2000年以降のNBAファイナル進出チームのレギュラーシーズンOffRtg・DefRtg他一覧。今季2023各種Rtgランキング。/プレイオフに向けてレギュラーシーズン成績は最早アテにすべきではないのか。どう解釈すべきなのか。
NBAで何かを予想する時、私はアイテスト(実際に試合を見て評価する事)のみならず、いくらかのデータ/数字/スタッツ/指標も頼りにします。人間の記憶力には限りがあってバイアスにも左右されますからね。
知りたい答えに対して、具体的にどのデータ/数字/スタッツ/指標を参照するかは人によって違います。また、例え同じデータ/数字/スタッツ/指標を参照しても、出てくる答え・解釈も人によって違います。
“判断を下すのはあくまで人でありデータやアナリティクスではありません”。
「アナリティクスはミドルレンジを嫌う」「アナリティクスはアテになる/ならない」とはよく聞かれる文言ですが、アナリティクスやデータ自体はモノを言ったり嫌ったりしません。「『アナリティクスはミドルレンジを嫌う』というのは、どこかの誰かが何らかのデータをそう解釈した」ってだけです。
アナリティクスは何かを理解するための方法の一つであり、それ自体には「正しい/正しくない」もありません。各々「好き/嫌い」はあっても。
広い意味で言えば、ボックススコアを見て「今日はレブロンが50得点もした、嬉しい。次の試合もきっと活躍してくれる」って感想を持つのだってアナリティクスです。データを基に何らかの答えを導いていますからね。
そして仮に次の試合で活躍しなかったとしても、感想を持つ事、答えを出す事自体には「正しい/正しくない」もないはずです。
で、私はアナリティクスが好きな人間で、当ブログでは度々各種データを引用し、私なりの解釈を添えながら紹介させてもらってるわけですが・・・・・
「信用性が落ちてる」というより「複雑さが増した」と言うべきかもしれませんし、「困ってる」というより「嫌よ嫌よも好きのうち」みたいな感じなんですけど、兎に角近年のレギュラーシーズンのチームスタッツには注意が必要というか、奥深さが増しました。
まず先に何故そうなったかを言わせてもらいますと、「主力選手の欠場・ロードマネージメントが増えて、参照したいサンプルデータの量が減った」からです。
ポストシーズンを迎えるにあたって、各種予想を楽しんでいる方もいるかと思います。
その中で多いのは当然プレイオフの結果予想。どのチームがファイナル進出するのか、優勝するのか等です。
で、その予想の基にされるのは主にレギュラーシーズンでのアイテストとチームスタッツになります。過去数年の成績を基に「ウォリアーズは今季レギュラーシーズン成績以上に侮り難し」の気運はありますが、大体は今季レギュラーシーズンの結果が基となっているでしょう。
で、それに加えて「過去20年でDefRtgが12位以下で優勝したチームはいない」「過去20年レギュラーシーズン勝率6割未満で」云々といった過去のデータが引用されるのもよく見ます。以前私もいくつか引用させてもらいました。
2000年以降ファイナル進出チームのレギュラーシーズンOffRtg/DefRtg/Paceランキング一覧。※画像クリックで拡大
過去優勝チームのレギュラーシーズン成績ワーストランキング。
しかし、ですね。ここ5年でNBA各チームのレギュラーシーズンへのアプローチ・臨み方は大きく変化しました。先に述べた通り、主力選手の欠場が大きく増えました。以前少し詳しく記事にもしました↓。
有り体に言ってしまうと、レギュラーシーズンでの勝利を以前ほどは重視しなくなりました。
そういうわけで、チームスタッツにはより注意が必要になりました。私はプレイオフ展望をする際、各チームのラインナップスタッツ(特定の5人組がコートに立っている時の各Rtgや各種スタッツ)、特に出場時間の増えるスターターのラインナップスタッツも参考にしますが、近年はまぁサンプルサイズが小さいです。
今季2023のラインナップスタッツ、ポゼッション数順。
2014のもの。
