NBAルーキーによく見られる傾向と今後の期待。/大学時代よりも簡単?なショットを打っているはずが・・・・・・。/ステフィン・カリー、KD、ヨキッチ、ボーンズetc.

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NBAルーキーによく見られる傾向と今後の期待。/大学時代よりも簡単?なショットを打っているはずが・・・・・・。/ステフィン・カリー、KD、ヨキッチ、ボーンズetc.

以下画像はSynergy sportsから。
’23ルーキーたちのNBAデビュー前年とデビュー後のSynergy Shot QualityとPoint Per shotとSynergy Shot Making(※)を比較したもの。

※:超ざっくり言うと、Shot Qualityは「期待値の高いショットが打てているか」。 Shot Makingは「期待値よりも高くショットを決めているか」を表しています。
“Synergy Shot Quality”と“Synergy Shot Making”はSynergy SportsのスタッフであるAlexander Ekkel が考案した指標です。Points Per Shot(PPS)からSynergy Shot Qualityを引いたもの。
Points Per Shotは1ショットあたりの得点。
Synergy Shot Qualityはリムとの距離、ディフェンスのプレッシャー、プレイタイプ(アイソなのかピック&ポップなのか等)、ショットクロックの残り時間、ポゼッションの開始方法などが考慮された「期待値の高いショットが打てているか」を表す指標です。
指標用語としてのShot Quality以外でも、レイアップやオープン3Pなどリーグ全体の傾向で期待値の高いショットやソレに繋がるオフェンスの事を「クオリティの高いショット/オフェンス」と呼ぶ事はよくあります。
より詳しい説明へのリンク

基本的にルーキーたちはNBAデビュー前年よりも Shot Qualityが高くなっています。つまり「より期待値の高いショット≒オープンだったりプレッシャーの少ないショット」を打てています。
カレッジもしくは前所属チームでは1stオプション/中心選手として厳しいマークに晒されていた選手が殆どで、NBAで一年目からそうなる事は稀でしょうから、「然もありなん」かと思います。

しかしPoints Per Shotはウォーカー・ケスラーとアンドリュー・ネムハードを除き軒並み低下。自ずとShot Makingも低下しています。
3Pラインやルールも変化しますし、NBAへアジャストするのには大変な苦労があるようで、その影響は特にShot Makingに出やすいようです。
ステフィン・カリー、ケビン・デュラント、ニコラ・ヨキッチですらルーキーイヤーのTS%は低くなります。今現在/近年の方がずっと厳しいディフェンスに晒されているはずですが、KDとヨキッチのTS%はルーキイヤーが最も低く今季がキャリアハイです(ヨキッチには、おいそれとダブルチームしづらいという事も関係しているでしょうが)。ステフも5試合出場のみの’20を除けばルーキーイヤーが最低で今季はキャリア3案目に高い数字です。2023/1/19時点。

ステフ。

KD。

ヨキッチ。

これだけですと「まぁルーキーが苦労するのは当たり前だよね」で終わる話ですが、それで“終わり”じゃあないんです。

むしろルーキーはここからが“始まり”なんです。

昨季’22ルーキー若干名のPoints Per Shotの推移を見てみましょう。

薄い線が「期待されたPoints Per Shot」で濃い黒線が「実際のPoints Per Shot」を表しています。グラフで青い部分が大きいほど期待値以下のShot Makingで、赤い部分が大きいほどShot Makingが高いことを表しています。
上記4人共グラフの右に近づくにつれて青い部分が少なく赤い部分が多くなっていっています。つまりシーズンが進むにつれて大きく成長・アジャストしていっているという事です。

ボーンズ・ハイランドにいたってはこんなにも極端です。

「ルーキーはShot Makingに苦労するが、シーズンが進むにつれて改善する傾向にもある」

・・・・・・・・と言い切るには正直まだ早いと思います。

生存バイアスってヤツは厄介なもんで、とかく惑わされがちです。上記はあくまで成功例だけを示しただけで、その陰には終始Shot Makingに苦労して早々にNBAから姿を消す事になったルーキー/選手も沢山います。

しかしだからこそ、「誰が生き残り、誰がショットメイカーとして飛躍を遂げるのか」が楽しみになります。
NBAで生き残り、成長していく過程で壁は高く何枚も存在します。MIP受賞者が、その年のプレイオフや次のシーズンに苦戦するのも幾度となく見てきました。

近年ではヤニス・アデトクンボもパスカル・シアカムもジュリアス・ランドルもMIP受賞後に大きな挫折を味わいましたが、後に大きなバウンスバックも果たしています。(ランドルはまだ気が早いかもしれませんが、今季今のところは見事な活躍です)

そう思うとルーキーの成長と受難は何度でも楽しめる気がします。「産みの苦しみ」「成長痛」は必須と言って良いのかもしれません。たまーにティム・ダンカンみたいな“1年目から完成された(ように見える)選手”もいますけども。

兎に角、シーズン後半に名を揚げるルーキーは誰なのか、要注目です。

今回はこの辺で。ではまた。

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