【NBA】歴代プレイオフ攻守最強チームランキングと昨季ファイナリストと、2000年以降一番人気チームたちのプレイオフ結果を振り返って考えるNBA2024プレイオフ他。/ピストンズ、レイカーズ、ナゲッツ、ウォリアーズ、マイアミ・ヒート、セルティックス、ブルズ

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歴代プレイオフ攻守最強チームランキングと昨季ファイナリストと、2000年以降一番人気チームたちのプレイオフ結果を振り返って考えるNBA2024プレイオフ他。

いやー今年もプレイオフでアツい戦いが繰り広げられてますなぁ・・・・・・・

実を言いまして、本記事はプレイオフ開幕前に書いております。プレイオフが始まると時間がとりづらくなるので書き溜めに頼っております。タイミングのずれた記述・違和感があるやもしれませんがご留意下さいませ。

では気を取り直して

本記事では昨季プレイオフデータや歴代プレイオフスタッツを眺めて、今季プレイオフを更に楽しむ燃料にでもしましょう。

まず昨季優勝はナゲッツ、ファイナルでの相手はヒート。両チームともレギュラーシーズンスタッツはそれほど突出していませんでした。イースト7位だったヒート(プレイイントーナメントで第8シードに)はまだしも、ナゲッツはウェスト1位だったにもかかわらず、レギュラーシーズン終盤での“アクセルの緩さ”も手伝って「優勝大本命」とは程遠い評価でした。

昨季2023ナゲッツとヒートの開幕以降優勝オッズ推移。上段がナゲッツ、下段がヒート。BetMGM準拠。

昨季2023レギュラーシーズンNetRtgランキング。

ナゲッツはNetRtg6位程度。DefRtgは17位。
ヒートはNetRtg20位。OffRtg25位。

「プレイオフとレギュラーシーズンの違い」について語られる時、よく挙げられる事の一つに「プレイオフはよりチェスマッチになる」というのがあります。つまり自軍最強の駒で攻めるだけでなく、相手の攻め方・守り方に適切に対応していく事が大事になります。カウンターが大事になります。カウンターへのカウンターも大事になります。カウンターへのカウンターへの以下略。

ヒートのエリック・スポーストラHCが混ぜるゾーンディフェンスはその好例と言えるでしょう。

昨季レギュラーシーズンのヒートは全ディフェンシブポゼッション中の19.7%でゾーンを使用。プレイオフでは15.7%使用。これは非常に多い数字です。昨季レギュラーシーズンのゾーン使用率2位はブレイザーズで14.9%。3位はラプターズで8.4%。Synergy Sports準拠。引用元記事:The New York Times

ゾーンディフェンスはシュートエリアの広い選手揃い、かつアスレティックなNBAでは非常にリスキーです。余程運動量豊富かつスムーズに連携しないと効果的にはなりません。実際ゾーン使用率2位ブレイザーズと3位ラプターズの昨季DefRtgは27位と14位。オフェンスでも覚えなきゃいけない事・やらなきゃいけない事は山ほどありますから、効果的なゾーンディフェンスをチームに徹底させる事・混ぜる事は非常に困難です。

それをやってのけたのが昨季ヒートであり、昨季レギュラーシーズンOffRtg4位だったセルティックスは、プレイオフでゾーンの混ざった変幻自在のヒートディフェンスに適切に対応する事は出来ませんでした。カウンターを上手く打てませんでした。

昨季プレイオフでのセルティックスの対ヒート戦以外での平均スタッツ。

対ヒート戦7試合での平均スタッツ。

良い形で打てずとも3P試投数は変わらず、最後まで打ち続けました。必ずしも悪い事ではないんですけどね。
上記画像はジェイレン・ブラウンの昨季プレイオフ対ヒート戦7試合でのトゥルーシューティングチャート。やり玉にあげる様で恐縮ですが、特にジェイレン・ブラウンは不得手な左ドリブルをつかせられるなどヒートの対応に苦戦しました。

ここまで読んで、「単にセルティックスの3Pがたまたま入らなくなっただけでは?」と御思いの方がいるかもしれません。実際3Pは統計的にバラツキの多くなるシュートです。3Pは短期決戦において致命傷になり得るリスクを抱えているとも言えます。

