【NBA】米メディアが選ぶNBAバスケットボールIQランキング。でバスケットボールIQって具体的に何?ショットセレクション?KYP?コートビジョン?デシジョンメイキング?
バスケットボールIQ(以下BBIQ)
選手に対して「BBIQが高い/低い」という評価は度々見聞きします。
本日2023/7/20に挙げられた上記sportskeeda記事「最も高いバスケットボールIQを持っているNBA選手TOP10」でのランキング。英字はsportskeedaによる短評。
#10,ジェームズ・ハーデン。 James Harden is an NBA MVP with his court vision
#9, トレイ・ヤング。Trae Young is already deadly, and his prime is yet to come
#8,ドリュー・ホリデー。 Jrue Holiday is quietly sitting on this list
#7,タイリース・ハリバートン Tyrese Haliburton has arrived
#6, ステフィン・カリー。Steph Curry is the reason why the league pays shooters
#5,ドレイモンド・グリーン。 Draymond Green is much more than a triple-single player
#4. ルカ・ドンチッチ。Luka Doncic is now synonymous with “Magic,” and we are not talking about the NBA legend
#3,レブロン・ジェームズ。 LeBron James is going strong at 38 years old because of his basketball IQ on and off the court
#2,クリス・ポール。 Chris Paul is a culture setter just everywhere he goes
#1, ニコラ・ヨキッチ。Nikola Jokic just figured out how to win a championship and the league should watch out for more
よくよく考えると、世界最高峰のリーグに属する選手に対して「IQが高いor低い」なんて評価を下すのは中々に思い切った事です。
「BBIQが低い」って評価がついた選手は、なんと言いますか「トホホな感じ」が出ますし。
今現在(2023/7/20)、「BBIQ」をざっと検索してみると「試合を読む能力」とか「あらゆる状況に対応する能力」とか「定義が難しい」とか、曖昧さを感じる説明がされています。
というわけで
バスケットボールIQって具体的に何?
を私なりに言語化してみました。
1.時間管理・得点状況把握
ゲームクロックとショットクロックの残り時間、チームの得点状況・点差によって狙うべきシュート・プレイは変わってくるでしょう。オープンでも待つべきか、多少強引にでも3Pを打つべきか、2for1をすべきか等々残り時間や点差を把握する事は「追いつくため」もしくは「逃げ切るため」に大事です。
2.コートビジョン・コートアウェアネス
さらに噛み砕いて言うと、「誰がどこでオープンか、そうでないか他選手の位置関係」を把握/判断する能力ですね。
オープンの選手がいたとして、その選手が「3Pライン外にいるのか、リム近くにいるのか」「ディフェンスはどの程度近くにいるのか、間に合いそうなのか」等々味方と敵とリムの位置関係をしっかり把握できればアシストやクオリティ/期待値の高いショットは増えるはずです。
3.自身と敵味方のスキル把握
味方や相手の得意な事や苦手な部分を把握しないと強みは活かせず弱点も突けません。ディフェンスなら上手くフォローできず守れません。
極端な例を挙げると、優れたコートビジョンでもって3Pライン際でワイドオープンの選手を見つけパスを出しても、選手の何が得意かを知らず、パスを出した相手がルディ・ゴベアだったとしたらあまり意味はありません。
そういうわけで誰がどういうシュートが得意で何が苦手か、利き手、得意な位置等々、攻守で敵味方己自身のスキルを把握する事は超大事。
所謂“KYP”(Know Your Personnelの略。「自分の相手の事は知っとけ」みたいな意味です)もこれにあたりますかね。
4.コーチからの指示・役割把握
