【NBA】NBA2024ロングミドルFG%ベスト&ワーストランキング、ショートミドル&リムFG%ランキング他ショットクオリティについてのアレコレ。
Todd Whiteheadさんがまた興味深い画像を公開。
2012~2024の各チームのショットクオリティのギャップ。
上記画像をシンプルに説明すると「どのチームもショットクオリティ(得点期待値)の高いシュートを打つようになった」という事です。
ショットクオリティについて少し語ってみましょう。
「そもそも“ショットクオリティの高いシュート”って具体的に何?」って話ですが、一般的には「リーグ全体の傾向として得点期待値の高いシュート」が「ショットクオリティ(得点期待値)の高いシュート」と見なされます。代表的なのはオープン3Pやリム近辺でのシュートですね。
いくつかのNBAデータサイトはショットクオリティを独自に数値化していて、Todd Whiteheadさんが籍を置くSynergy Sportsではこんな感じ↓。
ショットクオリティの高いシュートの代表例として「オープン3P」と「リム近辺のシュート」を挙げましたが、Synergy Sportsのショットクオリティではシュートを打つ位置・ディフェンダーとの距離以外にも多くの要素(ドリブル回数・ポゼッションの開始方法・角度・プレイタイプ・ショットタイプ・クロックの残り時間)が考慮されて決定されています。
Synergy Sportsに限った話でもないです、実際に得点期待値は多くの要素が関係し合って決定されます。
んで、Synergy Sportsや他データサイトのショットクオリティ指標はよく練られていて興味深いんですけども、留意すべき点があります。
留意すべき点とは「実際にシュートを打った選手のシュートスキルは考慮されていない」って事です。
わかりやすい例を挙げますと、ショットクオリティ指標は「ルディ・ゴベアが打ったオープン3P」と「ステフィン・カリーが打ったオープン3P」を「同じくショットクオリティの高いシュート」と扱ってしまいます。
「バム・アデバヨが打ったロングミドル」と「クリス・ミドルトンが打ったロングミドル」を「同じくショットクオリティの低いシュート」と扱ってしまいます。両者のロングミドル効率に大きな差があっても。
今季2024、ロングミドルFG%ワーストランキング。試投数100以上選手対象。以下全て2024/3/17時点。
今季2024、ロングミドルFG%ベストランキング。試投数100以上選手対象。
リーグ全体の傾向としてミドル(特にロングミドル)は確かに効率の悪いシュートです。ミドルを多投する選手は大抵のデータサイトでショットクオリティが低いと見なされます。
BBall Indexのショットクオリティとショットメイキングのグラフ。
しかし、実際のショットクオリティの良い悪いは複雑に多くの要素が絡み合って決定されます。
もっと言うと、一人の選手のショットクオリティの悪さが他の選手のショットクオリティの良さを生む事も多いんです。
ケビン・デュラントがミドルを多投することで(そして高効率に決めることで)、グレイソン・アレン(や昨季の渡邊雄太など)がよりオープンになりショットクオリティの高い3Pを打てます。
今季2024グレイソン・アレンの3Pスタッツ&指標。
ニコラ・ヨキッチがミドルやショートロールからのフローターを多投することで(そしてやっぱり高効率に決めることで)、P&Rハンドラーのジャマール・マレーやダンカ―スポットにいるアーロン・ゴードンがオープンになりやすくなります。
今季2024、ショートミドルFG%ランキング。ショートミドル試投数100以上選手対象。
今季2024、リムFG%ランキング。リムFG試投数300以上選手対象。
まとめると
ショットクオリティはバスケにおいて重要な要素で、だからこそ画一的ではない見方が求められ、選手個人でなくチーム全体のショットクオリティを意識するとより面白い観点が見つかるのではないか。
こんな感じです。
シクサーズ時代のアレン・アイバーソンとか個人単体で見るとそりゃあヒドいショットクオリティ・ショットセレクションに見えますし、当時も今もその点指摘されますけど、当時のリーグやチーム状況を考慮すると「そりゃあそうなるわ」って部分の方がずっと大きかったです。
2001シクサーズ選手のスタッツ一覧。
ちなみに上記ショットクオリティの留意点はSynergy Sportsも当然承知の上で、色々と親切丁寧に説明されています。面白いので是非こちらリンク先へ
今回はこの辺で。ではまた。