【NBA】OffRtgランキングと偉大な選手たちのオンコート&オンオフスタッツとアイソレーション他各プレイタイプ頻度から考えるNBA2024への期待。
本日2023/10/26は開幕2日目で12試合も組まれております。試合を観るだけで時間が一杯一杯なので本記事は昨日書き溜めしておいたものです。「開幕1試合目くらいは全チームの試合解説をするべきかな」とも思いましたが、↓に免じて御容赦下され。
というわけで、まずはシンプルに昨季のOffRtgランキングでも見てみましょう。
2023レギュラーシーズンOffRtgランキング。Cleaning The Glass準拠(ガベージタイムを省いた数値を載せています)
昨季OffRtgで1位のキングスは今季もスターターを維持し、ハリソン・バーンズを除けばまだ20歳台、伸びしろも充分見込める年齢です。ハリソン・バーンズだって昨季は82試合全てでスターター出場とまだまだ健在。ベンチからのスパークプラグ、マリーク・モンクもいますし昨季以上のサプライズ・成長を期待してもおかしくありません。
サプライズという意味では昨季OffRtg2位のニックスも負けていませんでしたね。2021シーズンでのサプライズは手堅く規律の整ったディフェンスによるものだった印象でしたが、昨季2023は真逆とも言える数字です。(2021OffRtgリーグ24位DefRtg4位、2023OffRtg2位DefRtg19位)
若き才能に溢れているのもキングスと同じです。
しかしオフェンススタイルは似ても似つかない両チームがOffRtg1位と2位だったのは面白いですね。
超ざっくり言うとキングスはドマンタス・サボニスをハブにしたりDHO(ドリブルハンドオフ)やトランジッションオフェンスが多いですが、ニックスはアイソレーションからの展開やスポットアップが多いです。
昨季のハンドオフ頻度ランキング
トランジッションオフェンス頻度ランキング
アイソレーション頻度ランキング
スポットアップ頻度ランキング
ニックスも昨季スターターをほぼ維持してますし、「強敵」と認知され手の内もある程度は知られるようになった両チームが、今季はどんなサプライズとエキサイティングなオフェンスとディフェンスの改善を見せてくれるか期待しましょう。
昨季OffRtg5位で「プレイオフでの対応力やタフショットメイキングを含めれば現NBAでNo.1かつ史上屈指のオフェンス力」と個人的に超高評価を与えているナゲッツもスターターを維持し、昨日の開幕戦では盤石ぶりを見せつけてくれました。
チームの功績を選手一人に集約させるような書き方で恐縮ですが、ヨキッチ個人のスコアリングアビリティと周りを活かす能力の合わせ技は正に偉大な選手のソレです。
ヨキッチのオンコートOffRtg(コートにいる間のチームOffRtg)とオン/オフOffRtg(コートにいる時といない時のチームOffRtg差)
ステフィン・カリーのオンコートOffRtgとオン/オフOffRtg。
レブロン・ジェームズのオンコートOffRtgとオン/オフOffRtg。(キャリアと全盛期が長すぎるので特にヤバい期間を抽出して掲載)
三人共サイズ・プレイスタイルはバラバラですが、「高効率スコアリング・オフボールでの貢献・チームオフェンス全体を向上させていた」という点は同じです。
勿論この三人だけが成功例ではなく他にも沢山いますし、今後も新しいプレイスタイルでチームオフェンスを向上させる選手は出てくるでしょう。
そういった意味で私が今一番期待しているのは何と言ってもルカ・ドンチッチとマーベリックスです。
ドンチッチはルーキー時代から上記3選手らと比べても遜色ない大ボリュームスタッツを上げ、ドンチッチ2年目の2020にマーベリックスは当時史上No.1のOffRtgを記録しました。(3年後には16位になってるので、最近のインフレは恐ろしいです)
歴代OfffRtgランキング。2023/10/25時点。(こちらのランキングはSTATHEAD準拠なので前述Cleaning The Glassの数値とは違いがあります)
ドンチッチのオンコートOffRtgとオン/オフOffRtg。
2022までは、その目覚ましいボリュームスタッツと比べ「チームオフェンス全体を向上させる」という点では若干心許なかったんですけども、昨季2023は自身のシュート効率と共にオンコートやオン/オフOffRtgも向上させております。(2022までも、あくまで「上記3選手と比較したら」の話でリーグ全体内では充分エリートな数字です)
