今季1番のwin-winトレードは何なのか。20PPG以上TS%ランキングetc.と共に見る各チームの未来。/ディアロン・フォックス、タイリース・ハリバートンetc.

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今季1番のwin-winトレードは何なのか。20PPG以上TS%ランキングetc.と共に見る各チームの未来。/ディアロン・フォックス、タイリース・ハリバートンetc.

トレードの話で付き物なのが「どちらが勝って、どちらが負けたのか」についてのお話です。
それがポジティブなものであれ何であれ、トレードの効果は試合をしてみなければわかりませんし、試合をして直ぐに出るとも限りません。
しかしオフのトレードやシーズン中のトレードデッドライン後には必ず各チームのトレードをグレード/順位付けする記事等が多く挙がります。“とりあえず紙の上で”そのチームの行く末を占ってみる様な感じで。

昨オフに起きたユタ・ジャズとキャバリアーズ間のブロックバスタートレード。

ドノバン・ミッチェル⇔ラウリ・マルッカネン&コリン・セクストン&オチャイ・アバジ&2025年27年29年アンプロテクテッド1巡目指名権&26年28年スワップ権。

ユタ・ジャズは「敗者」になりようがないですよね。
不吉な事を言いますが、仮に今後負けが込んだとしても手にした多くの指名/スワップ権は没収されるわけではないんですから。

キャブスも好調でドノバン・ミッチェルは早くもMVP候補とまで言われる活躍ぶりです。大きな出費を伴いましたが、それに見合うだけの結果を残しています。

現時点では、このトレードは「史上稀に見るwin-winトレード」と言えるかもしれません。今後が非常に楽しみですね。

そしてもう一つ、今後が非常に楽しみな「史上稀に見るwin-winかもしれないトレード」が存在します。

タイリース・ハリバートン&バディ・ヒールド&トリスタン・トンプソン⇔ドマンタス・サボニス(以下ドマス)&ジャスティン・ホリデー&ジェレミー・ラム&2027年2巡目指名権のトレードです。

「いや、それ昨季トレードデッドラインに起きたトレードじゃん」と御思いの方。確かにその通りです。しかし、しかしです。
今季サクラメント・キングスとインディアナ・ペイサーズを観ていると「少し時間はかかったけれど、双方にとってチームの未来を大きく変えるwin-winトレードになるのかもしれないなぁ」としみじみ思うのです。

まずキングス。
今季0-4からスタートし、そこから5勝2敗(本日2022/11/14の試合結果は含んでいません)。その立役者を一人だけ選ぶとしたらディアロン・フォックスとなるでしょう。
フォックスは前述のトレードに関与していたわけではありません。
しかし、ある程度役割の被っていたハリバートンの放出はフォックスに“中心選手としての自覚/覚悟”を与えたのか、トレード以降フォックスの個人成績は大きく向上しています。「引き算による足し算」とでも言いますか。

ハリバートン放出以降のフォックス昨季’22スタッツ。※画像クリックで拡大

‘3月16日以降は怪我で欠場。

今季2022/11/13時点でのスタッツ。

トレードにより加入したドマスも、今季開幕当初はファウルトラブルや積極性の欠如など苦労しているシーンが目立ちましたが、徐々に自身の役割を確立させてきているように見えます。

ドマスの今季これまでの各試合ボックススコア。

優秀な3Pシューターであるヒールドの放出はホークスからケビン・ハーターを獲得しカバー、そのハーターの活躍も目覚ましいです。16.5PPGのTS%67.0%、3PA7.5で3P%50%という数字は“スペーシング”という観点においても多大な貢献をしているでしょう。

キリがないので全員は紹介できませんが他にもキーガン・マレーなど今後の楽しみが多いチームです。

今季キングスロスターのスタッツ一覧。

ハリバートンの放出は多くの悲しみと懐疑的な声を生みましたが、キングスにとっては必要な痛みだったのかもしれません。

で、当の本人ハリバートンと今季ペイサーズを見てみましょう。

まずハリバートンのペイサーズ加入以降の昨季’22スタッツ。

今季2022/11/13時点でのスタッツ。

キングス時代とペイサーズ時代とでのハリバートンの目立つ違いは“役割”。

ハリバートンはキングス時代フォックスと並んでプレイする都合上シューティングガード/コンボガード的な役割を担う事も多くありました↓。

キングス時代はSGとしての出場が70%を超え、ペイサーズではPGが70%を超えています。今季に限ると94%がPGとしての出場。

ペイサーズでは、そのファシリテーターとしての才能を十二分に発揮できるPGとしての貢献が光ります。APGで現在リーグ2位、平均パス回数で1位です。

キングス時代から3P%40%を超える優秀なシューターでしたが、ペイサーズでは試投数/PPGを増やしながら%も向上させています。
今季のTS%は実に64.7%にもなります。今季20PPG以上を記録している選手の中で6位の高さです。

フォックスと並んでるのがなんとなく嬉しい。

そしてハリバートンはまだ22歳。チームの未来を託すのなら、出来るだけ多くの経験/ボールも託したい年齢です。
キングス/フォックスと袂を分かつ事は双方にとって悲しい事でしたが、双方に大きな実りをもたらす動き、つまり「win-winトレード」・・・・・と断言するにはまだ早いですが、少なくとも「悪くない試み」だと思います。今後両チームの成績が落ち込んだとしても。

上記ランキングの中にはペイサーズルーキー、ベネディクト・マサリンの名前もあります。以前記事にしたので↓、ここで詳しくは言及しませんが、ペイサーズには若い資産が多くあります。

今季ペイサーズロスターのスタッツ一覧。

ハリバートンと同じトレードで加入したバディ・ヒールドも長く3Pシューターとして名を馳せ、警戒もされているにも関わらず量と効率共に高水準。
マイルズ・ターナーと共にトレードの噂はつきませんが、もしトレードに出されるとしても現状の成績なら代わりに多くのアセットをペイサーズにもたらしてくれるはずです。(私にとってはトレードしないのが一番ですけど)

トレードや選手の移籍は大きな悲しみを生みもしますが、同時に楽しみも生む。試合とはまた別の一大イベントです。それも、なっがーいイベントです。
レイカーズは’19オフにペリカンズからアンソニー・デイビスをトレードで獲得した翌年優勝を果たし、そのトレードの勝者でした。
しかし現在の成績、優勝以降ADの欠場の多さ、今後の指名権の少なさ、ペリカンズ/イングラムの躍進etc.で今になって懐疑的な見方も出てきました。勝手なもんです。

トレードの結果の表れ方は非常に不安定かつ長期にわたるもので、本来「勝ち負け」で二分化できるものではないでしょう。

キングスとペイサーズ両チーム共開幕前の評価が高かったわけではありませんし、現在の勝率は5割行くか行かないか。今後の躍進が約束されているわけでもありません。

とはいえ、キングスとペイサーズ間で行われたトレードは、私にとって双方のチームに楽しみを増やした「win-winトレード」であることも間違いありません。

トレード当時は私も眉をひそめましたけどね。やっぱり勝手なもんです。

「海が嫌いなら、山が嫌いなら、都会が嫌いなら、勝手にしやがれ」とかいう意味はよくわからん映画史に残る名セリフ。

今回はこの辺で。ではまた。

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