本家本元BBall Indexが示す「リバウンダー評価」と「指標とグラフの正しく面白い使い方」。/アナリストやアナリティクス愛好家の間で度々議論になる「リバウンドをどう捉えるべきか」。

目次

本家本元BBall Indexが示す「リバウンダー評価」と「指標とグラフの正しく面白い使い方」。/アナリストやアナリティクス愛好家の間で度々議論になる「リバウンドをどう捉えるべきか」。

2022/9/16、データサイトBBall Indexが面白いツイート。

ディフェンシブリバウンド能力に関するもので、ざっくり説明しますと「グラフ上部にいるほどディフェンシブリバウンド能力が高く、右に寄っているほどオフェンシブリバウンド能力の高い相手にもその力を発揮できますよ」ってグラフです。

当ブログでも度々お世話になっているBBall Indexさんですが、やはり本家本元が使うとよりわかりやすくて良いですね。

とりあえず今回はここまで。ではまた。

以下、リバウンドに関する私見というか、メモ帳です。予防線を張るわけではありませんが、自分の中でも答えが全く出ていない上に長くまとまりがない忘備録みたいなモノなので読む方は御注意を。

長らくNBA界隈/アナリティクスオタク界隈でしばしば話題に上がり、当ブログでも何度か話題にしました「リバウンドをどうやって計測/評価するか」問題。

詳しく説明すると余計にわかりづらくなりますのでざっくり言いますと、現在のリバウンド計測方法は「FGミスやFTミスからボールを保持、もしくはそのままFGAへつなげた(ティップイン、プットバック)」時にカウントされます。

つまり「ボックスアウトをして相手リバウンダーを抑え込んだ」けれど「FG(FT)ミスしたボールを掴むのはガード/ハンドラーに譲った」選手にはリバウンドがカウントされません。
「リバウンド=相手のシュートチャンスを減らすor自軍のシュートチャンスを増やす」というゲームにとって非常に重要な要因で、明らかに「ボックスアウトをした選手」の方が貢献しているのに「譲ってもらっただけの選手」にリバウンドがカウントされてしまう事があります。(ボールを掴む選手も大事ではあります)

そしてトランジッションがより多くなり重要視される傾向にある現在のNBAにおいて、そういった「ボックスアウトする選手」と「ボールを掴む」選手を別々にする分業体制を採用するチーム/機会は非常に多い。

誤解のないよう書いておきますと、ラッセル・ウェストブルックやジェームズ・ハーデン、ルカ・ドンチッチら「リバウンディングガード」は別にボックスアウトをする選手たちからリバウンドを盗んでいるわけではありませんし、「リバウンディングガード」も自らボックスアウトをして自らボールを掴むことはあります。
「リバウンディングガードや他選手のRPGの高さ」にケチをつけたいわけでもないです。むしろ逆です。

要は私が言いたいのは「チームへリバウンドをもたらす働き/能力を評価するより良いスタッツ/計測方法はないものか」ってことです。

現在でもRPG以外にリバウンドに関するスタッツ/指標は沢山あります。
前述のBBall Index始め多くのデータサイトやアナリスト(ここで言うアナリストはTV解説やコメンテーターではなく分析者的な意味でのアナリスト)が沢山のリバウンドにまつわるスタッツ/指標を開発してくれていて、それに不満があるわけではないのですが、各種アドバンスドスタッツ/総合指標の計算式の中に従来の計測方法によるリバウンドが組み込まれている以上、いくら他に有用なリバウンド能力を計るスタッツ/指標が増えても「時としてRPGを過大評価してしまう」という弊害と、逆に「RPGが高い選手は過大評価されている」という極端な偏見(※)からは逃れられません。

※:ボックススコアを重視するタイプの総合指標(BPM、PERなど)ですと「ベンチセンター」がやたら高数値を叩き出したりします。逆に「スコアラー」の側面が強いシューターはアシストやリバウンドを重ねる事は少ないので低数値になる傾向にあります。
これらを考慮した上でボックススコア系総合指標と向き合えば良いだけですが、選手に対してある程度の前提知識がないとそれも難しい。
例.クレイ・トンプソンは偉大な選手でありシューターですがボックススコア系総合指標の数値ではキャリアBPM0.8,PER16.4と「平均よりちょっと良い」程度の評価です。クレイを知ってる人間や細かくスタッツを見る人間なら「シューターだから」となりますが、よく知らない未来の人間は「過大評価されてる選手」と言うかもしれません。
逆にヨキッチやヤニスらインサイドにも強い選手はその驚異的な働きでBPMなどボックスコア系総合指標で史上稀にみる高数値を記録しても「リバウンドで膨らんでいるだけで過大評価」とあしらわれてしまう事があります。


あらゆる選手/スタッツ/指標に言える事なのは、1つのスタッツや指標/1側面だけを見て評価は出来ませんので多角的に見ることが大事です。けどそれには時間がかかりますし、現状のリバウンド計測方法のせいで“余計にややこしい”のです。

