NBAの“Athleticismアスレティシズム”「身体能力」について。/走行距離ランキングetc.。/アイバーソン、ステフ、カイリー、ラリー・バード、ミカル・ブリッジズetc.

目次

NBAコート上での走行距離ランキングと“Athleticismアスレティシズム”とetc.。/アイバーソン、ステフ、カイリー、ラリー・バード、ミカル・ブリッジズetc.

本記事は以前記事にした

“Athleticism”アスレティシズムって具体的に何だろう?

の続きです。

前回内容を簡単におさらいしますと

“Athleticism”アスレティシズム/身体能力/運動能力は色々な形でカテゴライズが可能。

「身体能力に優れている」or「優れていない」という評価、どちらの選手も実際は複雑に身体能力的長所と短所が絡み合っていて、その部分を細かく把握すると更に見所が増えてNBA観戦が楽しくなるのではないか。

バスケットボールアナリストのベン・テイラーはバスケットボールにおける“Athleticism”アスレティシズムを大きく分けて3つにカテゴライズ。
1.ハード・アスレティシズム
2.ソフト・アスレティシズム
3.コグニティブ・アスレティシズム

さらに1.ハード・アスレティシズムを4つに細分化。

まず1つ目。strength力/強さ。他選手と接触した際のポジション/バランスをキープする力、それらを崩す力etc.の事。

2つ目。change of direction(pace)速度/進行方向の変化。ドライブやカッティング、攻守オン・オフボールでのスピード/鋭さetc.の事。

3つ目。vertical plane athleticism垂直方向への身体能力。最高到達点の高さ、垂直跳びの高さ、そこへ至るまでの速さ、ジャンプする際の溜めの時間、セカンドジャンプ(プットバック時によく見られる小刻みな跳躍)の高さや速さetc.の事。

最後4つ目。pliability柔軟性。体の柔らかさ、怪我への耐性etc.の事。

以上が前回記事の簡単なおさらい。

本記事では
1.ハード・アスレティシズム
2.ソフト・アスレティシズム
3.コグニティブ・アスレティシズム


2.ソフト・アスレティシズムについて。

2.ソフト・アスレティシズム

ベン・テイラーはソフト・アスレティシズムを更に4つに細分化。

1つ目。balanceバランス適切に状況認識をして体を安定させる能力etc.の事。

「バランス」といっても単にボディバランスやボディコントロールなど肉体を安定させる能力だけを指しているのでなく、awareness状況認識と身体能力をバランスよく組み合わせる能力。適切な状況やタイミングでそのボディコントロール/身体能力を発揮できるか、って能力。
例えめっちゃ高く跳べても関係ない場所で跳んでても意味ないしファウルしまくりじゃあチームにとって不利益になります。
うーん、わかりにくいですね。私の英語能力が拙いのもあって、正直私もこの部分はよく把握できていません。
「リード&リアクト」(※)の概念に少し似ていますかね。

※:相手の動きを見るor読んで、それに適応した動きをする事。
相手をよく観察しディフェンスで先回りする、オープンスペースやミスマッチを見つけ即座にパスを出す等「リード&リアクト」に長けた選手は「BBIQが高い」と言えると思います。

ベン・テイラーはbalanceバランスに優れた例としてアレン・アイバーソンやスティーブ・ナッシュを挙げています。
アイバーソンは今よりもずっとオープンスペースの少ない時代、ディフェンシブ3セカンドバイオレーションがなくシャックらがいたペイント内へと果敢に突っ込んいって、体勢維持しながらフローターやらレイアップやら決めまくってましたからね。当時日本では「ヘリコプターショット」なんて言われてましたっけ。
現役ではダリアス・ガーランドを挙げています。