コートに五人(相手含めれば10人)いてもボールは一つ。誰がどういうシュートをどれだけ打つか、どういった役割を担うかはコーチやチーム全体で決定されます。開幕前にシーズンプラン、試合前にゲームプランが建てられ、シーズン中試合中も細かく指示が出るでしょう。それを把握してチーム全体で共有できていないとミスも増えるでしょうし、ケミストリー構築にも支障が出るでしょう。自身とチームメイトの役割と戦術への理解度を深め、それを遂行する事はチームの規律と結束を生むはずです。
以上。とりあえず大まかに分けた上記4つの要素。
まとめますと
1.時間と得点状況を把握できているか。
2.広いコートビジョンを持って敵味方リムの位置関係を把握出来ているか。
3.敵味方自分自身の得意苦手を把握できているか。
4.コーチからの指示/戦術を理解し、自身や敵味方の「チームでの役割」を把握・実践できているか。
上記4つの能力に沿った適切なデシジョンメイキング(意思決定)・ショットセレクション・プレイを選択できているかがバスケットボールIQ。
・・・・
・・・・・・適切なデシジョンメイキング云々って結局曖昧な表現ですね。
わかっちゃいましたけど、やっぱり明文化するのは難しいです。書き終えた今ざっと調べ直してみても人によって定義はバラバラで、言うなれば私は「バスケをロジカルに捉え実践する事」を「BBIQが高い」と見なしますけど、「本能的に適切なプレイを選択できる事」を「BBIQが高い」と見なす方もいます。
で、言われてみれば「確かに」と思うんですよね。「BBIQが高い」って言われるような選手・プレイは「考える前にやってる」って感じしますからね。判断が速くて。
ショットセレクションに関しては「ヒートチェック(※)はするべきかしないべきか。ヒートチェックはBBIQの低いプレイなのか」とかも議論のタネになって面白そうです。
※:Heat Check。連続してシュートを決めた選手が「どれだけ調子が良いか」を確かめるように難しいシュートを打つ事。どれだけホットかをチェックする=ヒートチェック。
モメンタム(勢い)の変化や相手ムードへのダメージ・自身の調子を把握して「打つべき」と判断した上でのヒートチェックなら許容すべきな気がしますし、そもそも「盛り上がるんだから、こまけぇこたぁいいんだよ」な気もします。
やはり「BBIQが高い/低い」の評価は難しいです。コーチの指示・戦術・選手へ求める役割・シーズンプラン等、外部からはわかりづらい部分も大きいので、当然それへの理解度も外部からはわかりづらいです。
「スキルの上手い/下手」の評価よりも困難で、その上失礼にもなりがちです。「BBIQが低い」なんて評価は言われた選手は勿論、そのファンや関係者だって不快に思うでしょう。「フリースローが下手」ってんならまだしも、「頭が悪い」って言ってるようなもんですから。
けどやっぱり「スキルの評価」と同じく楽しくてやめられないんですよね。オープンの選手やイージーなショットを作り出すための卓越したコートビジョンやミスマッチを突く意思決定、「この選手BBIQ高いんだろうなぁ」ってプレイを目にした時は得も言われぬ爽快感があります。
そういったプレイや選手を見つけるためにも、私にとって「BBIQの評価」はやっぱり大事ですし面白いです。
また随分と曖昧な記事となりましたが、今回はこの辺で。ではまた。
おまけ。
NBA2KRatingsでのパスIQランキング。(具体的にどうやって決めているかは知りません)
NBA.comにはAverage Seconds Per Touch(1回のタッチあたりでのボールを持っている時間)というスタッツがあります。
というわけで
NBA2023、Average Seconds Per Touchランキング。まずは短い順。58試合以上出場者対象。
キャッチ&シュートの多い3Pシューターやロブキャッチャー/リムフィニッシャーが主ですね。
続いて長い順。
こちらはスコアラー、ファシリテーター、もしくは両方兼ねてる選手が主。
ついでに1試合平均タッチ数ランキング。58試合以上出場者対象。
1位は5年連続でニコラ・ヨキッチ。
ヨキッチとドマンタス・サボニス、プレイメイキングビッグ二人の特徴というかユニークな点はタッチ数に対してAverage Seconds Per TouchやTime Of Possession(ボールの保持時間)が短くドリブルも少ないんですよね。
リムフィニッシャーも務め、プットバックがある事を鑑みても、やっぱり「判断が速い」「ボールを持ってから無駄が少ない」って印象があります。エルボー/ハイポストでボールを持ってからリムへアタックするなり、ハンドオフするべく味方を呼ぶなり、チーム全体で動きがスムーズといいますか。
あと二人ともちっちゃい頃可愛い。
それが今やこうである。