そのリスクとヒートディフェンスを克服したのがナゲッツオフェンスです。

昨季プレイオフでのナゲッツのOffRtgは119.5(Stathead準拠)。これは歴代優勝チーム中2位の高さです。

歴代優勝チームOffRtgランキング。

ついでに歴代優勝チームのDefRtgランキング。

歴代優勝チームの平均得失点差ランキング。

話をナゲッツに戻しまして

昨季プレイオフでのナゲッツの対ヒート戦5試合平均スタッツ。

ナゲッツはヒートとのシリーズでは3P%が33.3%しかありませんでした。それどころか勝利した4試合の内3試合は30%未満でした。

しかし、3Pが入らずとも勝ちきれるだけの引き出しと、その引き出しから武器を適切に選べるBBIQがナゲッツにはありました。対レイカーズシリーズと比較してみても顕著に窺えます。

アンソニー・デイビスを中心にしたレイカーズの強固なインテリアディフェンスに対し、ナゲッツはジャマール・マレーの得点、チーム全体での3P試投数が非常に多くなりました。

マレーの対レイカーズ戦4試合の平均スタッツ。

ナゲッツの対レイカーズ戦4試合平均スタッツ。

ヒートとのシリーズでは平均3P試投数25.8。レイカーズとは36.0。ナゲッツの2023レギュラーシーズン平均3P試投数は31.2でリーグ25位程度でした。

ヒートとのNBAファイナル、マレーの平均得点はレイカーズ戦での32.5から21.4に激減。それはマレーが不出来だったからではなく、ヒートの変幻自在なディフェンス・トラップに上手く対応したからです。

マレーの対ヒート戦5試合の平均スタッツ。

レイカーズ戦では5.3だった平均アシストが10.0まで伸びました。

その分、高さやパワーで大きなアドバンテージのとれるヨキッチの得点、チーム全体でリムへのアタックが増えました。

ヨキッチの対レイカーズ戦4試合の平均スタッツ。

増えたと言ってもレイカーズ戦で十分多かったんですけどね。

ヨキッチの対ヒート戦5試合の平均スタッツ。

ナゲッツ選手たちの対レイカーズシリーズスタッツ一覧。

ナゲッツ選手たちの対ヒートシリーズスタッツ一覧。

NBAファイナルという超土壇場になってルーキーのクリスチャン・ブラウンの出場時間が増えたのもポイント。レイカーズ戦ではトータル20分程度(2試合はDNP)だったのがヒート戦では82分。チーム全体でよく準備されている事の表れとも言えるでしょう。
レギュラーシーズン中にローテ外を経験しながらプレイオフになって復活したヒートのダンカン・ロビンソンにも同じ事が言えますね。

ヒートが唯一勝利した第2戦。試合後記者会見でのエリック・スポールストラHCの様子が強く印象に残っています。

当時「ヨキッチには得点させてアシストを封じるべきなのでは?」といった言説が囁かれた事で、インタビュアーが「ヨキッチをスコアラーにするのか、パサーにするのか。彼は今日4アシストのみでした」とスポに質問。するとスポは不快感を露わにし、「馬鹿げてる。(バスケについて)トレーニングされていない人間の言う事だ。2度も地球上で最高だった選手に『よし、彼にはスコアさせよう』だの出来るわけがない。我々は困難かつ様々な方法で対応しなきゃいけない」等コメント。勝利後とは思えない雰囲気でした。
動画へのリンク

こういったプレイオフでの変化・対応・コーチたちの気苦労は、レギュラーシーズンから通して見ていると尚更面白く感じます。

敗れはしたものの、NBAファイナル後のスポの言葉は、やっぱり強く印象に残っております。

もし自分が無視されたり、軽視されたと感じたのなら・・・・・我々のロッカールームには同じ経験をした人間が沢山いるよ。

決してドラフトプロフィールが高かったわけではない選手たちによる、まさにチェスマッチなNBAファイナルでした。
動画へのリンク

願わくば、今年も良きプレイオフでありますように。

今回はこの辺で。ではまた。

おまけ。余談。

気づいたらナゲッツとヒートのみの記事になっていました。ごめんなさい。

お詫び代わりに

2000シーズン以降プレイオフ開幕時一番人気チームのプレイオフ結果と優勝チームのプレイオフ開幕時オッズ順位。BetMGM準拠。

あくまでベッティングサイトBetMGMのオッズでしかありませんが、一番人気チームが優勝したのは2018ウォリアーズが最後。直近4年間はNBAファイナルにも辿り着いていません。

2023優勝したのは5番人気だったナゲッツ、2022優勝ウォリアーズは4番人気、2021優勝バックスは6番人気、2020レイカーズは2番人気、2019優勝ラプターズは4番人気。

NBAは波乱に満ち溢れております。

本記事でこんだけナゲッツを持ち上げておいて今季1st Roundで敗退なんて事になったら、私ゃ笑いながら泣くと思います。

笑いながら泣く人。
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