チームごとのMVP輩出回数ランキングと複数受賞者リスト。/とっても便利なMVP & NBA Awards Vote Tracker。/MVP投票有権者は何を判断基準にしているのかetc.

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チームごとのMVP輩出回数ランキングと複数受賞者リスト。/とっても便利なMVP & NBA Awards Vote Tracker。/MVP投票有権者は何を判断基準にしているのかetc.

NBAレギュラーシーズンアワードの中で最も権威ある賞と言えばシーズンMVP

レギュラーシーズンの活躍を基に有権者100名の投票をもって決定されます。※

※:リーグが選んだメディアメンバー100名がそれぞれ1位~5位の5選手を選出。1位票は10ポイント、2位票は7ポイント、3位票は5ポイント、4位票は3ポイント、5位票は1ポイント。合計ポイントが元も多い選手がMVPを受賞。2010年以降はファンもオンライン投票による1票を持っています。

有権者100名がどんな方々かと言うと、昨季’22はこんな感じ↓。※画像クリックで拡大

シーズンアワード他メディア投票の詳細はNBA Communicationsで確認できます。

ESPNから18名、The Athleticから13名、Tunerから8名、The Ringerから6名。NBA.com、FOX Sports、Sports Illustrated等から若干名。アメリカ各地域メディアから1名、世界各国から若干名(日本からは宮地陽子氏と杉浦大介氏が選ばれております)。

ファンの間で「メディアはMVP投票に○○を重視する」などといった文言がよく見受けられますが、有権者は100名いて十人十色。彼らは皆で会議をしてMVPを決めてるわけでもありませんから、本来一概に言えるはずもありません。そのための100と言う大人数でしょうしね。
最近、The Athleticで“Nikola Jokić? Jayson Tatum? Luka Dončić? Who leads the NBA MVP race?”という記事が上げられ、その記事中で昨季’22有権者のJosh Robbins/Anthony Slater/Zach Harper3名は投票基準について見解を述べていました。おいそれと引用できないほど複雑で画一的でない考え方・投票基準を各々が持っています(記事中ではわかりやすいよう伝えてくれてはいます)。

これは他の有権者にしても同じことです。近年は有志の方々が、有権者の考え・投票内容を表明したメディア媒体・そこへのリンク先をMVP & NBA Awards Vote Tracker(Google スプレッドシート)にまとめてくれていて、以前より有権者の考えに触れる事が容易になりました。(発表前に大体の結果がわかってしまうのでネタバレが嫌な方は注意です)

有権者の意見を聞きに行くのに超便利。作成:@CroesFireDreamshakemax@gmail.com/u/TexasAlaskaMontana

水を差すような事を書きますと、シーズン中随時更新され常に話題になるNBA.comのMVP Ladder(MVP順位)はMichael C. Wright記者による100分の1の意見でしかありません(頻繁に10位まで選んで更新しながら、内容に新鮮味も保たないといけない様で、その苦労が察せられます)。

MVP Ladderが発表されるたび「アイツが高すぎる、コイツが低すぎる」等々と議論が活発になります。良い事です。
その中で、MVP受賞に必要な条件や傾向について意見が交わされてるのをよく見ます。

とかく人は「傾向」を「根拠」と、「相関関係」と「因果関係」を混同しがちです。
「今までの殆どのMVPが上位2チームから選ばれているんだから、MVPは上位2チームから選ばれる。そうあるべき。」「過去10シーズン中9回、WS/48や影響指標の1位がMVPに選ばれているから有権者はそれらを重視している」等々、MVP受賞ないしMVP投票で票を得る事と上記チーム成績/各種総合指標は間違いなくある程度の相関関係がありますが、それは必ずしも有権者たちがそれらを重視・根拠にしているとは限りません(勿論軽視し無視しているとも限りません)。
「相関関係」と「因果関係」はイコールではないのです。

※:相関関係と因果関係の違いを理解するのによく引用される有名な例があります。
世界各国のチョコレート年間消費量とノーベル賞受賞者輩出数には相関関係がありますが、チョコレートを沢山消費する事がノーベル賞受賞者多数輩出の原因・根拠にはなりません。
嗜好品であるチョコレートを沢山消費するだけの経済的裕福さは多くの高等教育履修者を生み、それがノーベル賞に繋がったとは言えても、チョコレートの大量消費がノーベル賞受賞の原因ではないです。
つまりチョコとノーベル賞に相関関係はありますが、因果関係はありません。いくらチョコ沢山食ったって頭は良くなりゃしませんし、地球を平和にできないし、優れた文学を残せませんし、ノーベル賞は受賞できませんからね。

NBAとは直接関係ありませんが、こういった統計学的知識はチーム/個人の好成績・スタッツの原因等について考える、妄想するのに役立ちます。私のような暇人向けで必須でも何でもないですけども。

MVPの投票結果に不満を感じた事は誰しもあると思います。私も当然あります。誰だって好きな選手が票を得られなかったら(評価されなかったら)残念でしょうし、自分の評価と他者の評価のギャップに違和感や怒りを覚える事は珍しくないでしょう。
そういった理屈を抜きにした感情・情熱はスポーツを楽しむ上で非常に大事なはずです。前述のスタッツやら統計学的知識云々よりも、よっぽど大事な事だと思います。

しかし、不満を感じた一歩先、実際に投票した有権者たちの意見を聞いてみると、そこには深い造詣や興味深い考察が溢れています。およそ「PPG,RPG,APG他アドバンスドスタッツ、総合指標が高いから」「最高のチームで最高の選手だから」云々なんて単純なものではないです。仮にそういった極めてシンプルな考え方の有権者がいたとしても100分の内の極僅かです。全員の意見を確認しているわけではありませんが、少なくとも私が贔屓にしているアナリスト・ライターは深い造詣を基に多くの評価基準を持って判断を下しています。

「有権者・メディアはおかしい。矛盾している」と思ったその一歩先、「何故そうなったのか?」にまで考えを及ばせ耳を傾けると、満足のいく答えを得られるとは限りませんが、面白いと思えることが沢山あります。MVP投票に限らず、コーチングや選手のデシジョンメイキング(意思決定)などにも同じような事が言えると思います。

繰り返しになりますが、有権者の考えに寄り添う事や深く触れようとすることは、必須でも義務でも何でもないです。
MVPやシーズンアワードの結果だけを見て一喜一憂するのは当たり前の事で、楽しむのにはそれで充分です。不満を持つ事は悪い事でも何でもありません。かくいう私はDPOY・All-D-Teamの投票内容に関しては、ほぼ毎年不満を感じております。

ただ本記事では、シーズンアワードへの不満や疑問・そのNBAへの情熱の一歩先にアクセスする事の面白さ、有権者/ライター/アナリスト/コメンテーターたちの考えに深く触れる事の面白さについて少し語ってみました。

興味のある方はMVP & NBA Awards Vote Trackerへ是非。

いつにも増して偉そうな感じになってしまって申し訳ないです。

今回はこの辺で。ではまた。

おまけ。

’10シーズン以降MVP受賞者の影響指標LEBRON順位。

念のため書いておきますが「LEBRONは万能指標、MVP投票に大きな影響を与えている」などと言う意図は全くないです。良く出来てて面白い指標ですけどね。詳細はこちら

複数回MVP受賞者のリスト。

チームごとのMVP受賞者輩出回数。

All-NBA-1st輩出回数は1位レイカーズが63回で、2位セルティックスの37回に大差をつけていますが、MVP回数ではセルティックスが1位。

ラリー・バードの3年連続MVPはとんでもない偉業ですけど、8年連続MVP投票3位内もとんでもないです。※画像クリックで拡大

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