NBA2023プレイオフのMVPたち。試合前に用具係と卓球をする選手と帰ってきた相棒たちとトランプマンと。/ジミー・バトラー、マイアミ・ヒート、デンバー・ナゲッツ、ヨキッチ、セルティックス、バックス、ブッカー、ジャマール・マレー

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NBA2023プレイオフのMVPたち。試合前に用具係と卓球をする選手と帰ってきた相棒たちとトランプマンと。/ジミー・バトラー、マイアミ・ヒート、デンバー・ナゲッツ、ヨキッチ、セルティックス、バックス、ブッカー、ジャマール・マレー

2023/5/23、ナゲッツのファイナル進出を受けてニコラ・ヨキッチがウェスタン・カンファレンスファイナルMVPを受賞しました。

その受賞インタビューでヨキッチは、それがフランチャイズ全体の功績であることを強調した後、まずスパーキー・ゴンザレスさんへの感謝を述べました。

受賞セレモニーへのリンク。

スパーキーさんはナゲッツの用具マネージャーを務めている方です。

100%万全なパフォーマンスが求められるプロスポーツ業界において用具マネージャーは大事な存在ですから、感謝の意を表明すること自体は何もおかしくありません。

しかし、普通はオーナーやチームメイトよりも先に名を挙げたりはしません。

インタビューの時間は有限なので、普通ならやむにやまれず省くような人物に対してこそ強調して感謝を示すのは、また違った意味でヨキッチの視野の広さを表しているようで大変面白かったです。

・・・・・

・・・・・・・とイイ話風に終わらせたいところですが、実はスパーキーさん、単なる用具マネージャーじゃないんです。

ヨキッチの試合前ルーティンワークの一部を担ってもいるんです。

試合前ウォームアップに卓球をする二人。
遊んでいるだけに見えますが・・・・多分遊んでるだけです。
ヨキッチの試合前ルーティンワークへのリンク。

上記の動画は4年前のものですから、今と同じかはわかりません。

ただ、昨季2022までチームメイトだったファクンド・カンパッソ(以下ファク)は最新(2023/5/21付け)のインタビューでもヨキッチのコンディショニングに驚嘆し称賛しています。

彼が今やっている事を維持し続けるのは非常に難しい事だ。私にはそれがどれだけ難しいかがわかる。

全ての試合の後、彼はジムにいた。全ての試合の後だ。30分出場しようが38分だろうが、夜の9時だろうが10時だろうが関係ない。

彼は一番最初に練習に来て、一番最後に帰る男だったよ。

それは“運”とかそういった種類のモノじゃないんだ。

元記事へのリンク

同インタビュー中でのファクの言う通り、ヨキッチはよくインタビューで冗談を言ったり、自ら道化を演じます。特に身体能力や体型や食生活についての冗談はヨキッチ本人以外からもよく見聞きします。毎日3Lのコーラや腕立て伏せが出来なかった話が有名でしょうか?

ただ、NBAにドラフトされて以降のヨキッチのコンディショニングは極めてプロ意識の高いものだったと思います。ヨキッチ本人が自身については掴み所がない受け答えをするので、私も「ヨキッチの事を理解している」とは決して言えませんが、実際にヨキッチへのコーチング・トレーニング・コンディショニングを担当してきた人物の話を聞くと、彼らは揃ってヨキッチの努力や意識の高さを称賛しています。

ドラフト指名後ヨキッチのフィジカルトレーニングを受け持ったトレーニング機関P3の証言。4週間のトレーニング中「コートに戻りたいか」を聞かれて「いや、スキルは良いから」と答えたヨキッチ。
2022年ストレングス&コンディショニングコーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞したナゲッツのフェリペ・アイヘンバーガーさん(左)。

ナゲッツのコンディショニングコーチ、フェリペ・アイヘンバーガーさんはヨキッチについて

私が今まで見てきた中で最も信じられない事でした。彼は必ず最後までやり遂げます。

私が「より長くプレイするために体重を少し落とそう」と告げた時、常にボールを手にし32分間出場した試合の後でもトレーニングやスプリントを怠らなかった。

私が「これが計画だ」と言うと、彼は責任をもってそれに従います。彼は最も安定してウォームアップとワークアウトを行う男なんです。

と述べ、

コンディショニングとは別の話ですがMVPについて

私とニコラが最も熱く語り合ったのは2019年の事でした。

私は彼に「お前はMVPになれる」と言いました。彼は「いいや、僕はそうじゃない」と言います。私は「いや、なれる」と繰り返しました。

繰り返す内に彼は「それは僕じゃない、僕は他のプレイヤーを良くしたいんだ。MVPはセルフィッシュになって数字を気にしなきゃいけない。僕はそんな事考えていない」と怒りました。

