各種TOVランキング。一言で「ターンオーバー」と言っても20種類以上。やって良いターンオーバーとダメなターンオーバーの違いは何か。etc.

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各種TOVランキング。一言で「ターンオーバー」と言っても20種類以上。やって良いターンオーバーとダメなターンオーバーの違いは何か。etc.

各種ターンオーバーWORST20ランキングを見てみましょう。(2022/11/23時点)

まず2019シーズン以降レギュラーシーズンでのターンオーバー総回数WORST20ランキング。WS(※)と出場時間を併記したもの。

※:Win Share。ウィンシェア。選手のスタッツ上での貢献度を表した指標の一種。
複雑な計算式を用いて、チームの勝利数を個人に分配しています。つまりチーム全員のWSを足すと、チームの勝利数となります。(多少ズレます、詳しく知りたい方はこちら→BBR用語解説)

1試合平均でのランキング。PPGとAPGを併記したもの。

今季100ポゼッションあたりでのターンオーバー数WORST20ランキング。(2022/11/23時点、100分以上出場者対象)

PBPstats

こいつら全員ミスばっかしてけしからん!!

・・・・とはならないのがターンオーバーの面白い部分です。

ターンオーバーはないに越したことはありません。シュートをせずに相手へポゼッションを渡してしまうわけですから、「ターンオーバー=悪いミス」という図式も、あながち間違いではないと思います。(超細かい事を言うと、ポゼッションが移らないターンオーバーもあるそうで。↓画像で言うNo Turnoverノーターンオーバーってヤツです。ややこしい)

下の画像1はターンオーバーの種類を列記したもの。

右の数字は2019シーズンの1月27日時点でのカウント数。

25種類あります。

Forced Turnoverフォースドターンオーバー(相手に強制されたターンオーバーの事)、Unforced Turnoverアンフォースドターンオーバー(左の逆、大体が単純にミス)、Live Ball Turnoverライブボールターンオーバー(時計/プレイが止まらないターンオーバー)、Dead Ball Turnoverデッドボールターンオーバー(左の逆)、バックコートでのターンオーバー、フロントコートでのターンオーバーetc.と位置や時間/状況によっても区分けされ、細かく数えればターンオーバーの種類は100、200では収まらないと言えます。

今季ライブボールターンオーバー数WORST20ランキング。(2022/11/23時点)

PBPstats

今季デッドボールターンオーバー数WORST20ランキング。(2022/11/23時点)

PBPstats

これだけの種類があるわけですから、すべてをなくそうとするのは無理です。ドリブル、パス、シュート、スクリーン、ポジショニングあらゆるプレイにターンオーバーのリスクがつきまといます。

ターンオーバーを恐れるあまりシュート/パス他上記プレイに消極的になっては本末転倒。「シュートミスは許されているミス」であるように、ターンオーバーにも許されるターンオーバーがあります

やってよいターンオーバーとダメなターンオーバーの違いは何か?

これが本記事の主題になります。以前書いた記事「賢い“2for1”」と「愚かな“2for1”」の違いは何か?」と似たようなもんです。

まず↓画像を見てみましょう。ポゼッションの始まり方毎のPPP(ポイントパーポゼッション、1ポゼッションあたりでの得点)です。2011-15と些か古いデータなので数値は今と違いがあるでしょうが、注目したいのは相手ライブボールターンオーバーで始まったポゼッションでのPPPの高さ。

トランジッション3を打つ/決める選手が増えた今はもっと他ポゼッションとの差が増えているかもしれません。

シンプルな感想として「ライブボールターンオーバーをすると相手に得点されやすくなる」って事があります。

軽く書きましたが、これはエラい事です。
最近ですと「ライブボールターンオーバーが昨季NBAファイナルの勝敗を分けた」と言っても過言ではないかもしれません。

ライブボールターンオーバーはデッドボールターンオーバー(バイオレーションやアウトオブバウンズ等)と違い時計/プレイが止まりません。相手にポゼッションを渡し、そのまま相手オフェンスが実行されます。

