【NBA】名プレイメイカーたちとクリス・ポールのオンコート&オンオフスタッツを見比べて考えるプレイメイキング評価。アシストPtsランキングとハイバリューアシストランキング。/ウォリアーズ、クリッパーズ、マーベリックス、レイカーズ、ナゲッツ、ペイサーズ

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【NBA】名プレイメイカーたちとクリス・ポールのオンコート&オンオフスタッツを見比べて考えるプレイメイキング評価。アシストPtsランキングとハイバリューアシストランキング。

本日2024/2/28、クリス・ポール(以下CP3)が怪我から復帰するとの事で。

CP3は“ポイントゴッド”とも呼ばれる名ポインドガード・名プレイメイカーです。私にとってCP3が偉大な理由はAPGやAST:TOの高さも理由の一部ではありますが、他にも多数の理由があります。

歴代キャリアAPGランキング。1試合平均TOV数併記。以下全て2024/2/27時点。

プレイメイキングやプレイメイカーといった単語はよく聞かれますが、その意味は曖昧で人によってブレがあります。ただ、多くの方がプレイメイキング能力を評価する際にAPGやAST:TOなどアシスト数を用います。勿論私も考慮します。

しかし、私が敢えてCP3の印象深い点を選ぶとしたら、それはデシジョンメイキング・プレイの選択が優れている点です。

自身やチームの得意なプレイを高頻度に繰り返して得点やアシストを重ねる事も勿論素晴らしいです。ただ、CP3は必ずしもそうではありません。相手ディフェンスを見て、適切に自チームのプレイを選択する事、ミスマッチを見逃さない事、攻守において声高に指示する事で良質なプレイメイキングを提供していました。

「君達はコート上で静か過ぎる」と若いガードたちにコート上でのコミュニケーションの大事さを説くCP3。動画へのリンク。

私にとって優れたプレイメイカーとは文字通り「良いプレイを作れる選手」の事です。私にとっては必ずしも「優れたプレイメイカー=アシストの多い選手」ではないですし、スコアラー兼プレイメイカーだったり、オフボールムーブによるプレイメイキングもあったりで、非常に広い意味で用いています。

ポストアップしたビッグマンに適切なエントリーパスを出しても、ほぼアシストにはカウントされません。適切なアウトレットパスを出してファストブレイクやトランジッションオフェンスを生んでも、それは必ずしもアシストにはカウントされません。フリースローを生んだパスもアシストにはカウントされません。エクストラパスを生んだパスもアシストにはカウントされません。CP3はそういった公式スタッツ上ではアシストにカウントされない好アシストも多かったんです。

ただ、スタッツ上アシストとしてカウントされない好アシストの多さは数値化が難しいです。パス関連・アシスト関連のスタッツも日に日に増えてはいるんですけど、プレイメイキングとはまた少し違います。以下ほんの一例。

2014~2024、Assist Pts/75(75ポゼッションあたりでのアシストでクリエイトした得点数)ランキング。1000分以上出場選手対象。

2014~2024、HV Assist/75(75ポゼッションあたりでのリム・3P・FTショットを生んだアシスト数)ランキング。

色々あるんですけども、アウトレットパス、エントリーパス、リードパス等々、細分化してパスの上手さを数値化するのは現状難しいです。これがシュートとなると、NBAが各シュートタイプ毎に計測してくれているんで幾分かは容易になります。こんな感じで↓。

2013CP3のショットタイプディテール。

そんなわけで、プレイメイキングについて語ろうと思うと、どうしてもアシスト数に頼るか抽象的な表現が多くなりがちです。

ただ個人的に「CP3がポイントゴッドたる所以を表している」と思う事に「非常に高く一貫したオンコートOffRtgとオン/オフOffRtg」(※)というのがあります。