2つ目。coordination/hand-eye coordination目と手の協調性。目にした情報から即座かつ正確に手を動かす能力etc.の事。

これも「リード&リアクト」の概念に近いですかね。というよりもソフト・アスレティシズムが「リード&リアクト」と近い概念で、ベン・テイラーはその「リード&リアクト」(ソフト・アスレティシズム)をさらに細分化して捉えていると言った方が良いでしょうか。

hand-eye coordination目と手の協調性に優れた例はニコラ・ヨキッチを挙げています。
リバウンド後のアウトレットロングパスの精度は史上屈指です。片手でリバウンド取ってそのまま片手でぶん投げますからね。タッチパスの多さも優れたhand-eye coordination目と手の協調性の表れと言えますでしょうか。
同時にカイリー・アービングの名前も挙げていました。
カイリーはヨキッチとはまた違ったhand-eye coordination目と手の協調性の優秀さを感じます。レイアップに行ってブロックを察知した際、スッとボールを持ち替えてスッと決めちゃう感じ。ドリブルハンドリングも似たような印象ですね、多分私には見つけられないスキを見つけた時に、即座にボールを前へと進める事でスッと抜いちゃう。

ゲストのエリック・ライダーズドルフ(※)が「(後天的に)習得するのが難しい」と述べているのも印象的でしたね。

※:P3(PEAK PERFORMANCE PROJECT)というアスリートを評価しトレーニングする機関で働く偉い人。
NBAに限らず、アメリカプロスポーツやオリンピックアスリートに多くの顧客を抱えています。

P3公式サイトへのリンク

ちなみにhand-eye coordination目と手の協調性はネット上で簡単にテストすることが出来ます。
非常にシンプルなテストなので、バスケにおけるhand-eye coordination目と手の協調性の能力を計るのにはあまり適切でないと思いますが、お時間がおありの方はこちらへどうぞ→リンク

3つ目。reflexes反射神経。相手を読み取り動くまでの速さetc.の事。

「リード&リアクト」の「リード」から「リアクト」に到るまでの時間の短さや早さ。
前述のhand-eye coordination目と手の協調性と被っているようにも思いますが、reflexes反射神経はよりマクロな視点での能力ですかね。前者は一つのパスやシュートなど局所的なもので、後者は相手オフェンスやディフェンス全体を対象にしたもの。

ベン・テイラーは優れた例としてラリー・バードの名前を挙げています。「スパイディ・センス(スパイダーマンが持つ危機察知能力)の持ち主」とは言い得て妙。キャリア終盤以外をリアルタイムで見る事は叶いませんでしたが、現在も考察や解説記事/動画は続々と出てくるあたり、本当に“先を行っていた選手”だと思います。マジック・ジョンソンと同時期に存在したのは“バスケの神様による最高のファインプレイ”の一つです。

現役ではディフェンスにおけるドレイモンド・グリーンを挙げています。“Move your feet”「足を動かせ」ってのはディフェンスにおける基本だと思いますが、それを適切にタイミングよくできる人間は、そうはいないと思います。コートをよく見て反応も良いからかフィルやシンクが本当にスムーズです。間に合いそうにない時も、足を一歩だけでも寄せて嫌がらせ?したりでソツがないです。そういった動きをチームメイトへ大声出してシェアできるんですから尚更恐ろしいです。

最後4つ目。staminaスタミナ。1試合の中で疲労を感じさせることなく長く動ける能力、バックトゥバックなどでもロードマネージメントを必要としない持久力etc.の事。

バスケにおいて非常に重要な割にあまり語られる事のない能力ですよね。外からはわかりづらいですし数値化も難しいのが原因でしょうか。

ベン・テイラーは優れた例としてステフィン・カリーを挙げています。オフボールでの運動量がとんでもないですもんね。どちゃクソ疲れそうでマッチアップしたくない選手史上No.1かもしれません。ヤニスにマッチアップしてドライブからスラム決められても、コーチや周りは「まぁ、しゃーない」ってなりそうですけど、ステフの場合オープンにしたら「何やってんのお前?」って怒らそうで尚更嫌です。

今回は以上。

おまけ。

昨季‘’22シーズン、「1試合平均コート上での走行距離」ランキング。(58試合出場者対象)

ガード登録選手。

フォワード登録選手。

センター登録選手。

全ポジション込みでのトータル走行距離ランキング。

今季’23シーズンの1試合平均走行距離(左)とトータル走行距離ランキング(右)。2023/1/23時点。

困った時はとりあえず走っとけば上手くいきます。(いきません)

上手くいった例↑。映画「フォレストガンプ」より。

今回はこの辺で。ではまた。

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