つまりディフェンスを整える時間がない、もしくは非常に少ないです。これはディフェンスに強みを持っているチームにとって特に大きなディスアドバンテージでしょう。

それが顕著に表れたのが昨季NBAファイナル第2戦です。

この試合でのセルティックスの18のターンオーバー中15個がライブボールターンオーバー。ターンオーバーからの失点は33にもなります。ウォリアーズからすれば「相手オフェンスを止めて、そのままイージースコアに持ち込める一石二鳥」。NBA.com

「じゃあライブボールターンオーバーは絶対やってはダメなターンオーバー?」

いいえ。そうとは言い切れないと思います。
勿論「ライブボールターンオーバーはリスクの大きなターンオーバー」であることは間違いありません。

しかし上記画像1を見ればわかるように全ターンオーバー中ライブボールターンオーバーは半数を優に超えます。Bad Pass、Lost Ballはパス/ドリブル/シュートへ行く過程で発生しうる、「抱えなければならないリスク」でもあります。

しかし「ライブボールターンオーバー、オールOK」と開き直るわけにもいきません。

OKと書いて唐突に思い出しただけで特に意味はないです。


過去記事「賢い“2for1”」と「愚かな“2for1”」の違いは何か?と似たような考察になりますが、やはり「やってよい(ライブボール)ターンオーバーとダメなターンオーバーの違いは何か?」でも“得点期待値”は無視の出来ないキーワードです。

リスクを抱えるに値するだけのリターンがあるのなら、そのライブボールターンオーバーは許容すべきだと思います。そのリターンとは「高い得点期待値」だったり、若い選手なら「成長するための経験」だったりもするでしょう。

興味深いケースで’21シーズン以降のドレイモンド・グリーンがいます。

’20シーズン。
ウォリアーズはKD移籍、クレイ・トンプソン全休、ステフィン・カリーもほぼ全休でドレイモンドも43試合のみ出場。
迎えた’21シーズン。
ステフは復帰するもクレイは開幕前に全休が決まり、KDも当然いません。アンドリュー・ウィギンズは前年終盤に加入したばかり、ジョーダン・プールは今以上に発展途上。

そんな中、ドレイモンドのあるスタッツが激増しました。

それはAST%とTOV%(コートにいる際のアシスト割合とターンオーバー割合)。

KDという1on1オプション、クレイの長距離砲とステフへのプレッシャーを軽くする効果。この非常に大きなオプションと効果を失ってできた穴を埋めるために、’21ウォリアーズ/ドレイモンドは今までよりも高いリスクを抱えてでも「通りさえすればイージースコアに繋がる攻めたパス」を出さなければならなかったのではないでしょうか。(’21シーズン、ドレイモンドのBad Pass数はリーグ4位)

少し具体的に言えば、スリップスクリーンやバックドアカットのようなダイブカット(リムへ向かうカッティング)へのパスです。適切なタイミングやディフェンスの隙間を通す精密さも求められるパスですが、通ればオープンに近い形でゴール下でボールを持てるわけですから得点期待値は非常に高いと言えます。ファウルをもらえることも多くand1ならウハウハです。

ドレイモンドによるBad Pass/ライブボールターンオーバーはリスクの高いミスですが、’21以降のウォリアーズには必要なミスだったのではないでしょうか。ケミストリーを高め、後に優勝するためにも。

私は「通りさえすればイージースコアに繋がるパス」≒「得点期待値の高いパス」なら、その過程でライブボールターンオーバが発生しても、それを悪いミスとは思いません。ドライブで目の前の相手を抜きさえすればリムまで一直線で行けそうな場面なら、1on1を仕掛けその過程でLost Ballが発生しても、それを悪いミスとは思いません。
最近のNBAではハイポストや45度からウィークサイドコーナーへのクロスコートパスがさらに増えてきた印象ですけど、同時にインターセプトされる事も増えてきた印象です。ただコーナー3も非常に得点期待値の高いシュートですから、これも許容されるべきミスだと思います。

