「油断大敵」ではなく「窮鼠ヨキッチを嚙む」。セルビアとヨキッチとイタリアと来季ジャズの救世主に何が起こったのか。
・セルビア対イタリア
5勝0敗でグループD首位通過のセルビアはNBA過去2シーズンのMVPを擁する今大会屈指の優勝候補。
一方イタリアは3勝2敗でグループC4位通過、しかも今大会ガリナリを怪我で欠く事に。
「EuroBasketでは何が起こっても不思議ではない」とはよく聞く言葉です。ヌルキッチも今大会前に言っていました。
「EuroBasketでは何が起こっても不思議ではない」・・・・・86-94でセルビア負けました。先に結果をバラシてごめんなさい、それにイタリアが勝ったというべきですね。
ただビックリはしていません。勿論結果だけ見ればビックリしたでしょうが、試合内容を見れば「負けるべくして負けた」という印象です。まさに「EuroBasketでは何が起こっても不思議ではない」です。本来の意味とは少し違うかもしれませんが、イタリアが勝ったことを「不思議」とは言えません。
この試合、ニコラ・ヨキッチはFG8/14,3P2/3,FT14/15で32pts13reb4ast2stl4tovでした。この数字にケチはつけられないでしょう。4tovのうち2つは相手のビッグプレイに繋がるものでしたが、ヨキッチがチームに与えたアドバンテージで有り余るお釣りが出ます。前半ニコロ・メリにディフェンスで狙われていた事を含めても、その事に変わりはないでしょう。
事実ヨキッチの+/-は+11でした。そう、ヨキッチがコートに立っている間はセルビアは圧倒していたんです、特に第3Qまでは。
この「負けたら終わり」のトーナメント、大一番でヨキッチは29分しか出場していません。その29分間で上記高効率ハイボリュームスタッツと+/-プラス11を叩き出しました。しかし最終スコアは86-94。つまりヨキッチがベンチにいる僅か11分の間にセルビアはマイナス19もの差をつけられたという事です。
誤解のないよう書いておきますが、「ヨキッチ以外がヒドかった」と言いたいのではありません。
・・・・・・・・いや正直セルビアのぺシッチHCのヨキッチ起用法には聞いてみたい事は沢山ありますけども。「何故第4Q頭から出さなかったのか?」とか「何故その後もタイムアウトを取ってヨキッチ投入のタイミングを作らなかったのか?」ですとか「ヨキッチにシュートを打たせる/ボールを持たせるデザインプレイは他になかったのか?」とか沢山あります。
話を戻しますと、つまりイタリアはヨキッチ不在の間にプラス19のリードを稼ぎました。その過程は本当に見事で、特に後半マルコ・スピッスとシモーネ・フォンテッチオの3Pは得点以上にセルビアの攻守に焦りを生んでいました。
今大会中セルビアのヴァシリエ・ミシッチはヨキッチと良い2メンゲーム/ケミストリーを見せる事も多くありましたが、相手にランを許している最中やヨキッチのショートロールへボールを渡せなくなると空回りしてしまう場面も多く、まさにこの試合イタリアの3P攻勢とヨキッチへのディナイはミシッチのそういった負の面を引き出していました。
他のセルビア選手もヨキッチへボールを出せない時に、出来たギャップを有効利用するでもなく一度間を置いて相手ディフェンスにリセットさせる時間をみすみす与え、結果攻めあぐねタフショットに繋がるなど練度不足に見える場面が多々ありました。(シュートが外れるの仕方がないですが、積極性がないのはイカンと思います)
逆にイタリアは第4Q残り6分にヨキッチが戻ってきてからは上手くアジャストしてヨキッチを守っていましたし、コート上の皆が積極性を維持しビッグプレイを生んでいました。結果論でも偶々でもなくスピッスとフォンテッチオの3P、ヨキッチのノールックパスをインターセプト、からのエンドワンレイアップは必然の好プレイでした。
あのヨキッチのほぼハーフコートエンドワン3Pはしょうがないです。やっぱりMVPですし。
正直言えば「ヨキッチをもっと見たかった」と思いますし、EuroBasketの大舞台でヤニスやドンチッチとの対決が見れなくなるのは超残念なんですけど、勝ったのはイタリアで称賛すべきはイタリアです。
天晴れ!
というわけで試合結果は86-94でイタリアの勝利。イタリアのマルコ・スピッス22pts、ニコロ・メリ21pts、シモーネ・フォンテッチオ19pts。ヨキッチ32pts13reb、ミシッチ16pts8ast(なんだかんだ8ast、サーカスレイアップやタフ3も決めてて流石な部分もありました。すこーし確率が悪かっただけです)。
イタリアおめでとう!ユタ・ジャズはマルッカネンとフォンテッチオにオールインしましょう!
セルビアはお疲れ様でした。ヨキッチは来季へ向けアリーナにいたお兄さんと奥さんと娘さんと良い休日をお過ごし下され。
こんな感じで↓。
ちなみに左の女性はヨキッチの奥様で右の女性はボバン・マリヤノビッチの奥様。ついこの間のボグダン・ボグダノビッチ30歳お誕生日会での一コマです。