※:オンコートOffRtgは、その選手がコートにいる時のチームOffRtg。オン/オフOffRtgは、その選手がコートにいる時といない時のOffRtgの差。

オンコートスタッツやオン/オフスタッツはチームメイトやローテーションにも左右されますので、他あらゆるスタッツと同じく、そのまま選手の優劣を計る物差しとはなりませんが、中心となっている選手やプレイメイキングを任されている選手(質の高いオフェンスを指揮する事が求められている選手)を評価するのにはそれなりに有用な物差しだと思います。あくまで“数ある物差しの一つ”ですけどね。

CP3のこれまでのオンコート&オン/オフNetRtgとOffRtg。DiffがNetRtgを表し、右端Pts/PossがOffRtg。背景色付きの数字はパーセンタイル評価(1から100の評価)。

近年は流石に下降傾向にありますが、これだけの期間で一貫して高い数値を記録したプレイメイカーはほんの一握りです。レブロン・ジェームズ、ステフィン・カリー、最近ですとニコラ・ヨキッチくらいなもんです。CP3とレブロンはチームを変えても、ステフとヨキッチは主力に怪我人が続出したシーズンでも高い数値を残しております。

レブロンのこれまでのオンコート&オン/オフNetRtgとOffRtg。(21年分あるんでめっちゃ長いです)

ステフのこれまでのオンコート&オン/オフNetRtgとOffRtg。

ヨキッチのこれまでのオンコート&オン/オフNetRtgとOffRtg。

勿論ルカ・ドンチッチやタイリース・ハリバートン、これから楽しみな選手なら沢山います。

ドンチッチのこれまでのオンコート&オン/オフNetRtgとOffRtg。

レブロンらの後ですと控えめに見えちゃいますが、若い内から大黒柱を務めこれだけの数値を残すのは非常に稀です。

ハリバートンのこれまでのオンコート&オン/オフNetRtgとOffRtg。

これで見ても、やっぱりキングスとペイサーズのトレードはwin-winだったと思います。ドマスもキングスで以下の感じですし。

ドマンタス・サボニスのこれまでのオンコート&オン/オフNetRtgとOffRtg。

トレイ・ヤングのこれまでのオンコート&オン/オフNetRtgとOffRtg。

今季は随分と数値が落ちましたが、デジャンテ・マレーら新しいラインアップとのケミストリー構築はまだまだ発展途上って事にしておきましょう。

CP3の末長い活躍と健康を願いつつ

https://twitter.com/MmKxng/status/1293666150287630342
NBA史に残る名フェイク(スマイル)。

今回はこの辺で。ではまた。

おまけ。

本記事ではプレイメイカーにカテゴライズできそうな選手のオンコート&オン/オフOffRtgを紹介しましたが、所謂プレイメイカー以外にも一貫して高いオンコート&オン/オフOffRtgを記録している選手は当然います。

ケビン・デュラント。

カワイ・レナード。

ヤニス・アデトクンボ。

ジョエル・エンビード。

追記:デイミアン・リラードを忘れてました。超素晴らしいです。リラードのオンコート&オン/オフNetRtgとOffRtgへのリンク

んで、ここまで色々な選手のオンコート&オン/オフNetRtgとOffRtgを引用しましたけど、ベテランにはちょっと気になる共通点があります。やっぱりキャリア後期になるにつれオンコート&オン/オフスタッツは落ちる傾向にあるんですよね。Per Gameスタッツは健在でも。

まぁ、だからと言ってソレが「選手としての衰えを表している」かはわかりません。中心選手が高齢になるとチームメイトも高齢になる傾向がありますし、理由はいつだって複合的なモノでしょう。

しつこいですけど、

あらゆるスタッツ/指標はコンテキストが大事で、多角的に用いることが求められます

です。

さらに上記は全てレギュラーシーズンでの数字で、プレイオフはまた別のお話です。

・・・・・・どーしても突っ込んだ話をしようと思うと冗長になっちゃうのは私の悪い癖です。ごめんなさい。

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