NBAのMVPたちのon/offスタッツと’23ラインナップスタッツと番狂わせとルーキーのロマンと。/レブロン、ヨキッチ、ステフィン・カリー、エンビード、ヤニスetc.
本日2023/4/3の一部試合結果。
負けるんかいっ!
と試合後思わずツッコんでしまいました。
ブレイザーズとスパーズはプレイオフ出場から除外。一方プレイイン争い渦中のウルブズは勿論、キングスもウエスト2位の可能性は残っているわけですから、モチベーションは高かったはずですけども、結果はご覧の通りに。
で、現在ウエスト2位のグリズリーズも前半に最大23点差のリードを奪いながらもブルズに21点差で敗北。実に44点ものスウィング。
プレイオフ進出に限りなく赤に近い黄信号のマーベリックスも、「棚ぼた」にも思えるチャンスを得ながらオーバータイムの末に敗戦。(レギュレーション最後のクリント・カペラのファウルはルカ・ドンチッチのインバウンズロブパスが非常に上手かったので、カペラを責めるよりドンチッチとジャベール・マギーを褒めたい気もします。カイリー・アービングは言わずもがな)
ウエストの2位と3位が敗北。現在1位ナゲッツはニコラ・ヨキッチが不在の中2連敗中で、本日の対ウォリアーズ戦も欠場・・・・
・・・・
勝つんかいっ!
と驚いたら失礼になりますね。良い試合でした。前述の試合たちもスリリングで面白かったんですけど、何と言いますか、このウォリアーズ対ナゲッツ戦で「オチがついた」と言いますか。
ナゲッツは兎に角ヨキッチ不在の時間帯が弱点です。オフェンスは勿論、ディフェンスでも、です。
今季’23ヨキッチのon/offスタッツ一覧。2023/4/3時点。ガベージタイムを省いたモノ。※画像クリックで拡大
ここまでヨキッチのon/offスタッツが高くなるという事は「ヨキッチのポジティブな影響力の高さ」を示すと共に「ヨキッチ不在時のパフォーマンスの低下」も示しています。
on/off Diffの27.9という数字はヨキッチがいるといないとでは100ポゼッションあたり約28点差分の違いが生まれる事を意味しています。
ヨキッチのオンコートNetRtgは14.0。つまり、今季ヨキッチがコートにいる時のナゲッツは100ポゼッションあたり14.0点リードを奪っているという事です。
対してヨキッチがオフコートの時は-13.9。100ポゼッションあたり13.9点リードを奪われています。
ナゲッツのこの傾向・問題はヨキッチがNBA入りしてから一貫してます。
NBA入り以降ヨキッチのオンコートNetRtgとon/offディファレンシャルと勝利数予測値(一番右列のExp W。今季の+57という数字は57勝分の違いを生んでいるという事です、あくまでRtg上では)。
各所で取り上げられる、この傾向・問題を聞き飽きた方も多いでしょう。正直言いまして、私も書き飽きてます。
じゃあ何故今こんな事を書いているかと言うと・・・・・・
・・・・・
ペイトン・ワトソン!
クリスチャン・ブラウン!
