NBAにおける「ピック&ロール/スクリーナー/ロールマン」の重要度推移とTOP25ランキング、難しい。ドワイト・パウエル、モンテ・モリス、ヤコブ・パートルetc.

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NBAにおける「ピック&ロール/スクリーナー/ロールマン」の重要度推移とTOP25ランキング、難しい。ドワイト・パウエル、モンテ・モリス、ヤコブ・パートルetc.

以前投稿した「アイソレーション/1on1プレイヤーTOP25ランキング」記事中↓で、私「NBAの試合で“1on1”なんてないです。必ず他の8選手の影響/干渉を受けます云々」と書きました。

その理由の1つに、「現在のNBAは“スクリーン”を用いたプレイ全盛時代」というのがあります。
1on1の状況を作る前、「ミスマッチ」や「良い位置」を得るために“スクリーン”(つまり3人目の選手)を設定して、相手をスイッチさせたりボールを受け取ったりします。ここで“スクリーナー”が下手っぴですと、スイッチが生まれなかったりボールを渡せなかったり、最悪の場合はイリーガルスクリーンでターンオーバーになったりします。

ケビン・デュラントは史上屈指の1on1プレイヤーです。
その要因は「ジャンパーのリリースポイントと精度が高い」だけではありません。ボールを持つ前と後、相手ディフェンダーやコートを観察して、ピック/スクリーンを要求するorしない等、「より確率を高くするための意思決定が優れている」のも大きな要因です。
つまり“スクリーナー”は1on1プレイヤーにとっても大きな助けになる存在です。

さらにSynergy Sportsによれば、NBA各チームの「ピック&ロール」の使用率は、ここ7年30%を超えています。

以下のグラフは「ピック&ロールの使用率推移」です。(Synergy Sports、ESPNのKevin Arnovitz記者とKevin Pelton記者の記事から引用)

2021年7月のデータなので1年ほど古いですが、NBA.comで各種Freq%を見るに、昨季もそこまで大きな違いはないと思われます。©ESPN

ハーフコートオフェンスの増えるプレイオフともなれば、ピック/スクリーナーの重要性はさらに増すでしょう。

スクリーナーが関わるプレイはNBAの中で大きな比重を占め、上記ですらその「一端」に過ぎません。その重要度は非常に大きいと言えます。

ところが困った事に、このスクリーナー/スクリーンの貢献度を測るのは非常に難しいのです。
スクリーンか否かの基準、スクリーン成功/失敗の基準は曖昧です。はっきりと衝立(ついたて)のようなポーズをとらないスクリーンも存在します。
「スクリーンアシスト」(※)という公式スタッツも存在しますが、シュートを放つ選手の技量にも大きく左右されるスタッツです。そのまま「スクリーナーの評価」に用いるわけにもいきません。

※:チームメイトのFGに直接つながるスクリーンを設定した数

他にもピック後のロールでアリウープ/パスを警戒させてハンドラーにアドバンテージを与えたり、数字にしづらい貢献がとても多いです。

なのでスクリーナーの評価は無理です・・・・・・と私なら諦めるところですが、諦めずに頑張ってくれている方たちがいます。
今回も、その方たちの知恵と指標を拝借して、本記事をどうにか成立させるとしましょう。
スクリーンに関する指標をいくつかピックアップ。
以下はその’22ランキングとグラフ/散布図です。1000分以上出場者対象。2022/10/8時点。※画像クリックで拡大
各指標の詳しい説明はこちら→BBall Indexの用語解説

ざっくり言うと75ポゼッションあたりでのスクリーンアシストした回数(縦軸)とロールマンになった回数(横軸)
スクリーンの上手さを表す指標(縦軸)とピック&ロールorポップ、スリップスクリーンの頻度(横軸)

スクリーンをセットする前に、味方と相手の位置/状況を把握して、適切な位置と角度でスクリーンを設定しなければなりません。
「相手ディフェンダーとしっかり接触してからロールするのか、相手ディフェンダーに触れずスリップ気味にロールするのか」の判断と技量も求められます。
ロールした後は、ロールしていく先のルート選択です。「ポップアウトするのか、ショートロールなのか、ロブを受け取るべくリム向かってダイブしていくのか」、相手ディフェンスのカバレッジも見ながら判断しなければなりませんし、当然味方との連携/ケミストリーも必要です。

近代バスケットボールでは、オフェンススキームとディフェンススキームは非常に細かく細分化され、NBAにおいてはその一つ一つに極めて高い技量/身体能力/判断力/ケミストリーが求められます。
スクリーナーやロールマンは、その非常に細かく細分化されたスキームの中の1要素ですが、同時に多くの「攻防」「魅力」「見所」を孕んだ重要なファクターだと思います。
今後も注目していきたいです。

今はただ、偉大なる「縁の下の力持ち」たちに感謝と拍手を。

今回はこの辺で。ではまた。

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