【NBA】「チームよりも大きな選手はいない」「囚人のジレンマ」etc.セルフィッシュなプレイが生まれる理由とGOATに勝ち越すアンセルフィッシュな選手。/レブロン、マイケル・ジョーダン、コービー、レイカーズ、スパーズ、ナゲッツ

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【NBA】「チームよりも大きな選手はいない」「囚人のジレンマ」etc.セルフィッシュなプレイが生まれる理由とGOATに勝ち越すアンセルフィッシュな選手。

No one is bigger than the team.

チームよりも大きな選手はいない。

こういった「個」よりも「チーム」の重要性を説く言葉はグレッグ・ポポビッチ(以下ポップ)やヒュービー・ブラウンら名指導者の口から度々発せられます。

解説としても御馴染みですね。2023年御年89歳未だ現役、老いて益々盛んです。

日本の某監督も似たような事を言っておりました。

チームスポーツではこういった概念は勝利のために非常に重要です。道徳的・倫理的な意味でなく、戦略・戦術的に大事な概念です。コンセンサス(チーム全体での総意や考え方の共有)がとれていないとシーズンプラン・ゲームプラン・各種スキームが上手く実行できません。自分勝手に一人で大量得点出来ても、一人で相手チームの得点は上回れませんし、スクリーンアクションなど連携の求められるオフェンスやそれに対するディフェンスが上手く実行できなければ勝利は困難になります。

近年のピック&ロール割合推移。シンプルなピック&ロール以外にもスペインピックやスタッガースクリーン等々、そこからの派生も多種多様で、自ずとその対応にも連携・チームワークが求められます。

No one is bigger than the team.

チームよりも大きな選手はいない。

チームワークは大事。全くその通り。

・・・・・・・と言うのは簡単。

しかし「言うはやすし、行うはきよし」です。

ごめんなさい。正しくは「言うは易し行うは難し」です。

何故難しいのか。誰しもが当たり前に言ってる事なのに。チーム全体で協力し合う事が勝利への近道で、チームの勝利が個にとっての成功にも繋がるのに。

その理由の一つに“Prisoner’s dilemma”「囚人のジレンマ」があります。

「囚人のジレンマ」とは簡単に言うと「協力し合えば全員が利益を得られる状況でも、一人だけが出し抜ける状況では破綻しやすい」という概念です。

https://hodai.globis.co.jp/courses/0ade87e4/

詳しく正確に知りたい方にはwikiでも見てもらうとして、ここではNBAバスケになぞらえて説明してみましょう。

ポップらが言うように、「NBAで優勝したい、勝利したい」ならチーム全員で協力し合うのがベストのやり方です。優勝・勝利すればチーム全員に利益が生まれます。

しかし、ここで問題があります。必ずしもチーム全員がそう思っているとは限らないし、他人の本音はそう簡単にはわかりません。

「優勝も大事だけどスターになりたい」「憧れの選手の様になりたい」「自分の凄さを証明したい」「このチームでは優勝出来そうにないから試合で自分の活躍・得意スキルのアピールを優先して高額契約や他チームからの勧誘に期待しよう」「出来るだけお金を稼いで家族・恩人・コミュニティに報いたい」等々セルフィッシュなプレイに走る理由はいくらでもあります。人として責められない理由である事も多いです。

そしてアンセルフィッシュなプレイは必ずしも報われるとは限りません。

「スタッツには表れづらい縁の下の力持ち」や「アンセルフィッシュで優秀なロールプレイヤー」は多くいますが、基本的に評価される・高額な契約を手にするのは優勝or強豪チームの「縁の下の力持ち」ばかりで、それ以外のチームの「縁の下の力持ち」が評価される事は稀です。

ブルース・ブラウンは元々ネッツでも優秀なロールプレイヤーでしたがナゲッツで優勝に貢献した事で6.5M→22Mの高額契約を手にしました(ナゲッツで成長した部分も勿論あります)。しかし昨季2023最下位だったピストンズ、スパーズ、ロケッツのようなチームで「縁の下の力持ち」「アンセルフィッシュ」でいても評価はされづらいし高額契約も手にしづらくなります。

以下The AthleticがNBRPA(NBA引退選手会)と協力して行ったアンケートより

Q:もし現在のNBAでプレイできるとしたら自分の時代と何を変えますか?

匿名選手A:複雑な答えだが、もっとセルフィッシュにプレイする。

チームのコンセプトの中でセルフィッシュにプレイする方法はある。

NBAの大体において、セルフレスになる事は多額の報酬には繋がらない。

偉大なディフェンダーたちでさえ、ある程度セルフィッシュにプレイしている。

 元記事へのリンク

仮にセルフィッシュな考え方の選手がいても、それは他人からはわかりづらいし、わかっていても責められない事もある。そうなってくると綻びは連鎖しやすくなります。誰だって貧乏くじは引きたくありません。セルフィッシュに見える選手がいると、「なら俺だって」と思う選手は増えてしまいます。本音はわからずとも。

ボールを長く持つ選手やシュートを多く打つ選手はセルフィッシュに見られがちですが、「何がセルフィッシュで何がアンセルフィッシュなのか」はチームや局面によっても変わってきますから、これまた複雑で難しい問題です。

コミュニケーションやリーダシップが重要な一因でもあります。「このチームなら協力し合えば優勝できる」と信じさせる事、「疑心暗鬼」「囚人のジレンマ」に陥らせない事、各々の役割を明確にする事はアンセルフィッシュなチーム作りの助けとなります。

特定の選手の「セルフィッシュさ」を上手く戦術に組み込めることもありますし、「アンセルフィッシュさ」が積極性を奪う事もあります。

ジャマール・マレーやマイケル・ポーターJrのいなかった2022ナゲッツにとってボーンズ・ハイランドのスコアリング・積極性・競争心はチームにとって非常に有益でしたが、残念ながら2023にはそうとはならず、トレードに出される事になりました。

「セルフィッシュ」と「アグレッシブである事」の境界線はどこなのか、「少しでも多くチームを助けたい」との思いから大きな役割を求める選手は「セルフィッシュ」なのか。

うーん、難しい。

やっぱり「言うは易し、行うはチャウンシー」です。

MJ、レブロン、コービーに勝ち越しているチャウンシー・ビラップス。

「囚人のジレンマ」って言葉の厨二病的な響きが好きなだけで見切り発車で書き始めたので、結論もまとまりもない記事になってしまいましたが

今回はこの辺で。ではまた。

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