。(一部抜粋)

(NBAを目指している)選手がGリーグでくすぶっている大きな理由は“自分が何のオーディションを受けているか”を理解していないからです。

スカウトたちはGリーグにCFO(会社のお偉いさん、つまりスター)を捜しには来てない、毎日働いてくれる清掃員を捜しに来てる。“自分が何が得意でチームが何を必要としているか”を認識するのが大事

そして↑の発言を象徴するかのようなスタッツを古巣レイカーズを相手に残しています。34分出場で0得点にもかかわらず+/-で+28と実に“らしい”数字。

1試合での+/-は選手を評価する物差しとしては正直好ましくありませんが、面白いスタッツではあります。

デローザンとラビーンという優秀なスコアラーがいる以上、ロンゾとカルーソがスーパースターのような扱い・サラリーを手にすることは、恐らくないでしょう。

ですが、彼らはブルズにとって間違いなく“自分が何が得意でチームが何を必要としているか”を理解しているキーパーソンです。

来季ブルズの健康と再躍進を願いつつ

今回の【’23スターたちの帰還】はここまで。ではまた次回。

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