【NBA】NBA2024各チーム各選手のピック&ロール・アイソレーションの頻度と得点効率ランキングを見て考える両プレイタイプのメリット・デメリット他。/ハーデン、ドンチッチ、SGA、ロジアー、デローザン、カワイ、ステフィン・カリー、ヨキッチ、カイリー、テイタム

目次

【NBA】NBA2024各チーム各選手のピック&ロール・アイソレーションの頻度と得点効率ランキングを見て考える両プレイタイプのメリット・デメリット他。/ハーデン、ドンチッチ、SGA、ロジアー、デローザン、カワイ、ステフィン・カリー、ヨキッチ、カイリー、テイタム

とりあえず順位表。以下全て2024/4/12終了時点。

で、

今季2024各チームのピック&ロールボールハンドラーFREQ%(P&Rボールハンドラーによる得点頻度)ランキング。PPP(Point Per Possession。1回あたりでの得点量)他併記。

上記NBA.com/statsでは一括りにまとめられていますがピック&ロールも複雑化しまして、かつての代名詞ジョン・ストックトン&カール・マローンのようなシンプルなピック&ロールも依然として有効ですけども、スタッガースクリーン(複数のスクリーナーをずらして配置)を用いたり、ハイピックだったり、スペインピックだったり、インバーテッドピック&ロール(ビッグマンがハンドラーを務めるピック&ロール)だったり、実際のピック&ロールは多種多様かつ派生が多く、そこに至るまでの事前準備もまた多種多様です。ゴーストスクリーン(スクリーンをかけるふりして通り過ぎる動き)やスリップスクリーン(スクリーンをかけるふりしてリムへダイブする動き)のようにピック&ロールを囮に使う動きも増えました。

つまり「質の高いピック&ロールには質の高いケミストリーとBBIQが求められる」という事です。

ピック&ロールボールハンドラーのPPPはリーグトップクラスの選手でも1.10前後。

今季2024、選手のピック&ロールボールハンドラーPPPランキング。1試合5回以上やってる選手対象。

全体的にP&RボールハンドラーのPPPはアイソレーションと同じか若干低いくらいです。

今季2024、選手のアイソレーションPPPランキング。1試合3回以上選手対象。

今季2024、チームのアイソレーションPPPランキング。

ただ、P&Rはボールハンドラーがロールマンへとパスを通せた時にとてつもない効率(PPP)を発揮します。

今季2024各チームのピック&ロールロールマンPPPランキング。

ロールマンを警戒しディフェンスが中に寄れば、キックアウトでスポットアップシュートにも派生します。

今季2024各チームのスポットアップPPPランキング。

アイソはアイソでスポットアップや他プレイタイプに派生する事はありますがP&Rと比べると少なくなります。

では「何故アイソをやるのか」って話ですが、当然P&Rにはデメリットもあって、アイソにも大きなメリットがあるからです。

まずP&Rには前述の通り「チームケミストリー・練度」がより求められます。アイソよりもターンオーバーに繋がる機会も多いです。イリーガルスクリーンだったり、バッドパスが生まれやすくなります。

今季2024各チームのP&Rボールハンドラーのターンオーバー頻度ワーストランキング。

今季2024各チームのアイソレーションのターンオーバー頻度ワーストランキング。

ロケッツ時代ジェームズ・ハーデンや今のルカ・ドンチッチのような大前提が必要ですが、彼らのような超優秀かつ耐久力のある優れたアイソレーションプレイヤーが一人いると、チームメイトの疲労・消耗を比較的抑えながら強力なオフェンスを展開できます。つまりチームメイトをディフェンスに注力させやすくなります。移籍が多く(ケミストリーを構築しづらい)、かつ試合数の多いNBAにおいてコレらは大きなメリットでしょう。

ドンチッチやロケッツ時代ハーデンやシクサーズ時代アレン・アイバーソンのディフェンスは何かと揶揄されがちでしたが、「彼らはアイソを多くプレイする事で間接的にチームメイトのディフェンスを助けていた」と言えなくもないです。

2019アイソレーションポゼッション数ランキング。

1位ハーデンの1280回は2016年の計測開始以降最多です。当たり前です。恐らく今後も破られる事はないと思います・・・・・多分。いやまさかね。

今季2024アイソレーションポゼッション数ランキング。

1位ドンチッチはP&Rハンドラーとしても高頻度高効率スコアラー兼多才なパサーなので尚更アンストッパボー。

ウォリアーズ王朝や近年のナゲッツはアイソの少ないチームで他に強力なオフェンシブスキームを持っていましたが、それにはチーム全体での豊富な運動量と連携(カッティングやオフボールスクリーン等)が必要で、オフボールでもギャップを生むステフィン・カリーやニコラ・ヨキッチが不在になると途端に機能不全に陥ってしまうリスクがあります。両者のオン/オフの高さは両者の影響力の一端であると共に、そのチームスタイルのちょっとした欠点の表れでもあります。

2015~2022ステフのオンコートOffRtgとOffRtgのオン/オフ(右端列の数字)。

2020シーズンは手首の骨折で5試合のみの出場でした。

2016~2024ヨキッチのオンコートOffRtgとOffRtgのオン/オフ。

余談:ステフにしろヨキッチにしろレブロンにしろ、近年オン/オフが非常に優れている選手に対し「他スターターと多くプレイして、ベンチ選手とは少ない事でオン/オフが膨らんでいる」といった言説をたまに見聞きますが、ヨキッチはジャマール・マレー&MPJ不在の2022シーズンでも、ステフはクレイのいなかった2021シーズンでも、レブロンはどのチームでも、彼らはチームメイトを変えながらリーグトップクラスのオンコートRtg・オン/オフRtgを維持しています。他スターターと多くプレイしているのは間違いありませんが、他スターターの良さをマキシマイズ出来ていて、ほぼ欠場しなかったんですから、そりゃそうなります。

勿論オン/オフやオンコートスタッツには他スタッツ・指標と同じく留意点がありますが、レブロン、ステフ、レブロン(他にもクリス・ポールら)のオン/オフの優秀さに関しては「彼らのチームメイトを向上させる能力の表れ」と捉えてまず間違いないと思います。サンプルサイズもデカいですし。

まとめると、アイソにしろP&Rにしろ何にしろメリットデメリットがあって、結局は「実行する選手・チーム」による部分が大きいです。「全てのプレイタイプに貴賎なし」とでも言いましょうか。

アイソは誰にとっても「あ、アイソだ」とわかりやすい分、味方と相手ディフェンス共に準備・予期しやすいって事も特徴ですかね。

また随分と散らかった記事になりましたが、それも全て見逃せない試合ばかりで記事を書く時間を少なくするNBAが悪い。いやスパイク・リーのせい。

自身の61得点やレジー・ミラー、マイケル・ジョーダンのMSGでの活躍を「あんたのせいだ」とスパイク・リーにトラッシュトークするコービー。
最近似たような事をタイリース・ハリバートンがキャバリアーズファンに言っておりました。動画へのリンク

今回はこの辺で。ではまた。

おまけ。

今季2024OffRtgランキング。Cleaning the Glass準拠。

  • URLをコピーしました!
目次