誤解なきよう書いておきますと、私は「最近の選手はサボってばかりでけしからん」って言いたいんじゃあないです。彼らは別に
と考えて欠場しているわけではありませんからね。
言いたいのは
スターター・主力選手が揃う機会が減ってしまったのでレギュラーシーズンスタッツを判断材料に使う事が以前よりも難しくなった
って事です。愚痴っぽくて申し訳ないですけど。
「過去20年でDefRtgが12位以下で優勝したチームはいない」「過去20年レギュラーシーズン勝率6割未満で」云々といった予測・傾向はデータとして面白くはありますが、判断材料としては最早あまり説得力がないです。以前と比べると。
そもそも非常に漠然とした傾向で、野球で言えば「防御率が良いチームは優勝する可能性が高い」くらい当たり前な傾向で、たった20年、たった20個のサンプルサイズは絶対的な法則とするには根拠薄弱です。2001年はDefRtg21位のレイカーズが優勝してますしね。(「ディフェンスは重要ではない」という意味ではないです)
以下はガベージタイムの数字を省いたスタッツを載せているCleaning The Glassの今季2023NetRtgランキング。※画像クリックで拡大
リーグ1位の戦績のバックスはNetRtgでは4位、OffRtg13位、DefRtg4位でしかありません。しかし、バックスはシーズン通してラインアップ・ローテーションが安定しない中での上記成績。
ウェスト1位のナゲッツはNetRtg6位、OffRtg5位、DefRtg17位とウェスト1位にしては心許ない数字。
しかし、ナゲッツはセカンドの時間帯で大きく数字を下げ、シーズン終盤3月初旬あたりで2位に7.5ゲーム差をつけた頃からスターターの消耗を気にする姿勢が窺え、ヨキッチは最後の7試合中5試合を欠場(ふくらはぎの張りで出場した2試合も27分程度の出場)。それに伴いチーム成績・チームスタッツも急落しました。
東西1位両チームのレギュラーシーズン全体でのチームスタッツは全くもって疑わしいです。勿論他のチームも同じ事が言えますが、この両チームの数字は特に謎に満ちてます。
バックスはメンツが不安定でもチームスタッツはある程度安定していますが、残念ながら怪我が増えてしまいプレイオフでのローテーション・成績はさらに予測不可能になりました。(クリス・ミドルトンは本人が「予防で休んだだけ」旨のコメントをしています)
ナゲッツのDefRtg17位は大きな懸念材料に見えますが、クラッチシチュエーションでのDefRtgはリーグ3位。
しかし、それはたった142分間での数字です。短いスパン・勝負所だけで好ディフェンスをする事とプレイオフ通して強豪相手に好ディフェンスを維持する事には非常に大きな隔たりがあります。
シーズン最終盤でのナゲッツの失速はプレイオフでの大きな飛躍への布石となるのか。一見拙く見えたディフェンスはプレイオフでどう変化するのか。ジャマール・マレー、マイケル・ポーターJrの復調や新加入メンバーとのケミストリー構築を優先するシーンも多く見えたオフェンスはプレイオフでどう花開くのか。
バックスは誰が誰とどれだけコートを共有し、プレイオフチームの中では若干心許ないオフェンスの解決策はどういったものになるのか。アウトサイドからの脅威が少なくなった時、ヤニスに対して再び“ウォール”が敷かれた時、その対策はどうなるのか。オフにギリシャ代表としても活動してたため、レギュラーシーズン中は比較的温存してきたヤニスの大爆発はどんな形になるのか(個人的にはロングミドル、オープン3Pは躊躇わずにいて欲しいです)
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・・・・・・・・長々と御託を並べましたが、とどのつまり「プレイオフはわからん」って事を説明しただけの記事ですね・・・・・・・
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それはそうと、とど可愛い。
100%完璧に上手く誤魔化せたところで
今回はこの辺で。ではまた。