【ロッタリーピック確率表】各チームがビクター・ウェンバンヤマを手にする確率は?ユーロ/国際試合での成績は?そこから優勝する確率は?過去にチームをひっくり返した選手は?

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【ロッタリーピック確率表】各チームがビクター・ウェンバンヤマを手にする確率は?ユーロ/国際試合での成績は?そこから優勝する確率は?過去にチームをひっくり返した選手は?

各チームがプレシーズンゲーム初戦/新ロスターお披露目を済ませ、メディアは常に目新しい話題に飢えている事も手伝い、ビクター・ウェンバンヤマへの期待と展望を伝える報道は過熱しました。(今はドレイモンド・グリーンの話題に移り気味)

それだけのタレント/期待感がウェンバンヤマにはあります。あのGリーグ・イグナイトとの2試合を観て、夢やロマンを抱かないバスケファンは、そうはいないでしょう。

となると当然、指名チャンスのあるチームのファンは「ウェンバンヤマ欲しい」と思います。

そして中には「○○は今季タンク(※)するべきだ」「○○はタンクするべきか否か?」の声が生まれます。

※:俗語なので非常に曖昧かつ広い意味を持ち、人によっても違いますが、ざっくり言えば「上位指名を得るために、わざと負けようとすること」です。
ただし、「コートにいる選手が手を抜いたり八百長をする」わけではないです。
優勝やプレイオフ進出の見込みがない時に、フロントがロスター編成を「“勝ちに行くため”ではなく、“ドラフト/FA/トレードで動きやすくするため”」の編成にしたり、HCが現有最高戦力を用いるのではなく、若手選手の成長やトレード価値を高めるための選手運用をしたりするのが「タンク」と呼ばれます。

私は正直言いまして「タンク」は嫌いです。「成長を促すため若手起用を中心にする方針」くらいならまだ良いですけど、「トレード価値を高めるための選手起用」や「怪我でもない有力選手を座らせる方針」は“つまらない”です。

ただ、それは「タンクをすべき」「タンクをすべきなのか?」の声を挙げている各チームファンだって同じでしょう。誰だって好き好んで「タンク」や「タンクをする状況」を望んだりはしません。
失礼な言い方になりますが、「応援しているチームが弱い」「十分なタレントが揃っていない」と思っているから、仕方がなくタンクを望んでいるのでしょう。
逆に言えば、「応援しているチームにもっと強くなってほしいから」「優勝のためのタレントが欲しいから」、タンクを望んでいるのでしょう。

さらに言い換えれば、タンクは「敗者への慰め」にもなります。NBAのシーズンは長く、アップセットも少なめです(※以下関連記事参照)。勝てない以上、敗北に希望を見出す事も時には必要な事でしょう。

“タンクはつまらない”と書きましたが、私だって贔屓のチームが負けた時に「こ、これはただのタンクだから・・・・・」みたいな言い訳(?)というか負け惜しみ/ジョークを言ったりします。

それでも、つまらないものはつまらない。やっぱり私はタンクは嫌いですし、やってほしくはないです。

感情的な部分も大きいですが、それ以外にも理由はあります。

まず「タンクは分の悪すぎる賭け」です。
リーグも「タンク=勝ちへ積極的でなくなる事」を問題視しており、2019年に「最下位チームがドラフト1位指名を獲得する確率25%」から「勝率ワースト3チームが14%」へと変更しました。
以下画像はワースト勝率順のロッタリーピック確率表。(※)

※:プレイオフに出れなかった14チームは、「くじ引き(ロッタリー)」で指名順位を決めます。4位指名までは「くじ引き」で決められ、残りは勝率順で割り当てられます。勝率が低ければ低いほど上位指名を獲得する確率は高くなります。

どれだけタンクに頑張ろうと、1位指名権獲得率は最大14%です。

現在話題のウェンバンヤマは稀代の才能に見えます。となると当然1位指名が予想されますし、「タンク」のライバルが増えるかもしれません。
前述の通り、コートに出る選手は手を抜くわけではありません、自身の生活かかってますから。フロントやコーチがわざと負けるために努力しようと、ワースト3位に入るのはそれなりに大変です。
外から見ているファンが察するのですから、中にいる選手は余計にタンクの気配を察するでしょう。そうなれば、選手は当然いい気はしません。フロントから「お前らじゃあ物足りない」って言われてるようなもんですから。
「チームのために働いている自分たちよりも、まだNBA入りもしてない若造を信頼している」と思われてしまうかもしれません。