私は「お前が何を言おうとどう考えようと関係ない。お前はいつかMVPになるんだ」と言い続け、彼の努力のおかげでそれは起こりました。

とも述べています。

MVPに対する考え方やプレイへのモチベーションは人それぞれで、どれが正解と決められるものではありません。必ずしも「謙虚である事がMVPやエリートプレイ―ヤーである事の秘訣」とは言えません。現在何かと厳しい声に晒されているジョエル・エンビードの様にMVPや数字にこだわる事が良いパフォーマンスに繋がる事だって沢山あります。

ただ、少なくとも「選手とコーチングスタッフの信頼関係の大切さ」が表れた良いインタビューだと思います。「良いコンディショニングとは単に体重の増減じゃない」って事も窺えます。元記事へのリンク

今季のクラッチプレイヤー・オブ・ザ・イヤーですとか、来季からはAll-NBAのポジション枠が撤廃され65試合出場の条件が追加されたりですとか、「種類が増えたり手が加えられたりで賞の威厳や有難味が薄れる」って声はあるんですけど、個人的には「様々な選手やNBAの新たな魅力の発見に繋がって良いんじゃないかな」と能天気に考えております。

アワード受賞にかこつけて無理矢理好きな選手の好きなエピソード語ったりもできますしね。本記事の様に。

今回はこの辺で。ではまた。

おまけ。

カンファレンスファイナルMVP決めるんだったら1st RoundのMVPも決めたったらエエねん。ということで1st roundで目立った選手やらスタッツやらをテキトーに見てみましょう。

NBA2023イースタン・カンファレンス一回戦でのPPGランキング。※画像クリックで拡大

はい。というわけでNBA2023イースタン・カンファレンス一回戦のMVPはジミー・バトラーです。

こんなん一択です。

「第8シードが第1シードを破った」ってドデカいインパクトを抜きにしてもFG59.7%、3P44.4%、FT70.8%の37.6PPG(エリートディフェンス付き)は満場一致でしょう。個々の思い入れを抜きに決めるとすれば。

私の思い入れを込めるとすると・・・・・それでもジミーですけど・・・・言及したいのはバックスのブルック・ロペス。

一回戦でのバックス選手のスタッツ一覧。

負けちゃいましたけど、ヤニスの不在や他のバックス選手たちが安定性に欠く中で、攻守でハッスルし続けていたと思います。私は怪我からの復帰選手にどうしても思い入れが偏ってしまうので、冷静な評価を下せている自信はありませんけど、兎に角よくやってくれていたと思います。

当ブログでこの写真を載せるのは10度目くらいですが、私はこの写真がそれだけ好きなんです。

続きまして

NBA2023ウエスタン・カンファレンス一回戦でのPPGランキング。※画像クリックで拡大

うーん、デビン・ブッカーかステフィン・カリーですかね。どっちにしましょう?

ブッカーのゲームログと平均スタッツ。

2度の40得点超え、全5試合40分以上出場で効率も超優秀。

ステフのゲームログと平均スタッツ。

当時史上最多の第7戦で50得点。
得点量効率ともにブッカーに劣りますが、オフボールでの運動量とチャンスメイクはブッカーに勝ります。

うーん・・・・・・ブッカーで。

というわけでNBA2023ウェスタン・カンファレンス一回戦のMVPはデビン・ブッカーです。

ウォリアーズ対キングスの第7戦までもつれこんだ激闘、ステフ50得点のインパクトは非常に楽しくて刺激的でしたけど、「勝利・優勝への貢献」って観点では圧倒的得点量と効率で5試合での一回戦突破に尽力したブッカーに軍配が上がるかなと。

ちなみに記事タイトルのトランプマンはジミーとブッカーの事です。二人ともGQチャンネルの“10 Things Can’t Live Without”「コレなしでは生きられない10の事」にトランプ・プレイングカードを上げています。NBAにおいて、移動時間やホテルでの暇潰しに定番のアイテムらしいです。最近はTVゲームもですかね。

動画へのリンク。
動画へのリンク

「思い入れ枠はナゲッツのジャマール・マレー

タッチが不調だったり遮二無二な試合もありましたけど、3年ぶりのプレイオフでヨキッチから「僕らのベストプレイヤー」との言葉を引き出した復活ぶりは特筆に値します(言ったのは2回戦の第1試合後)。

シチュエーションがよくわからなくて好き。

カンファレンスセミファイナルのMVPはまた別の機会にでも。ではまた。

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