米メディアのNBA’23トレードデッドライン評価は?戦力増強だけじゃない、各チームの目的とその成否etc.
まずは、こちらのニュースから。
ブレイザーズ、ウォリアーズ両陣営で意見に相違が見られ、情報も錯綜し、事の是非はわかりません。
何にせよ、ウォリアーズ、ブレイザーズ、ピストンズ、ホークスの4チーム間トレードが破棄もしくは変更される可能性が出てきました。
以下の記事・評価は、このニュース前に書かれたものである事を留意して御読み頂けますと幸いです。
本記事では、The Athleticのトレードデッドライン(以下TDL)評価を紹介。
の前におさらい。全30チームの獲得&放出一覧.
獲得一覧。
放出一覧。
以下はThe AthleticのJohn Hollingerジョン・ホリンジャーによる評価に、私の感想を添えたものです。Tier脇の太字「」内はホリンジャーによる一言コメント。
ホリンジャーは各チームの動きを7つにTier分け。グループ分けしただけで必ずしもTierが高いほど高評価、って事ではないようです。
また、下記Tier分けにネッツとサンズは含まれていません。(別途記事があるため。ホリンジャーは「サンズが失ったものは大きいが、とるべきリスク」とサンズへ高評価。ネッツへも「予期せぬ難しい局面から良いセーブ」と高評価)
では、見ていってみましょう。
Tier1:「メンフィス大学出身のセンターはいくらでも欲しい」
ピストンズはウォリアーズからジェームズ・ワイズマンを獲得。ワイズマンはメンフィス大学出身でピストンズのルーキーセンター、ジェイレン・デューレンもメンフィス大学出身。ワイズマンは2位指名選手、史上屈指のバスト(期待外れ)として有名な元ピストンズのセンター、ダーコ・ミリチッチも2位指名。
ワイズマン、ジェイレン・デューレン、アイザイア・スチュアート、マービン・バグリー3世と若いビッグマンを多数被らせた事やボーヤン・ボグダノビッチを放出しなかった事等を含めて、ホリンジャーはピストンズへ辛辣な評価を下しています。
Tier2:「ウェストが強くなった」
グリズリーズ、ウォリアーズ、クリッパーズ、レイカーズの4チームの動きへは比較的高評価を与えています。ただ、ウォリアーズとレイカーズに関しては「節税や戦力アップに成功した」けれど「コンテンダーになった」とは見ていないようです。
Tier3:「私は困惑している」
ラプターズ、ニックス、ホークス、ペリカンズの4チームの動き(または動きの少なさ)へは若干低評価。ジョン・コリンズ残留のホークス、現行コアメンバーにオールインするかのようなラプターズの姿勢には戸惑いを感じているようです
上記チーム含め全チームに対し、ホリンジャーはサラリーキャップやタックスへの影響も考慮して評価しています。ペリカンズのデボンテ・グラハム放出は、4つもの2巡目指名権を付けてまでの放出な事から「オーナーがラグジュアリータックスを払うつもりがない一つの兆候」としてペリカンズファンへ同情しておりました。
短期的に見れば、グラハムの代わりに獲得したジョシュ・リチャードソンはアップグレードだそうです。
Tier4:「長期的に見て改善」
バックス、ブレイザーズ、シクサーズ、ウルブズ。
バックスは3選手を放出してジョー・クラウダ―を獲得。プレイオフ経験が豊富なディフェンシブフォワードを獲得できただけでなく、ロスター枠に空きを作れたため、ロスターとサラリー管理に柔軟性を生んだとして高評価。
ブレイザーズはジョシュ・ハートとゲイリー・ペイトンⅡを放出しマティス・サイブルとキャム・レディッシュ、ケビン・ノックス、ライアン・アーチディアコノと1巡目指名権1つ、2巡目指名権5つ獲得。私の目には「戦力ダウン」に映りますが、オフにジェレミー・グラントとの再契約、フルミッドレベル・エクセプションが比較的容易になった事などが高評価に繋がったようです。
Tier5:「再建が順調に進んでいる」
ロケッツ、OKC、ペイサーズ、マジック、ジャズ。
上記5チームを「再建チーム」と一括りにしても、その進み具合には違いがあります。ただ、5チームともに指名権は潤沢で、若き中心選手へ柔軟に延長契約オファーを出すための準備に成功。今季TDLで戦力アップに成功したわけではありませんが、来季以降(もしくはもっと先)が本番とも言えるチームたちですから、“ Rebuilding done right”「再建は順調」との評価になったようです。
私としましては、ジャズがハッキリと「今季は我慢」というスタンスになったのは少し寂しいんですけど、シーズン半ばまで“楽しい驚き”を多く見せてくれだけでも大感謝です。
マジックは昨日2023/2/10に西首位ナゲッツにも勝利して本格的に「大物食い」になりましたから(セルティックスにも3勝1敗)、このままプレイオフに滑り込めばもしかして・・・・・・話が逸れました。
Tier6:「すべきでない取引も、時にはある」
キャバリアーズ、キングス、ウィザーズ、マーベリックス。
キャバリアーズは全く動かず、キングスが獲得したのはケスラー・エドワーズのみ。マーベリックスはTDL直前の少し前にカイリーを、ウィザーズはケンドリック・ナンを獲得しましたが以降動きを見せず。
動きは少ないものの、各チームへのホリンジャーの評価は悪くないです。雑に言うと「各チーム慌てず、今オフを見越して冷静さを保った」といった感じの評価です。
Tier7:「悪くはない・・・・ただ退屈」
ブルズ、ホーネッツ、セルティックス、スパーズ、ナゲッツ、ヒート。
個人的にNBAでは「停滞は後退」を意味しているような気がするので、ブルズの動きのなさは私としましても不思議で、ホリンジャーからも“Hello? Anyone home? ”「もしもし?おうちに誰かいる?」と書かれております。
セルティックスとナゲッツは首位で、「壊れてないものを直そうとするな」との格言?もありますし、他チームも首位チームの大幅戦力アップに繋がるオファーは出しづらい/受けづらいでしょう。ホリンジャーも「退屈」としつつもナゲッツとセルティックスに対しては「出来る限りの事をした」「嫌いではない考え」としています。
とりあえず以上。
私はトレード速報を見た時は、まず「悲しい」「嬉しい」「楽しみ」くらいの単純な感想しか出てきませんけど、調べて見ると複雑怪奇かつ、深堀していくうちに“フロントオフィスの権謀術数”など“思わぬ発見”があります。ホリンジャーのTDL評価は戦力増減以外の部分にも詳細にフォーカスしていて、独自性があり面白かったです。
今回はこの辺で。ではまた。