ドンチッチによるアイソレーションやP&Rを頻繁に繰り返し、ドンチッチ自身のスコアリング以外にもロブ・ダンプオフ・キックアウトでゴール下やスポットアップ3P等の高効率なショットを多く生み出すスタイルというのは、何かとロケッツ&ジェームズ・ハーデンを思わせます。
ロケッツ時代ハーデンのオンコートOffRtgとオン/オフOffRtg。
アイソレーションやP&R自体は古くからある戦術ですけども、未だかつてロケッツとハーデンほど頻繁に繰り返した選手・チームはいません。
2019アイソレーション頻度ランキング(チーム)。
2019アイソレーション回数ランキング(個人)。
しかし残念ながら優勝には至りませんでした。
特定の選手によるアイソとP&R偏重なオフェンススタイル(俗に言う「ヘリオセントリック」なスタイル)で優勝したチームはありません。レブロンにしろステフにしろヨキッチにしろヤニスにしろ「チームオフェンスの中心的存在でアイソやP&Rでも優秀」なのは間違いありませんが、あくまで選択肢の中の一つです。
だからこそドンチッチが楽しみなんです。このままのスタイルで優勝したなら前代未聞で新たな「掟破り」です。
ウォリアーズとステフには「アウトサイド主体のチームは優勝できない」なんて声がありました。逆にバックスとヤニスには「現代はアウトサイドとクラッチに頼れない選手が中心では優勝できない」、ナゲッツとヨキッチには「リムプロテクトとP&Rディフェンスが貧弱なチームは優勝できない」以下略
偉大な選手の初優勝ってのは大抵が私含め周囲が勝手に作ったセオリー・掟を覆すモノで、そのダイナミックさを持っていてまだ優勝していない選手と言えば、それはルカ・ドンチッチになるんじゃないかと思う次第です。
昨季プレイオフに出られなかったチーム・選手には時期尚早でデカすぎる期待かもしれませんけども、夢はデカくてナンボです。
話が大幅に脱線して長くなったので以下手短に。
昨季OffRtgで3位シクサーズとは何とも不透明です。
徐々に状況は変化しているようですがハーデンの去就は未だ不明。
高効率な2年連続PPGリーダーであり昨季MVPのジョエル・エンビードがいて、成長盛りなスコアラーのタイリース・マクシーらもいるシクサーズが直ぐに低迷するとは思いませんが、優れたプレイメイカーでエンビードとの相性も良かったハーデンがいなくなるのはオフェンス面で大きな損失です。
うーん、わからない。マクシーがプレイメイカーとしても開花するキッカケになるかもしれませんし、ハーデンが意を翻してシクサーズへ再びコミットするかもしれません。
次、昨季OffRtg4位セルティックス。
かつてのスターター、マーカス・スマートとロバート・ウィリアムズⅢがいなくなり、昨季6OTYのマルコム・ブログドンもいません。アル・フォーホードも開幕戦スターターからは外れる事となるそうです。
2022ファイナル進出スターター2人と昨季6OTYを放出する大改造。セルティックスという組織が如何に高い目標を持ち、誇り高き名門である事が窺えます。ほんっとに積極的なロスター改造をします。苦渋の決断でもあるんでしょうが。
獲得したドリュー・ホリデーはディフェンスの名手として知られ、バックス時代プレイオフでのオフェンス成績は振るわなかったものの、昨季レギュラーシーズンでは51得点も記録。
クリスタプス・ポルジンギスは昨季ウィザーズでキャリアイヤーを過ごしました。
大改造をしましたけど、ホリデーもポルジンギスも3Pには積極的で、従来のセルティックスのオフェンススタイルとは一致します。
従来とそこまで変わらないのか、それとも大きな変化があるのか、そのオフェンススタイルがどうなるにせよ、セルティックスがコンテンダー(優勝候補の一角)である事は疑っていません。
セルティックスのような攻守両方に優れた2wayプレイヤーを揃えたチームには不思議な安心感があります。レギュラーシーズンでは特に。プレイオフでは・・・・・神のみぞ知るところです。
以上。やっぱり長くなっちゃいました。昨季OffRtgで下位だったチームに期待する改善点とかも書こうと思ってたんですけど、↓に免じて御容赦下され。
今回はこの辺で。ではまた。