現時点NBAでのUSG%ランキング/USG%とPPGの関係/マブスはヘリオセントリックで突っ走るのかetc.

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現時点NBAでのUSG%ランキング/USG%とPPGの関係/マブスはヘリオセントリックで突っ走るのかetc.

いつもどおり、現時点(11/03)でのランキングをみながら「気になる選手/事柄を語ってみよう」って記事です。

今回はUSG%(※1)ランキング。

※1:ざっくり言うと、「その選手がコートにいる時にシュートを打つorターンオーバーする割合」。
よく「使用率」と訳されたり、「負担の多さを表している」と説明されてるのを見かけますが(私も面倒な時はそうします)、語弊があります。
下記計算式を見ればわかる通り、USG%はあくまでFGA/FTA/TOVをする頻度にだけ焦点を当てたスタッツです。
なのでキャリア後期のクリス・ポールのようなファシリテーター(パサー寄りのプレイメイカー)はプレイへの関与率(使用率)や負担が大きくともUSG%は少なくなります。2022シーズンで言うとクリス・ポールのUSG%は19.7%でリーグ98位、同チーム内でもジャベール・マギーやキャム・ペイン以下です。
よって、USG%が高い選手を使用率/負担の大きい選手と見なす事は100%間違いではありませんが、「低くとも多くの使用率や負担を背負っている選手もいる」と思っておくと吉です。我ながら細かいですね。

計算式は以下。覚える必要はないです。
100*((Player’s Field Goal Attempts)+0.44*(Player’s Free Throw Attempts)+(Player’s Turnovers))*(Team’s Total Minutes)
/
((Team’s Total Field Goal Attempts)+0.44*(Team’s Total Free Throw Attempts)+Team’s Total Turnovers))*5*(Player’s Minutes)

2022/11/03時点でのUSG%ランキングは以下

ルカ・ドンチッチが40.52%で1位。
ちなみにAST%も52.3%で1位。(2位はタイリース・ハリバートン43.6%)

ドンチッチは昨季も37.4%で1位、そこからさらに数字を上げています。歴代1位の記録が’17ラッセル・ウェストブルックの41.65%で、このままいくと歴代2位のシーズンUSG%になります。
AST%も歴代14位と非常に高い数字です。

ドンチッチとマブスは今後もHeliocentricヘリオセントリック(※2)を推し進めていくんでしょうか。

※2:直訳すると地動説・太陽中心説。つまり一人の圧倒的なball dominantめっちゃボールを持つ中心選手(太陽)の周りに、それを補完する選手(ロールプレイヤーが多い)を並べるようなチーム構造・オフェンスシステムの事。Heliocentrism/ヘリオセントリズムとも。
2019年くらいからよく使われるようになった言葉ですが、NBAにおける起源も定義も割と曖昧。恐らく1番有名な例はジェームズ・ハーデンのいたヒューストン・ロケッツ。

ハーデンのいたロケッツや今のマーベリックスを見ればわかるように、太陽役を担える選手さえいれば非常に強力ですが、1人がめっちゃボールを持つため他のスター選手は獲得しづらかったり、獲得できても不満を持たれやすかったり、有効活用しづらかったりします。

上記は超大雑把な説明で、実際は色々と奥深い言葉で解釈/考察も様々。「ヘリオセントリックで優勝できるのか?」をテーマに記事が作られてたり議論が沸いたりで面白いです。

個人的にはこのまま突っ走って欲しいです。「USG%が高過ぎるのはアカン」みたいな通説をブチ破ったら面白いですからね。
けど、別のスター選手と組んで「オンボールでの負担を減らしてオフボールムーブにも長けた新ルカ・ドンチッチ」みたいなのが誕生したら、それはそれで面白いです。
つまり「ルカは怪我しないで好きにやりたい放題やって後20年くらい現役続けろ」って感じです。