さらにタチの悪いことに、いまだに「PF/CはRPGが多くあるべき」という考え方は存在します。勿論それが「間違い」だと断ずることは出来ません。チーム事情、対戦相手や試合展開によっても変わってきますしケースバイケースです。ただコーチ/選手や評価をする側の人間が“画一的に”「PF/CはRPGが多くあるべき」と考えてしまうのは些か問題だと思います。

わかりやすい例は昨季’22デンバー・ナゲッツのPFアーロン・ゴードン。昨季ゴードンのRPGは5.9でキャリア8年間中4番目に低い数字で、36分換算では6.7で8年間中2番目に低い数字でした。オーランド・マジック時代とナゲッツ時代を比べると8.1対6.6で1.5本少なくなっています。

では「ゴードンはPF/選手として後退したのか?」。答えは否です。むしろRPGが少なくなったから素晴らしいと言えます。

どういう事かと言いますと、ナゲッツにはヨキッチがいます。ヨキッチはセンターですからビッグマンを相手にリバウンド争いをし、昨季リーグ4位のBoxOuts3.3を記録しています。かつアウトレットパスも上手くボール運びも出来る選手です。
つまりゴードンがボックスアウトやリバウンドをとりにいく必要/機会はそこまで多くないんです。そのかわりにリバウンドはヨキッチに任せて、自分はいち早くフロントコートへ走り速攻を生むなり相手セーフティを相手にゴール下でミスマッチを作る方がチームの利益になる事が多いのです。
そして実際ゴードンはそうしていたからRPGや36分あたりのリバウンド数が減ったのです。
勿論毎回そうすべきではなく、任せるか自分もリバウンド争いに参加すべきかの「判断/見極め」は必要で、その「見極め」がゴードンは非常に上手かった。
実際に、先発PFにしてはゴードンのDefRPGは4.2と少ない数字ですが、昨季ナゲッツが相手に許した2ndチャンスポイントは1試合平均11.4とリーグで一番低いものでした(しかも2位ニックスが12.3、3位キャブス12.5と結構な差をつけています)。
OffRPGは1.7で、5.9RPGに対して1.7というのは非常に高い数字です。昨季6.0RPG以下のフォワード中6位の数字。(1位はブランドン・クラークの5.3RPGに対して2.1。40試合以上出場者対象)
かつゴードンは、昨季ナゲッツで一番多くヨキッチからアシストを受け取った選手でした。その数146で2位モンテが130です。
2位のモンテと違い3P%33.5%と優れたミドル/ロングレンジシューターとは言えないゴードンが、それだけ多くのアシストを得たのはゴードンが優れたカッターである事もありますが、それだけヨキッチにリバウンドを任せ、自分は走りミスマッチやゴール下でのシーリングを生んだからでもあります。
ナゲッツ全体のオフェンスで見ても昨季OffRtg113.8はリーグ6位でした。(それでもヨキッチへの負担が大きすぎるのとプレイオフではまた勝手が違ってくるのでマレーとMPJの復帰は必要です)
つまりゴードンのリバウンドへのアプローチは、ヨキッチの「ボックスアウトとボールを掴む動作両方を兼ね備えたリバウンド能力」や「走っている選手やミスマッチを見逃さないアシスト能力」とベストマッチしていた、という事です。

余談。
このゴードンの「判断/見極めの上手さ」は是非とも来季のMPJにも見習ってほしいところです。’21MPJのRPGは7.3と多かった反面、OffRPG1.5、ボックスアウトは0.6とその割に少なく、ボール運びやプレイメイクを担当するわけでもないのに不必要に自分がリバウンドを掴むことにこだわってしまい、速攻/トランジッションオフェンス/アウトナンバー/ミスマッチを作る機会を逃してしまう事がしばしばあったからです。ボックスアウトも頻繁にするなら兎も角、ただリバウンドを掴むだけではヨキッチの負担軽減の効果もあまり期待できません。
「ボックスアウトやオフェンシブリバウンドをもっと沢山しろ」って意味ではなく、見習ってほしいのはあくまで「見極めの良さ」です。(背中/腰も心配ですからね)

しかし「PF/CはRPGが多くあるべき」という考え方が画一的に存在してしまうと、折角のゴードンの良さが見逃されるどころか「ゴードンはPFのわりにRPGが少ないから大したことない選手」なんて謂れのない低評価を受けてしまう事になりかねません。

それにスティーブン・アダムズやブルック・ロペス等々。ゴードンとはまた違いますがRPGが低くともチームリバウンドに大きく貢献していて、低いことがチームの速攻やトランジッションオフェンスに好影響を与えている選手は沢山います。

そういった選手へわかりやすくスポットライトを当てるスタッツ/指標がないものか。そういった選手を私にわかりやすく教えてくれるスタッツ/指標がないものか。

強引にまとめると↑が本記事での私の論旨と言いますか我儘な願望です。

散々「現在のリバウンド計測方法」に不満を言いましたが、「じゃあおまえ何か代案あるんか?」と聞かれれば・・・・・・うーん、全く思いつきません。

そんなことを考えながら、オフシーズンのヒマを潰しております。つまりヒマなのが悪い、開幕はよ。

いつにもましてとりとめのない記事、お読みくださった方はお疲れ様でした。

ではまた。

  • URLをコピーしました!
目次