今季’23プレイメイカーランキング。/アシストとプレイメイキングと身長の相関関係。/そもそも「プレイメイキング」とは何ぞや?/ハリバートン、ヨキッチ、ドンチッチ、トレイ・ヤング、サボニス、レブロンetc.

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今季’23プレイメイカーランキング。/アシストとプレイメイキングと身長の相関関係。/そもそも「プレイメイキング」とは何ぞや?/ハリバートン、ヨキッチ、ドンチッチ、トレイ・ヤング、サボニス、レブロンetc.

本記事は以前上げた記事「身長の大きさは3Pにどういった違いを見せているのか」↓のアシストバージョン。

「身長の大きさはアシスト量にどう影響しているのか」です。前回書いた前置きは省いて、早速見ていってみましょう。

まずは縦軸がAst/75(75ポゼッションあたりでのアシスト数)、横軸が身長の散布図。2023/3/17時点。

ニコラ・ヨキッチのようなイレギュラーはいるものの、ハッキリと負の相関関係が見てとれます。背の小さい選手はアシストが多く、身長が高くなるにつれてアシスト数は減っています。

では、背の高い選手はパスが下手な傾向にあるのか?プレイメイキングは不得手なのか?

次は“Playmaking Talent”プレイメイキングタレントと身長の散布図を見てみましょう。

こちらも若干右肩下がりな傾向は見受けられますが、Ast/75との散布図とは大分異なった結果です。レブロン・ジェームズやヤニス・アデトクンボらの位置が高くなっています。

これは引用元のBBall Indexが“Playmaking Talent”「プレイメイキングタレント」を評価する際、アシスト数以外の要素も多く考慮しているからです。(※)

※1:ざっくり説明しますと
1「どれだけチームメイトに多く得点チャンスを作れたか」
2「どれだけ期待値の高い得点チャンスをチームメイトに作れたか」
3「どれだけ多才なパスを出していたか」
4「どれだけミスを少なく効率良くパスを出していたか」
5「どれだけディフェンスを引き寄せられているか」
の5つを総合的に評価した指標。
5つそれぞれをどうやって評価しているか、さらに詳しく知りたい方はこちらへ→BBall Indexの用語解説

「プレイメイキング」「プレイメイカー」は非常に奥深くて曖昧な単語で、アシスト量も重要な要素ではありますが、同時にソレのみでプレイメイキングは推し計れるものでもないって事だと思います。

生意気を言わせてもらえば、BBall Indexの“Playmaking Talent”も「スクリーン・オフボールムーブメント・ポジショニングでのプレイメイキングへの貢献」は然程考慮されていませんから、私にはそのままプレイメイキング評価に繋げたりは出来ません。
ドマンタス・サボニス(以下ドマス)、スティーブン・アダムズ、ニコラ・ヨキッチらビッグマンのプレイメイキングにおいて、「スクリーン・オフボールムーブメント・ポジショニング」は非常に重要な要素だと思います故。

話が脱線してしまいました。とりあえず本記事ではアシスト・パス数にフォーカスして話を進めます。(プレイメイキングについては考え方捉え方に各々違いがあって面白いですし、またいつか別に記事を書くと思います)

ヨキッチやドマスを除き、ビッグマンはアシスト・パスの数は少ない傾向にあります。どちらが得意かを言えば明らかに背の低い選手の方が得意な傾向にあります。
ただ、「ビッグマンはアシスト・パスが下手」と捉えるよりは「まだまだビッグマンはフィニッシャーとしての役割が求められている」と捉える方が面白いかなー、とも思います。

セルビア時代のコーチ曰く、ヨキッチは始めからパスが上手かったらしいですけど、セルビア時代はアシスト少なかったですしね。

ヨキッチのセルビア時代スタッツ一覧。※画像クリックで拡大

NBAデビュー直前の’15シーズンでも平均29.5分出場で3.21APGと控えめ。

ドマスのお父さん、アルヴィダス・サボニスも名パッシングビッグでありながらNBAでのキャリアAPGは僅か2.1です。

ドラフト後長い時間を置いて、全盛期を過ぎてからのNBA入りだったので他レジェンドと比べ数字は控え目。ですが間違いなく国際的スーパースターでありNBA国際化の開拓者の一人であり超レジェンド。

アルヴィダス・サボニスが全盛期で今のNBAに舞い降りたら、どんなプレイメイキングを見せてくれたのかが非常に気になります。
それに、パサーを任せられていないだけで、優れたパッシングビッグが現NBAにまだまだ潜んでいるかもしれません。

PF/C登録選手限定のHV Ast/75(※)と身長の散布図。2023/3/17時点。※画像クリックで拡大

※:75ポゼッションあたりでのHigh Value Assistハイバリュ―アシスト数 。ハイバリューアシストは3Pへのアシスト、At Rimアシスト、フリースローへのアシストの事です。

パスカル・シアカムはラプターズからカワイ・レナードがいなくなった後の’20’21、スコアラーとしての大成はならなかったんですけど、昨季’22はプレイメイカーとして大きな飛躍・バウンスバックを果たし、今季’23上記画像でも高位置。しかも今季’23はAPG・PPGでキャリアハイ。さらに平均出場時間でリーグ1位。頭が上がりませぬ。すぐ下に位置するスコッティ・バーンズ共々期待しております。

ケニー・ロフトンJrも出場時間を確保するのにまだ長い道のりがありそうですが、非常に楽しみな位置。なんだったらラプターズ行ってシアカムに出場時間分けてもらいましょう。高い負担が減ってwin-win。(冗談です)

最後に今季’23プレイメイキング タレントランキング。パッシングエフィシェンシー(※)を添えたもの。2023/3/17時点。

※:Passing Efficiency。パッシング エフィシェンシー。
ざっくり説明しますと、「チームメイトへの効率の良いショットクリエイトに対するミスの多さ」を表す指標です。
より一般的で似たようなスタッツに“Ast/Tov”「アシスト/ターンオーバー」がありますが、“Ast/Tov”のターンオーバーにはトラベリングやロストボール等パス能力とは関係の薄いミスも含まれるのに対し、パッシング エフィシェンシーではBad pass数を考慮し、よりパスの堅実性にフォーカスした指標と言えます。詳しくはこちら

上記ランキングの2項目以外にもアシスト・パスに関する指標は多くありますけど、この2つをチョイスしたのは、2つの不一致さが面白いと思ったからです。

プレイメイキングタレントの高い選手は、必ずしもパッシングエフィシェンシーが高くありません。というか真っ赤(非常に低い)な選手もいます。

効率の良いプレイメイキング・期待値の高いショットをクリエイトするには「ミスをしない」だけでなく、ミスの可能性が高くなろうとも時には攻めたパスが必要って事でしょうか。

つくづくプレイメイキングってのは複雑で奥深い単語です。

今回はこの辺で。ではまた。

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