【NBA2023スターたちの帰還】ジャマール・マレー、3度の50得点試合。/デンバー・ナゲッツ、ニコラ・ヨキッチ、ドノバン・ミッチェル

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はじめに

昨季長期欠場を余儀なくされた選手たちに焦点を当てて、軽く語ろうと思います。

今回はデンバー・ナゲッツのジャマール・マレー。

怪我をする前の活躍

前回のリラード、前々回のカワイと比べるとまだ若いマレーの受賞歴は、やはり見劣りします。といいますか一度のRookie of the MonthとAll-Rookie-2ndくらいなもんです。

ただし侮ることなかれ、現在25歳のマレーは既にリーグ史上でも稀な驚異的記録を複数持っています。

まずはタイトルにある通り、3度の50得点を記録しています。

ヨキッチ1度、カーメロ・アンソニー2度(ニックス時代を含めると3度)、キキ・ヴァンダウェイ2度、アレックス・イングリッシュ2度よりも多いナゲッツのフランチャイズ記録。

2022/8/9現在、20歳代で50得点を3度以上記録しているのはジェイソン・テイタム、デビン・ブッカー、ブラッドリー・ビール、ヤニス・アデトクンボと、マレー以外はAll-NBA経験者だけです。

まずは1度目と2度目。これは記憶に残っている方も多いと思います。バブルで行われた’20プレイオフ一回戦対ユタ・ジャズ、第4戦と第6戦に記録しました。

対戦相手のドノバン・ミッチェルも第1戦と第4戦に50得点を記録していて、同一シリーズで2人の選手が複数回50得点を記録するのは史上初です。効率面でも圧巻でした。

      第6戦までのスタッツ。ジャズとナゲッツはプレーオフ直前のシーディングゲームでも2OTの大激戦。ClutchPoints

さらにこの50得点試合の陰に隠れて、もう一つとんでもない記録が生まれていました。

マレーは第5戦でも42得点を記録していてターンオーバーは0回でした。そして第4戦でも50得点0回でした。

プレイオフで2試合連続で40得点以上0ターンオーバーを記録したのはNBA史上マレーだけです

元々意識し合っていたマレーとミッチェルですがギラギラとした点の取り合いの中で、互いの敬意を一層強くしていきます。シリーズ終了のブザーが鳴った瞬間コートに倒れこんだミッチェルを起こしたのは、チームメイトではなく対戦相手のマレーでした。

ちなみにこの第7戦、二人とも精根尽き果てていたのかマレーFG7/21の17得点、ミッチェルFG9/22の22得点と不調でした。最終スコアも78対80と超ロースコア。

そんな中、「じゃあ僕が」とばかりにヨキッチがFG12/23の30得点。おまけに決勝点も決めてます。

そんなヨキッチの活躍もありナゲッツはセミファイナルへと進出。堅守を誇るクリッパーズを相手にナゲッツはジャズとの一回戦と同じく1勝3敗と追い詰められます。

マレー自身も第4戦までで17.8PPG/FG%38.3%/3P%34.6%と苦戦を強いられます。

ところがそこから第7戦まで29.0PPG/FG%51.6%/3P%54.5%とまたもや大爆発。最終第7戦では、この年のプレイオフで4度目となる40得点超えを記録しナゲッツをカンファレンスファイナルへと導きます。

残念ながらカンファレンスファイナルではレイカーズに敗れてしまいますが、ヨキッチとマレー率いるナゲッツはバブルで大きなインパクトを残し、次のシーズンへと向かうのでした。

そして迎えた2021年2月。対キャバリアーズ戦でマレーは3度目の50得点を記録します。またもや“史上初”のおまけ付きです。

50得点、FG21/25、3P8/10、FT0/0。FT0本での50得点はジャバーとオラジュワンを抜き史上最多得点。

これ以外にもブルズ戦やサンズ戦などでクラッチシュートを決める活躍をし

この年の21.2PPG/FG47.7%/3P40.8%はすべてキャリアハイでした。

しかし、4月対ウォリアーズ戦で前十字靭帯断裂をしてしまい残りのシーズン全休。

翌’22もコートの中へと戻ってくることは叶いませんでした。

’23への期待

今オフシーズン中マレーはカナダ代表の練習に参加するなど、既に来季への始動は始めています。

サマーリーグにも観戦に訪れていて、試合中の実況解説に話しかけるなど生来のイタズラ好きっぷりを発揮させていました。

ナゲッツとマレーにとって怪我の回復具合が大事なのは勿論ですが、もう一つ気になる点としてケミストリーの構築があります。

マレーはアーロン・ゴードンとは数試合しか共にしていません。昨季加入したジェフ・グリーン、ボーンズ・ハイランド、デボン・リード。新加入のブルース・ブラウン、KCP、イシュ・スミス、ルーキーたち。

ヨキッチと共にプレイメイキングを司るマレーはこれだけの人数と新しく関係を築き上げていかなければなりません。ナゲッツは昨季1試合平均310.7回とリーグで1番パスの多いオフェンスをするチーム(2位はウォリアーズの310.3)ですので避けては通れない道です。

マローンHCはゆっくりと出場時間を増やしていくことを示唆しています。マレーはスコアラー兼プレイメイカーでありガードとしては優秀なスクリーナーでもあり、どの段階からどの程度マレーに比重を置いていくのか非常に気になります。

私としましては不安材料というよりは、楽しみな部分です。’21マレーがいない間に成長したMPJ含め、カムバックというよりは“新しいナゲッツ”が誕生するんじゃないかとワクワクしています。勿論「怪我がおきない」という前提条件つきですが。

相棒でありチームの大黒柱のヨキッチは2年連続でMVPをとりましたが、プレイオフでは負担の多さもありクリス・ポールやカリーの様なエリートハンドラーの2メンゲームに翻弄されるシーンも目立ちました。ヨキッチに限らずセンターが抑えるには無理のある相手ですが、マレーがオフェンス面での負担を減らせれば得意なヘッジがより多く可能になるなど多少は違った結果も生み出せるはずです。

ヨキッチがいない時間帯のナゲッツのRTGを始めとしたパフォーマンスの低さは昨季度々話題になりました。ヨキッチと出場時間を多少ずらしてマレー(もしくはMPJ)が出場すればベンチスコアリングは改善が期待できます(ただしマローンHCは以前この起用法はあまりしていません)。ベンチでも有利が取れれば結果的にヨキッチとマレーが休める時間が増え、プレイオフに注力しやすくなるでしょう。

来季ウェスタンカンファレンスは層が厚く“スターの帰還”も多いです。多くのチームがそうであるように、ナゲッツも決してプレイオフ進出が約束されているわけではありません。ですが同時に優勝候補とみなす事も十分に可能だと思います。

そうでなかったとしても、またヨキッチとマレーの2メンゲームが見れる。それだけで、一人のNBAファンとして期待に胸を膨らませずにはいられません。

今回の【’23スターたちの帰還】はここまで。ではまた次回。

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