この半年間でアレンジバージョン含め1憶万回くらい見たミーム画像。

過去10年のPPGリーダーを見てみますと10年中6回はその年のUSG%リーダーが得点王もとっています。
過去10シーズンのPPG1位~5位↓。

過去10シーズンのUSG%1位~5位↓。

ドンチッチは過去2シーズンでUSG%をリードしながら得点王を獲得してはいません。しかし今季は高いUSG%を持ちつつTS%でも60.9%と高い数字を記録しています。このまま行けば・・・・

乞うご期待。

次に注目したいのは「いてもおかしくないのにUSG%ランキング上位にいない選手」、’22シーズンMVPのニコラ・ヨキッチです。

ヨキッチの今季USG%は今のところ23.3%でリーグ65位。同チーム内でもボーンズ・ハイランド31.8%、ジャマール・マレー26.4%、マイケル・ポーターJr23.4%以下。(八村塁22.2%ともそう変わらない数字です)

昨季は31.9%でリーグ10位、キャリア通算では26.5%で、今季の23.3%はルーキーシーズンを除けば最も低い数字です。

ここで思い出されるのはヨキッチの開幕前インタビュー。

勿論彼(ジャマール・マレー)とプレイするのは大好きだよ。

彼が次の20試合で“非常に悪い”のはわかっているけど、僕らは生き抜いてみせるさ

復帰後は不安定かもしれない。でもリズムを取り戻し、怪我をする前の状態に戻る必要があるんだ

動画はこちら

“彼が次の20試合で非常に悪い~”の部分は冗談と言うか気遣いだと思いますが、「半分は本気だったのかな」とも思います。
というのもマレーは約1年半、マイケル・ポーターJr(以下MPJ)は約1年ぶりの実戦です。当然すぐに元通りとはいきませんが、優勝の為には出来るだけ早く本領発揮してほしいのも事実。(MPJの3Pは既に以前と変わらぬ理不尽さを取り戻してるように見えますけども)
不調によりUSG%やPPGが下がったというよりは、ヨキッチ/ナゲッツはケミストリーやリズムを取り戻してもらうためにマレーやMPJ他新加入の選手たちに積極的にシュートを打たせているのではないでしょうか。数字上でもアイテスト(試合を観て評価する事)でも、それが示唆されているようです。

ヨキッチのUSG%やPPGは大幅に下がっていますが、パス回数/タッチ回数は昨季と変わらずリーグ1位の多さで、TS%も68.3%と超高水準。

on court NetRtg(コートにいる時のチームNetRtg)でも+7.7で79パーセンタイル。
マレーがまだ本調子ではない事と、昨季とメンツが様変わりして発展途上な事を鑑みれば「出来過ぎ」とさえ思える数字です。

© Cleaning The Glass

勿論懸念点もあります。

昨季の手首負傷以降ヨキッチの3P%が依然低いままな事、ここ2年で改善されてきたディフェンスが今季は今のところ「アレ?」ってシーンが目立つ事。
現在4勝3敗ですが、ケミストリーや復調の為に負けが込んでは元も子もなく、ケミストリーが高まる事も保証されているわけではありません。
ヨキッチのOn/Off Diff(コートにいる時といない時のNetRtgの差)が+31.2で99パーセンタイルと依然高いのも、ヨキッチの影響力の凄さを表す数字ではありますが、チームが勝利/優勝するにはそれじゃあ困ります。

私の今後の注目点は、「マレーやMPJがいつ/どのような形で本領発揮して、新旧メンバーたちと攻守でどういったケミストリーを見せてくれるのか」、「マレーとヨキッチの美しい2メンゲームの頻度が増えるのはいつ頃になるのか」、「ヨキッチのUSG%が上がって来るのはいつ頃になるのか」、3つに絞るとしたらこんな感じです。

正直今季の試合を観てると「ヨキッチ、もっと積極的にシュート打っても良いと思うの」とヤキモキする事も多いんですけど、「相変わらずのアンセルフィッシュな姿勢と優勝だけが目標な姿勢の表れ」だと思えば、嬉しくもあります。

過去2シーズン連続でのMVPも勿論尊いものですが、カンファレンスファイナルまで進んだ’20シーズン、チームの成功に喜ぶヨキッチとナゲッツを是非また観たいです。

今回はこの辺で。ではまた。

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