ただし当然そこにはスキル/実力が求められます。「悪いミス」ではなくても成功に繋がらず、あまりにもミスが続くようなら、それはスキル/実力不足と見なされスターターやローテーションから外される事もやむなしでしょう(ドレイモンドらがそうなるって事じゃないですよ。スキルが伴わず信用を勝ち取っていない選手がミスを重ねるとそうなるかもしれないって事です)。シュートミスと同じですね。

一旦まとめると、

ターンオーバー、特にライブボールターンオーバーは不利益が非常に大きくリスクの高いミスだが、得点期待値の高いプレイのためならある程度許容すべき事も多いミス

こんな感じでしょうか。

次は「やってはダメなターンオーバーについて」ですけど・・・・書き方が難しいです。

前述の「やって良い/許容されるべきターンオーバー」はある程度のスキル/実力やチーム内の役割etc.が伴った上で許容される「レアケース」であって、実際は「ダメなターンオーバー」の方がずっと多いと思います。逐一例を挙げたらキリがないですし、境界線も難しいです。

まぁ、パッと思いついた最悪なターンオーバーは「バックコートでのアンフォースド(相手に強いられたわけでもない)ライブボールターンオーバー」。
期待値的には-3点に近くなるであろうドデカいミスです。1ポゼッション失う、1ポゼッションでの得点期待値はリーグ平均で大体1点なので-1点。バックコートでボールを奪われる、つまりフロントコートにいる/向かっている味方ディフェンスが戻る時間もなく、ゴール下ガラ空きで高確率にレイアップorオープン3Pで-2点。-1と-2を足して-3点。それがアンフォースド/ケアレスなプレイによって生まれたのなら、それは絶対的にダメなターンオーバーでしょう。

アンフォースドターンオーバーは基本的に「やってはいけないダメなターンオーバー」と言って良いですかね。
ピボットフットを不法に動かしてのトラベリング、ダブルドリブル、キャリー(パーミング)は大体アンフォースドターンーバーにあたりそうです。
コーナでのアウトオブバウンズ(ステップ)は微妙なラインでしょうか。NBA選手は体が大きく足もデカくて長すぎるからか国際バスケや他リーグよりも多く目にする印象です。
オフェンシブ3セカンドバイオレーションも微妙なラインですかね。熾烈なポジション争いの結果のオフェンシブ3セカンドバイオレーションはフォースドターンオーバーとも言える気がします。「無理そうならとっととハケるべき」って意見もありそうです。

リスクと得点期待値が見合わなかったり、相手ディフェンスによって強いられたわけでもないアンフォースドターンオーバーはやってはいけないダメなミス

ダメなターンオーバーについて雑にまとめるとこんな感じでしょうか。

「賢い“2for1”」と「愚かな“2for1”」の違いは何か?以上に「やってよいターンオーバーとダメなターンオーバーの違いは何か?」は多くの要素が絡み合いケースバイケースで複雑な気がします。「残り3分で二桁リードの状況」のようなリードを守り切って勝ちたい展開でなら期待値が高くともリスクを取るべきではないでしょうし、再建チームのルーキー/成長してほしい選手なら期待値の低さ/悪いターンオーバーを許容してでも積極的になって欲しいでしょうし、難しいです。

ターンオーバーは試合結果を大きく左右する重大な要素です。
しかし“ネガティブなスタッツ”だからか深く掘り下げて語ってくれる人や記事は、スコアリングやディフェンスなど他要素と比べ少ないように思います。

ただ少ない分珍しく、面白い考察や研究結果の割合が多い気もします。
上記画像1の引用元もそうですし、最近見つけたものでは、中京大学の小林大地氏,松藤貴秋氏,稲葉泰嗣氏共著による「バスケットボールの試合におけるターンオーバーの特徴と勝敗との関係」という論文は大変に有意義で充実した時間を私にもたらしてくれました。日本語で書かれていますし、万人にオススメ出来ます。学のある方が書く文章は読みやすくて記憶に残りやすいです。

・・・・・・見習いたい。

今回はこの辺で。ではまた。

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