【NBA2023プレイオフ】デンバー・ナゲッツvsマイアミ・ヒートの“電子レンジ”対決。ナゲッツの試合=新記録誕生?コーチSpoの解答は?MPJ不屈の歴史とアーロン・ゴードンの友情。/ヨキッチ、ジャマール・マレー、バム・アデバヨ、ジミー・バトラー、レイカーズ
本日2023/6/2の試合結果。
栄えある2023NBAファイナル第1戦はナゲッツが勝利。
見た目通りの大黒柱。高くワイドな大黒柱ニコラ・ヨキッチは27得点10reb14astのトリプルダブル。
ジャマール・マレーも26得点6reb10ast。
2タイムMVPと“プレイオフ”マレーが期待通り見事なプレイを見せてくれました。
・・・・が、改めてボックススコアを眺めてみるとナゲッツは“絶好調”とは言えない内容でした。と言うよりも「いつもより3Pが入らなかった」と言うべきですかね。
本試合ではヒートのオープン3Pミスが目立った印象がありますが、ナゲッツの3P%はそのヒートよりも低い29.6%です。(ヒートは3P13/39で33.3%、ナゲッツは8/27で29.6%)
しかし、それでもなおナゲッツのオフェンスは強力でした。“絶好調”ではなくとも。
詳細なゲームプランは外野の人間にはわからないので、どうしても漠然とした事しか言えませんが、第1Qアーロン・ゴードンのミスマッチへのアタックでの12得点から始まり、第2Qはマレーの10得点、第3Qはブルース・ブラウンの7得点、第4Qはヨキッチの12得点。Q毎のリーディングスコアラーは全てバラバラでした。起点となるのはヨキッチとマレーが殆どですが、その派生先が変幻自在でアジャストメントが非常に難しく見えます。
エリック・スポールストラHCのコメントも思い出されます。
彼(ヨキッチ)はただディフェンスを読んでいる。
何かを事前に決めているのではなく、ただ隙を見つけ、当たり前のようにソレをつく。
本試合のナゲッツとヨキッチは正にそういった印象でした。
そして、マイケル・マローンHCから本試合での最優秀ディフェンス選手に選ばれたアーロン・ゴードン。
ヨキッチもアーロン・ゴードンのプレイと姿勢に愛を示しております。
アーロン・ゴードンは昨オフ2022年9月、EuroBasket2022へヨキッチの応援に駆け付けもしてましたね。相思相愛ですな。
そしてアーロン・ゴードンが本試合後に敬意を示したもう一人の選手。
マイケル・ポーターJr。私が本試合で最も感銘を受けた選手と言っても過言ではありません。
この試合でMPJはFG5/16、3P2/11の14得点。シュートタッチは決して好調ではありませんでした。バスケットボール選手にはそうした試合が必ず訪れます。ヒートのケイレブ・マーティン、マックス・ストラスもそうでした(二人合わせてFG1/17)。
それでもMPJはこの試合で間違いなく大きな大きな貢献者です。そのサイズとポジショニングとハッスルでヒートオフェンスをペイント外でのシュートに追いやりました。13rebは言うに及ばずです。
ヒートのショットチャート。
ついでにナゲッツのショットチャート。
MPJは背中・腰を3度も手術している紆余曲折あった選手です。手術前は全米No.1プロスペクトとされていましたから尚更です。
正直言いまして、NBA2年目3年目は拙く見えるボールハンドリングやデシジョンメイキング、インテンシティやハッスルの少なさに見ていて苛立ちを覚える事もありました。(NBA1年目はリハビリで全休)
しかし今のMPJを見ているとつくづく「成長と努力の尊さ」を実感できます。
失礼ながら今もMPJのディフェンスが“上手い”とはあまり思いません。ケアレスなミス、不必要なファウルもあります。
けど良いんです。なりふり構わず兎に角動く、しつこく追う、飛ぶ、かます!
MPJ最高です。何が何でも貢献しようとする姿勢が尊いです。
続きましてヒートについて。
以下、無駄にヒートへ厳しい見方が続きます。御注意を。
図らずもナゲッツを褒めちぎるような内容の後なので、何とも言いづらいですが、
正直やはり「下馬評通りの差」は感じました。
まだ第1戦をしただけなのは間違いありませんし、「ジミー・バトラーの積極性の少なさ」と「ケイレブ・マーティンとマックス・ストゥルースのFG1/17」を「今後の伸びしろ」と捉える事も出来るでしょう。「プレイオフでは何が起きるかわからない」「今季ヒートは下馬評を覆してきた」のも間違いありません。
ただ、今日の試合で目にしたものを基に判断すると、ヨキッチ・AG・MPJへのサイズ不足から生じる隙は如何ともしがたく見えます。本試合でマレーとMPJ合わせて4/18(22.2%)だった3Pが火を噴きだしたら、ナゲッツオフェンスは更に手が付けられなくなりそうです。
「ディフェンスが大事」ってのは大前提ですけど、レギュラーシーズン後半&プレイオフでNO.1の堅守を誇ったレイカーズを破ったナゲッツを相手に「守り切って勝つ」というのは非常に難しい。
足首の状態が芳しくないのだとは思いますが、やっぱりジミー・バトラーのオフェンス面での活躍は必要不可欠で、そこがスタートラインかなと思います。
アデバヨがヨキッチのディフェンスを苦にせず26得点できたのは間違いなく好材料です。
ただ個人的に、今後スコアリングでもアデバヨに多く頼るのはスタミナ的に持たないんじゃないかと(ハブ役も兼ねるなら尚更)。ナゲッツからすればFG13/25での26得点はスタミナへのダメージも考慮すれば然程痛くはなかったでしょう。後半以降アデバヨはFG5/12とタッチに乱れが見られましたし。
現状ディフェンスでヨキッチ、AG、MPJの高さに対抗できる唯一の選手で、ディフェンスでも運動量はどうしたって増えます。
0勝1敗となりましたし、アデバヨを出し惜しみしたり長い目で見る余裕はないでしょうけど、この先4つ勝たなきゃいけないと思うと、やっぱりオフェンスの中心になるのはジミーじゃなきゃいけないかなと。
プレイオフでナゲッツに2勝したサンズは、2試合ともデビン・ブッカーの超絶ハイパフォーマンスがあってのものでしたし、ジミーが積極的にならなければ、ケイレブ“コービー・ブライアント”マーティン、ダンカン・ロビンソンの3P&カッティングetc.頼れる仲間たちも活きづらくなるのかなと。
で、具体的に何をどうすれば良いのかって?
・・・・・・
ヨキッチを
はい。わかりません。
昨季までなら「ヨキッチに徹底的にディナイしてボールをできるだけ持たせない」とか、それこそゾーンも効果的だったかもしれません。
けど今季はマレーやMPJやら選択肢が豊富過ぎて「ヨキッチにやられるのは仕方ないけど他は極力抑える」というのも難しい。
ヒートはシクサーズがやった「PJ・タッカーをヨキッチに当ててエンビードはローミング(リム近辺に留まらせる)」を真似るのも出来そうにない、というかレイカーズが似たような事やったけど結局上手くいきませんでしたし・・・・・・・
うーん・・・・
下手の考え休むに似たり
エリック・スポールストラHCの魔法を楽しみにしましょう。
ケビン・ラブの状態はどうなんでしょうね?
今回はこの辺で。ではまた。
余談。
記事タイトルにある「“電子レンジ”対決」は「ナゲッツvsヒート→チキンナゲットvs熱→電子レンジ」というジョークです。勿論私が思いついたモノではありません。
フフッてなりました。