【NBA】現役最強リバウンダーランキング。複雑怪奇なリバウンド系スタッツ・指標の王者たち。
「複数調べる事でより有意なデータとなるスタッツの組み合わせ」を紹介する“シナジーの強いスタッツ”シリーズ第3弾。
今回はリバウンドについて。
まず始めに、リバウンドの計測方法を説明しますと
「シュートミスからボールを保持、もしくはそのままFGAへつなげた(ティップイン、プットバック)」時に個人リバウンドはカウントされます。(シュートミスがそのままアウトオブバウンズになった時はチームリバウンドとなります)
つまり「相手リバウンダーをボックスアウトした回数・能力」は考慮されていません。
ブルック・ロペスやスティーブン・アダムズといった「ディフェンシブリバウンドではボールを掴みに行く事よりも相手に掴ませない事(ボックスアウト・ポジショニング)を優先する」タイプのリバウンダーのRPGやREB%は、実際のリバウンドへの貢献度に対して低くなります。彼らはそうする事でチームリバウンドを増やすと同時に、味方にリバウンドを取らせてスムーズなトランジションオフェンスも促しています。チームスタイルや味方のスキル等にも依存するので誰しもが真似できる事ではありませんが、一石二鳥なリバウンドスタイルです。
2015~2024バックスのRtg、4ファクター他一覧。以下全て2023/11/20時点。
RPGやREB%、現状のリバウンド計測方法だけを頼りにすると、そういった優れたリバウンドスタイルやリバウンダーを見逃してしまいがちです。(詳しくは↓関連記事参照)
誤解なきよう念を押しますと、「RPGやREB%は無価値」と言いたいのではなく、あくまで「RPGやREB%はリバウンド能力が反映されているが、他スタッツと併用する事でより有意なデータとなる」という事です。
前置きはここまでにして本題。
リバウンド能力を推し量るために有用なスタッツの組み合わせは
OREBと相手OREB%。
OREB(オフェンシブリバウンド)はディフェンシブリバウンドと違い、「ボックスアウトだけして味方に掴ませる」という事は少ないです。相手ディフェンスの方がリムの近くにいる事が多いので、自ら掴みに行く必要があります。基本的に、味方から譲ってもらってOREB数を増やす事は出来ません。ですので、OREB(1試合平均でのOREB数)やOREB%をそのままオフェンシブリバウンド能力と捉えても然程支障はないでしょう。
キャリアOREBランキング。200試合以上出場現役選手対象。
キャリアOREB%ランキング。
次にディフェンシブリバウンド能力を推し量るスタッツですが、前述したようにディフェンシブリバウンドは「ボックスアウトだけして味方に譲る事」も多いです。つまり、ディフェンシブリバウンドにおいて大事なのは必ずしも「自らディフェンシブリバウンドを掴む能力」ではなく、「相手にオフェンシブリバウンドを掴ませない能力」も重要となります。
それを推し量るのにある程度有用なのが、オンコートやオン/オフの相手OREB%です。(↓画像の赤丸内)
見やすいよう拡大したもの。
ヨキッチがコートに立っている間、相手チームは著しくOREBを取れなくなっています。(2020シーズンを除き)
ヨキッチの場合はRPGの高さにもそのディフェンシブリバウンド能力の高さが表れているので、殊更に相手OREB%を参照する必要はありませんが、RPGが然程高くないブルック・ロペスのようなタイプのディフェンシブリバウンダーを評価するには割と有用となるデータです。
2015~2023ブルック・ロペスのオンコート・オンオフスタッツ。(赤丸内が相手OREB%)
とりあえず以上。
記事の都合上、数を絞って紹介しましたがリバウンド関連のスタッツ・指標は他にも沢山ありまして、
各種BOX OUTS(フィジカルコンタクトなどで相手リバウンドを阻止した回数)
CONTESTED REB(相手選手が3.5feet内にいる状況でのリバウンド)
BBall Indexの各指標
等々ありますのでお好みでどうぞ。
リバウンドは選手・チーム・相手によってアプローチが変わってきます。
少し前に「相手トランジッションオフェンスを防ぐためオフェンシブリバウンドには積極的にならない方が良い」とする言説が流行しましたが、最近はミッチエル・ロビンソンのオフェンシブリバウンドもアテにしたニックスのオフェンスや、The Athleticでは「ウィークサイドからのクラッシュが再びトレンドに」といった記事もありました。記事へのリンク
やはり、一概に「こうだ」とは言いづらい複雑かつ重要な要素です。細かき話は抜きに、単純に見ていて楽しいプレイでもあります。
今後も要注目です。
今回の“シナジーの強いスタッツ”シリーズはこの辺で。ではまた。