【NBA】優勝チームのセオリーと掟破りと史上最大の逆転劇ランキングとここ20年の各賞各スタッツリーダー一覧他
「優勝へのセオリー」「優勝チームの条件」的なモノってよく語られますよね。逆に「○○なチームは優勝できない」みたいなモノもあります。
「んな単純なモンちゃうやろ」とは思いつつ、聞いていて面白い言説も沢山あります。
本記事では過去20年の優勝チームを眺めながらテキトーに「優勝チームのセオリー」を探してみましょう。(過去記事からの流用も多いので既視感を感じるかもしれません)
まずは2004~2023の優勝チーム/MVP/ROTY/各種スタッツリーダー一覧。
「MVPがいるチームは強い」ってのは当たり前です。ただMVP受賞者がそのシーズンに優勝したのは2015ステフィン・カリーが最後です。ここ20年でも2015ステフ以外は2012・2013のレブロン・ジェームズだけ。
MVP受賞はその年の優勝への好材料にはならない・・・・かもしれません。
が、過去20年でMVP受賞経験者を擁せずに優勝したチームは2004ピストンズと2019ラプターズのみ。過去20年に限らず「MVP受賞経験者なしで優勝したチーム」はレアケースです。1980年以降ですと他に1989・1990ピストンズと1981セルティックスくらいですね。2019ラプターズもシーズンMVPこそいませんでしたが2014ファイナルMVP受賞カワイ・レナードがいました。
やっぱりMVPってのは優勝チームにとって限りなく必須に近い・・・・・・かもしれません。
それにしてもピストンズの3度の優勝は異質も異質です。少なくとも1981セルティックスと2019ラプターズにはラリー・バードとカワイ・レナードというMVP投票ファイナリスト(3位内)経験者はいました。(バードがMVPを受賞したのは後の1984~1986)
1989・1990ピストンズにはレジェンドPGアイザイア・トーマスがいましたけどMVP投票では1984の5位が最高位、2004ピストンズはベン・ウォレスの7位が最高位。両レジェンドには失礼な言い方になりますが、ピストンズは「絶対的スーパースターが不在で優勝した稀有なチーム」と言えます。
そしてピストンズにはその絶対的スーパースター不在の穴を補って余りある強みがありました。
はい。ディフェンスですね。特に2004ピストンズは歴代優勝チーム中ワースト5位のOffRtgを記録、2004当時リーグ内でも19位とオフェンスは平均以下でした。
歴代優勝チームを対象にしたレギュラーシーズンOffRtgワーストランキング。以下全て2024/3/18時点。
しかし、DefRtgは歴代優勝チーム中ベスト3位。2004当時リーグ内2位。
歴代優勝チームを対象にしたレギュラーシーズンDefRtgベストランキング。
数字で語るより「コイツ↓が守ってたから」って言った方が早いですね。
1989・1990ピストンズにもジョー・デュマース、デニス・ロッドマン、リック・マホーンらがいて、2019ラプターズにもカワイ・レナード、マルク・ガソルらがいました。つまりディフェンシブなチームで、いずれもDPOY受賞経験者を擁していました。(デニス・ロッドマンは1990が初受賞ですけども)
つまり
MVPがいない場合はDPOY受賞経験者が必須・・・・・かもしれません。
ここで現時点でのMVP受賞経験者たちの在籍状況を見てみましょう。
ウェストではレイカーズにレブロン・ジェームズ、ウォリアーズにステフィン・カリー、ナゲッツにニコラ・ヨキッチ、サンズにケビン・デュラント、クリッパーズにラッセル・ウェストブルックとジェームズ・ハーデン、グリズリーズにデリック・ローズ。
イーストではシクサーズにジョエル・エンビード、バックスにヤニス・アデトクンボ。
計8チーム。
続いてDPOY受賞経験者たちの在籍状況を見てみましょう。
ウェストではグリスリーズにジェイレン・ジャクソンJrとマーカス・スマート、ウルブズにルディ・ゴベア、クリッパーズにカワイ・レナード、ウォリアーズにドレイモンド・グリーン。
イーストではバックスにヤニス・アデトクンボ。
計5チーム。
MVPとDPOY経験者が両方在籍するのはクリッパーズ、バックス、ウォリアーズ、グリズリーズの4チーム。彼らは優勝の最有力候補です、おめでとうございます・・・・・・・はい、ごめんなさい。いや彼らが優勝候補じゃないと言ってるわけでもないんですけど。
気を取り直しまして
毎年プレイオフが近づくとプレイオフを占う記事・話題が増え、私も色々調べながら楽しんでいます。ただ当ブログでも何度か言及しましたが、近年は各チームのレギュラーシーズンへのアプローチが変化して、以前と比べレギュラーシーズン中のデータの信用性が薄くなってきています。中心選手の欠場は増え、3Pが増えた事でバラツキも増え、ビッグネームのシーズン中トレードやタンキングも増えて、平均データがアテにしづらくなったんです。
近年の急激な変化は過去サンプルデータの信用性も薄くしました。
その一例がこちら↓。
上記画像はESPNが公開しているWin Probability。過去の膨大なサンプルデータに基づいて、その試合どちらがどの程度の確率で勝利するかを導き出したもの。上記画像では第4Q開始直後の時点でレイカーズに21点差をつけたクリッパーズが99.5%の確率で勝つとしています。
それが10分も経たない内にこうです↓。
この試合だけではありません。
過去と今では違い過ぎて、過去何十年分のサンプルデータに基づいた確率は額面通りには受け取れなくなっております。
だからと言って「過去のデータは全くアテにならない」かと言えばそうではなく、「過去のサンプルデータに対しては、より多角的かつ慎重な見方が必要になった」と言うべきだと思います。アイテストの重要性も増したと言えるでしょう。
今までのセオリーを破るような選手が度々現れるのがNBAです。「NBAはコピーキャット(真似っこ)リーグ」とも言われますが、今まで他チームのセオリーを100%なぞって優勝したチームはありません。どのチームにも必ず何らかのブレイクスルーが存在します。
今季ウェスト上位に長く留まりながら、「プレイオフ経験が少ない」「若すぎる」という理由で軽んじられるOKCに「新たな前例破り」の匂いもプンプン感じる今日この頃。
今回はこの辺で。ではまた。
おまけ。
レギュラーシーズン史上最大点差の逆転劇は1996/11/27のナゲッツ対ジャズ戦で36点ビハインドからジャズが勝利。
プレイオフ史上では2019/4/15のクリッパーズ対ウォリアーズ戦で31点ビハインドからクリッパーズが勝利。
レギュラーシーズンでの逆転記録一覧。
プレイオフでの逆転記録一覧。
最後に
本記事はESPNの“20 is the old 12′: Why no lead is safe in the NBA anymore”「20点差は昔の12点差:最早安全なリードがない理由」に大いに触発されております。面白い記事ですので是非リンク先へどうぞ