そうなればチームカルチャーにも傷がつきます。若い選手個人の成長を優先するのはプラスですが、ベテランとの連携や勝つための戦術を学ぶ機会は減りますし、何よりプレイオフでの経験は得られません。
若い選手たちが4月でシーズンが終わるのに体も心も慣れてしまっては、「いざ優勝を目指そう」という時に困ります。
「負けて良し」の精神に染まってしまったら目も当てられません。

それでもなお、「ウェンバンヤマのためなら現在のカルチャーや若手からの信頼、興行収入諸々を犠牲にする可能性も恐れない」というチームはいるかもしれません。

以下の段落からウェンバンヤマへの懐疑的な記述が続きます。
「ルーキーや若手への期待感やワクワク感」はスポーツ観戦の醍醐味の一つ。決して水を差すべきではありません。
しかし「タンクを推奨するような流れを止めるため」「過剰な誇大宣伝からのバッシング予防策のため」とでも思って頂いて、少しだけ御許し願いたい。


しかしウェンバンヤマは今までのユーロリーグ/国際試合での成績は、そこまで突出しているわけではありません。

©RealGM
©RealGM

ルカ・ドンチッチもレアルマドリード時代ユーロリーグで圧倒的な数字を残していたわけではないので、ウェンバンヤマの上記スタッツ群もウェンバンヤマへの期待感を損なうものではないでしょう。ウェンバンヤマへの期待感はサイズや現在の才能に「将来性」がプラスされてのもの、既にドラフト1位に値します。私も間違いなくそう思います。

しかし「サンプルサイズが少ない」のも事実です。記録に残る形で年間50試合を経験した事がありません。これは“細身の高身長選手”にとっては尚更無視のしづらい事実です。
あまりこういう引用の仕方はしたくありませんが、身長の高さで歴代TOP20,30に入るような選手は皆怪我に悩まされ、大成する事が叶わなかった選手も多いのです。
ヤオ・ミンこそ「名選手」と呼べますが、そのヤオ・ミンだってシーズン通して働けたのは5シーズンほどです。60試合出場,20PPG,10RPG以上を同時に記録したシーズンもありません。

最近の“細身の高身長選手”ではボル・ボル、チェット・ホルムグレンも怪我に苦しむことになりました。(勿論彼らにはまだまだ先があります)
身長の高い彼らにとって筋肉をつける/体重を増やすのも簡単ではありません。1位指名/上位指名ともなれば、直ぐに結果を出す事が求められがちです。練習や試合で筋肉を疲労させカロリーを消費させながら、ウェイトトレーニングでも直ぐに結果を出すのは至難の業です。ヤニス・アデトクンボのようなケースは非常に稀です、ヤニスでも時間はそれなりにかかりました。

自分で書いてて嫌になってきたので、もうウェンバンヤマへの難癖はやめます。今までのスーパースターは前例を破ってきた選手ばかりです。ウェンバンヤマもそうなるでしょう。

「じゃあ、やっぱりタンクはするべきか?」と聞かれれば、「いいえ、やっぱり分の悪い賭けです」

過去の偉大なドラフト1位指名選手。レブロン、ルー・アルシンダー(カリーム・アブドゥル・ジャバー)、シャック、ティム・ダンカン、アキーム・オラジュワン等々、錚々たる面々です。ウェンバンヤマも彼らと同等の実力になると仮定しましょう。

それでも優勝どころか同じチームに長期間在籍してくれる保証はありません。レブロンは一度キャブスを離れました。可能性の話になりますが、ヒートで優勝しなかったらレブロンはキャブスに戻ってきたでしょうか。
シャックはマジックから4年で離れレイカーズへ行き、戻ってくることはありませんでした。
ダンカンやオラジュワンはほぼチーム一筋でしたが、彼ら1人でチームをひっくり返した訳ではありません。彼らを軽視しているのではなく、「バスケットボールはそういうスポーツ」です。

さらに1位指名以外にも優勝の礎となったスーパースターは山ほど存在します。最近で言えばステフィン・カリー9位指名、カワイ・レナード15位、ヤニス・アデトクンボ13位etc.です。彼らを例に出さずとも「タンクに頼らず優勝した例」はいくらでもあります。

「タンク」は弱小チームの「唯一の特効薬」に見えるかもしれません。

しかし、私はそうは思いません。「タンク」とは「病弱な人間が藁にもすがる思いで掴む劇薬」です。もしかしたら自分の体を治してくれるかもしれませんが、それは唯一の方法ではなく、同時に自分の体を傷つける危険性も孕んでいます。

安易に飲み込む前に、他により良い術がないのかもう一度よく調べ、自分の体を、応援しているチームを信じてみても良いのではないでしょうか。

今回はこの辺で。ではまた。

・・・・・「タンク」についてブツクサ言うためにイチャモンつけまくってゴメンよ、ウェンバンヤマ。是非こうなって下され↓。

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