【NBA】10種類以上のディフェンス指標から評価するNBA2024の名ディフェンダーたち。各選手各分野の得意不得意と好奇心を刺激する違和感と色々。
いつぞやの記事で「ディフェンス評価は『○○は良いディフェンダー』とか『平均的なリムプロテクター』とか『悪いペリメーター・POAディフェンダー』とかで評価が曖昧になりがち。長所短所を細かく解説してくれる記事は比較的少ないです」と書きました。
本記事ではBBall Indexからいくつか細かなディフェンス指標を引っ張り出して紹介。
以下全て2023レギュラーシーズン、1000分以上出場選手対象。各指標について詳しく知りたい方はこちらリンク先へどうぞ
Pickpocket Rating(75ポゼッションあたりでのオンボール相手のスティール)とBall Screen Navigation(ボールスクリーンに対する対処力)の散布図
Passing Lane defense(75ポゼッションあたりでのインターセプトとデフレクション数)とOff-Ball Chaser Defense(オフボールで動き回る選手についていく能力)
とりあえず大正義アレックス・カルーソ先生。
上記4つの指標は主にペリメーター・POA(オフェンスの起点)ディフェンダーが目立つ指標ですけど、マルチポジションなビッグマンのラリー・ナンスJrもパッシングレーンディフェンスとピックポケットで素晴らしい数字を残しております。
ペリメーター・POAディフェンスとなると「抜かれない事」「アウトサイドシュートを打たせない事(ブロック・ショットコンテストとは別に)」も大事になってきますけど、それらを直接数字として表す事は現状できないんですよね。抜かせずシュートの試みすらさせない見事なロックダウンディフェンスをスタッツ上でカウントすることが出来ないってのは勿体ない、というか何というか。
次。
Screener Mobile Defense(P&Rなどでスクリーナーのディフェンスを務め、そこからハンドラーにヘッジやトラップを仕掛けるカバレッジの上手さ)とScreener Rim Defense(ドロップなどリムを守るカバレッジの上手さ)
全てのカバレッジで高評価な選手ってのは意外にもいませんね。
バランスが良いとなるとジョエル・エンビードとルディ・ゴベアになります。
カバレッジの選択はコーチの指示や相手次第な部分も大きいでしょうから、そういった部分含め「いつ何時にどのカバレッジを採用しているか」には今後も要注目です。
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Rim dFG% vs Expected%(リム近辺において予測されるFG%と比べ、どの程度相手FG%を抑えているか)とRim Deterrnce%(相手のリムへのアタック頻度にどの程度影響を与えているか)
ヤニス・アデトクンボの相手リムFG%を低くさせる能力は印象通りですけど、リムへのアタック頻度抑止力では然程なのが意外です。そのストライドの長さでもって見えないところからヘルプに飛んでくるもんだから、相手は「今ならイケるやろ」って思っちゃうんですかね。
右下にいるデボンテ・グラハムが気になりますけど、引用元のBBall Indexは「ビッグ、ウィング以外のこの指標は気にせんでええ」言ってますので私も見て見ぬ振りします。(恐らくノイズも出やすいんだと思います)
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Rim Points Saves/75(75ポゼッションあたりでのリム近辺で防いだ得点数)とRim Protection(総合的なリムプロテクト評価)
リムプロテクトって言うとどうしてもビッグマンへ注目が集まりますけど、ペリメーター・POAで貧弱なディフェンスをすればリムへとスムーズに侵入される事が増えるわけですから、個人的にはリムプロテクトの功罪を一人のビッグマンに帰結させるのはあまり好きじゃないです。
まぁリムプロテクトへの影響力が強いのは間違いなくビッグマンですけど、「今のレイアップをビッグマンのせいにするのは酷だ」ってシーンもよく見ます故。
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Defensive Rebounding Talent(ポジショニングやトラッキングデータ等も用いたディフェンシブリバウンド評価)とLoose Ball Rec Rate(ルースボールの回収率)
ディフェンシブリバウンドやルーズボールのリカバリーって相手のシュート機会を増減する大事なプレイだと思うんですけど、何故かディフェンス評価の話題ではあまり聞かないですね。
ハイライトプレイとして扱われる事はほぼないので、そこら辺も影響してるんでしょうか。ディフェンシブリバウンド・ルーズボールにフォーカスした記事や動画作ってもウケはよくなさそうですし。
これはカッコいいですけど↓。
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Post Defense(ポストでの1on1ディフェンス)とPerimeter Isolation defense(ペリメーターでのアイソレーションディフェンス)
ビッグマン同士によるポストでの1on1の攻防は少なくなった印象ですけど、その少ない例の中にはニコラ・ヨキッチだったりジョエル・エンビードだったりと超強力なオフェンスオプションがいて、優勝を目指すとなると無視も出来ないので各チーム困ってそうです。
来季2024ヨキッチへの各チームの守り方とか非常に楽しみです。フォワードを当ててビッグマン/センターにはローミング(リム付近でウロウロ)させる守り方は来季も見られるんでしょうかね?
Perimeter Isolation defenseではウルブズのジェイデン・マクダニエルズが随一の高評価。昨季は「壁パンチして骨折」という残念過ぎる形でシーズン終了になりましたけど、ジェイデン・マクダニエルズ含め来季ウルブズって何気に飛躍の材料揃ってますよね。アンソニー・エドワーズへの期待は勿論、昨季はあまり共演できなかったゴベアとKATらのゲル化など“伸びしろ”を感じます。
最後。
LEBRON(BBall Index考案の影響指標)とD-LEBRON(ディフェンス面だけにフォーカスした影響指標)
上記全ての指標含め、あくまでBBall Indexの指標上での評価ですがビッグマン達の姿が非常に目立ちます。ビッグマンがディフェンスで大きな影響力を示すのは今も昔も変わりませんが、一時の「ビッグマン冬の時代」を通り過ぎてオフェンスでもスキルフルなビッグマンが本当に増えましたね。
チェット・ホルムグレン、ビクター・ウェンバンヤマと期待大なニューカマーもいます。
アルペラン・シェングンもいます。
以上。
各々違和感だったり「この評価はおかしい」って点はあるかと思います。
かくいう私もヤニスのリムプロテクト関連、D-LEBRONがそこまで高くない事には疑問、と言うより好奇心を刺激されております。
チームメイトに各ディフェンス指標で高評価なブルック・ロペスやドリュー・ホリデーがいる事でヤニスの影響が数値上では低く示されちゃうって感じですかね。ドリュー・ホリデー加入前の2020シーズン以前はヤニスのD-LEBRONは高かったですし・・・うーん、なんででしょう。
2014~2023のD-LEBRONランキング。
なにはともあれ
今季2024バックスにはドリュー・ホリデーがいません。ヤニス&ブルック・ロペスのディフェンスに更に大注目するとしましょう。
ロビンもね。
今回はこの辺で。ではまた。
おまけ。
毎年の事なんですけど、チームディフェンスが良いチームやDefRtgが良いチームってのは必ずしもディフェンス指標の良い選手が沢山いるチームってんじゃあないんですよね。昨季のキャバリアーズはその典型です。エバン・モブリーは指標上でも高評価ですけど、他はそこまで特出した選手はいないです。
2023レギュラーシーズンDefRtgランキング。 Cleaning The Glass準拠。
やっぱディフェンスはトータルワーク・共同作業って事ですかね。プレイオフではまた変わってきますし、連携・コミュニケーション・対応力も問われるでしょうし、やっぱりまだまだ数値化の難しい部分が沢山です。
2023プレイオフDefRtgランキング。