このルーキー二人が、その問題を解決するキーパーソンになるかもしれないからです。今日の試合で、そう感じさせてくれたからです。
ナゲッツはサラリーの比重がスターターにとても偏っています。今季大きな貢献をしているブルース・ブラウンを来季以降維持できるかも非常に怪しい(水を差す様で申し訳ないですが、明らかに今季サラリー以上の貢献・活躍をしている以上、ブルース・ブラウンはオプトアウトが濃厚で、それにふさわしいです)。
有力FA選手に高サラリーのオファーを出せない・出しづらい状況な以上、比較的少額な契約やルーキー契約中の選手の活躍も非常に重要になります。
クリスチャン・ブラウンはカンザス大に3年間在籍。NCAAチャンピオンにも輝いただけあって、ディフェンスや「チームがやりたい事・求めている事」に対する意識の高さが窺えます。試合中もコーチとよく意思の疎通を図っていますし、今日の試合ではヨキッチが何やら伝授しているシーンもありました。
それに加え’22ドラフトコンバイン2位の垂直跳びを活かしたダンクもあるんですから、ロマンを抱かない方が無理です。
一方ペイトン・ワトソン。
ナゲッツが指名した時は些か驚きました(トレードが絡んでいるので形式上はOKCによる指名)。ざっくり言うと、ペイトン・ワトソンは「ポテンシャルに期待されてる指名候補」で「即戦力として期待されるタイプ」には見えなかったからです。
ナゲッツのコアメンバーはまだ20代ですから、ペイトン・ワトソンの成長を待つ時間は充分ありますけど、上記契約状況的に即戦力獲得を優先するのが利口にも思えました・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・つまりペイトン・ワトソンは即戦力なのかもしれません。プレイオフでヤニスになっちゃうかもしれません。
はい。
少し冷静になりますと、クリスチャン・ブラウンもペイトン・ワトソンも今季プレイオフで出場時間を得られるかは不明です。
特にペイトン・ワトソンはガベージタイム以外で出場時間を得たのは今日の試合で僅か2試合目ですし。
けど良いの。ルーキーは試合でのパフォーマンスだけでなく、夢を抱かせてナンボです。
ペイトン・ワトソンとクリスチャン・ブラウンのブロック・ダンク・3P・好ディフェンスはナゲッツのセカンドユニット問題解決にきっと役立つと信じるとしましょう。
ナゲッツに限らず、ルーキーの好プレイは見る度こんな感じ↓になります(心の中で)。
数は多くなくとも、いや、むしろ数が少ないからこそ喜ばしいと言いますか。
ルーキーの存在ってのは本当に宝であります。
至言。
今回はこの辺で。ではまた。
余談。
読み返してみたら随分とナゲッツに偏った記事内容に思えたので、ウォリアーズ他各チームについていくつか。
本記事でヨキッチのon/offスタッツを取り上げましたが、このスタッツの優秀さに関してはステフィン・カリーの方が先駆者?です。
NBA入り以降ステフのオンコートNetRtgとon/offディファレンシャルと勝利数予測値。以下全て2023/4/3時点。※画像クリックで拡大
勿論レブロン・ジェームズも超優秀。
ジョエル・エンビードも超優秀。
ヤニス・アデトクンボも超優秀。
優秀な選手の数字しか載せてないので伝わり辛いかもしれませんが、上記程の一貫した高数値は非常に稀です。
コートにいる時にチーム全体へリード・良い影響・勝利をもたらせられなければ数値は下がりますので、PPGなどのPer Gameスタッツ・カウントスタッツを多く記録するだけでは不可能な数値です。(ここでは取り上げませんが、「高いPer Gameスタッツに対してon/offは然程」ってケースはいくらでもあります。ちなみにドンチッチは昨季まで、その傾向にありましたが、今季は大きく改善させました。やっぱりドンチッチはプレイオフでも見たい。気になる方はCleaning The Glassへ)
ただし、オンコートスタッツやon/offスタッツはチームメイト・チーム状況にも大きく依存するスタッツなので、コレのみで選手を評価は出来ません(特に上記選手らと出場時間を多く共にしたロールプレイヤーの数値も必然的に高くなるので、チームの中心選手以外の数値には注意が必要です。中心選手との相性の良さを探るのに使うのなら、それなりに有用だと思いますけども)
度々言っている
あらゆるスタッツ/指標はコンテキストが大事で、多角的に用いることが求められます。
の多角的な評価の内の一つ程度に思って頂ければ。
ついでにラインナップスタッツ(特定の5人組でのNetRtg他)をいくつか。
ポゼッション数の多い順。一番右の数字がそのラインナップでのNetRtg。その左の背景色のある数字はパーセンタイル。
NetRtgの高い順。600ポゼッション以上対象(これ以下になると信用性も落ちます故)。
リーグ首位バックスのラインナップが見当たらないのは、比較的ラインナップが不安定で、まとまったポゼッション数を経験したラインナップが少ないからです。
バックスのラインナップスタッツは以下。
多くのポゼッション数と高いNetRtgを両立したラインナップはありませんが、大抵のラインナップで強み(主にディフェンス)を発揮できてるのは流石の一言。
バックスのディフェンスって相手に多くのターンオーバーを強いてるわけではないんですよね。フリースローを与えることなくタフショットを強いて、2ndチャンスもあげません。って数字です。
ジュルー・ホリデーを避けられても、優れたヘルパー&ショットブロッカーのヤニスとブルック・ロペスが待ち受けてくれてますから、高い位置ではあくまでソリッド・堅実に守っている。って事でしょうか。
余談の方が長くなっちゃいそうなので、ここらにしておきます。他のチームについてはまた別記事ででも。