【“クラッチ”って何?】NBA公式による定義とファンが持つイメージの間に大きな乖離がある“クラッチ”/“勝負強さ”という奥深い言葉。

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【“クラッチ”って何?】NBA公式による定義とファンが持つイメージの間に大きな乖離がある“クラッチ”/“勝負強さ”という奥深い言葉。

NBAで“クラッチ”という単語はよく聞きます。チャンスや土壇場に強い選手を指して「クラッチプレイヤー」ですとか、そういったシーンでのプレイ/シュートを「クラッチプレイ/クラッチショット」と呼んだりします。

日本語に訳せば「勝負強い」となるんでしょうが・・・・・少し待って頂きたい。

「勝負強い」って何?「クラッチ」って具体的に何なの?

重箱の隅をつつくようですが、私にとってこの疑問は結構重要な議題です。というのも「クラッチ」「勝負強さ」という単語が「選手を称賛するためだけ」に使われるならまだしも、時として選手を「非難するため」にも使われます。つまり「勝負強さ」は「選手の評価基準」として用いられています

↓画像は昨季クラッチゲーム(※)の勝率を記したもの。

※:試合終了まで残り5分以内で5点差以内の時間帯があった試合。

勝率で1位のサンズはプレイオフカンファレンセミファイナルス第7戦で大敗を喫しました。前半で勝敗が決し、レギュラーシーズン中あれだけ“勝負強さ”を発揮していたクリスポールは僅か10得点。しかしクリスポールは直前の対ペリカンズシリーズでFG14/14で33得点のプレーオフ記録を樹立。が、今までのプレイオフでは度々怪我に見舞われ“土壇場での不運”もよく話題になります。じゃあ「実はクリス・ポールは勝負弱いのか?」と言えば、そもそも前述の“勝負強さ”がなければその舞台に立ててさえいません。

一方セルティックスは勝率でワースト2位。しかしプレイオフではファイナルまで進出。けどもテイタムはファイナルで大苦戦。ですが1回戦からKDのいるネッツを相手にブザービーターを決め、その後もバックスとヒートを相手に活躍し、テイタムなしではファイナル進出は間違いなく叶わなかったはずです。

公式に“クラッチスタッツ”とは「残り時間5分5点差以内でのスタッツ」と定義されてはいるものの、ファンが“クラッチ”/“勝負強い”と聞いてイメージするのはデイミアン・リラードやレジー・ミラーのようなゲームウィナー・ブザービータ―を数多く決めてきた選手でしょう。しかし彼らは優勝した事がない。じゃあ彼らはクラッチでない?無理があります。

エンビードはクラッチスタッツは素晴らしいものの、残り1秒でのゲームタイorゴーアヘッド(決勝点)を狙ったFGが0/14でした、昨季プレイオフ一回戦対ラプターズ第3戦で残り0.7秒に3Pを決めるまでは。エンビードは現在勝負強いのか?そうでないのか?

クラッチに限らず、切り取る場面でその選手への印象はいくらでも変化します。うーん、非情に難しい。

しかし非常に難しいからこそ、そこには「自由な議論と空想のための余地」があります。

なにはともあれ、我々ファンにとっての結論は

で良さそうです。

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