NBA2023各チームのスターター&ベンチ+/-ランキング比較。/NBA過去20年のスタッツ推移と「平均/傾向」の留意点。/ウォリアーズ、セルティックス、デンバー・ナゲッツ、キャバリアーズ、峰不二子etc.

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NBA2023各チームのスターター&ベンチ+/-ランキング比較。/NBA過去20年のスタッツ推移と「平均/傾向」の留意点。/ウォリアーズ、セルティックス、デンバー・ナゲッツ、キャバリアーズ、峰不二子etc.

プレイオフとレギュラーシーズンの試合には多くの違いがあります。その違いの一つに「ローテーション(選手運用)」が挙げられます。

あくまで「傾向」ではありますが、大体のチームがレギュラーシーズンと比べプレイオフの試合ではスターターの出場時間が増えます。(ラプターズのニック・ナースHCやニックスのトム・ティボドーHCのようにレギュラーシーズンでもスターターに出場時間を多く割き、常にプレイオフのようなインテンシティ/強度を求めるコーチもいます)

そんなわけで、私はプレイオフ展望の際にスターターの能力/スタッツ/指標を重視します。チームスタッツと共にスターターのラインナップスタッツや中心選手のon/offスタッツを見比べてみたりするわけです。

ただ、「傾向」ってものは、何かを読み解くヒントであると同時にミスリードにもなり得ます。あくまで全体像を映したものでディテールがなかったりもして、そのまま「答え」として扱えるものではありません。

リーグ全体の傾向では10年前と比べて、1試合平均3P試投数は21.5から34.2。平均得点は101.0→114.7。ペースの上昇93.9→99.2以上の増加傾向を見せていて、eFG%も50.1%→54.5、OffRtg106.6→114.8。

過去20年のリーグ平均スタッツ一覧。※画像クリックで拡大

上記はあくまで「リーグ全体の平均」であって、必ずしも「リーグ全体の特徴」「各チームの特色や個性」を表しているわけではありません(※記事末尾で補足説明)。

「平均」や「傾向」が示す事以外にも重要な要素は山ほどあるでしょう。

というわけで、今季2023レギュラーシーズンを振り返る意味でも、今季ベンチスタッツをいくつか眺めてみましょう。

まず、ベンチプラス/マイナス(ベンチから出場した選手の得失点差の合計)ランキング。

ちなみにシーズン開始当初11月8日のランキングはこんな感じでした↓。

留意点として、ベンチプラス/マイナスはローテーション(オールベンチにするのか、スターターの出場時間をずらすのか等)によっても左右するので、この数字だけで「ベンチ・セカンドユニットの出来不出来」を判断するのは不適切です。

ただ、それでもウォリアーズベンチの改善は目を見張るものがあります。11月時点では-350だったのを-41にまで引き上げています。ダンテ・ディビンチェンゾ、ジョナサン・クミンガの躍動も目立ちました。

今季2023ウォリアーズの各時間帯のローテーションとプラス/マイナス一覧。

ウェスト1位ナゲッツはシーズン当初から更に悪化。

スターターの内ニコラ・ヨキッチと相性抜群なアーロン・ゴードンはセット運用にして、他スターターのジャマール・マレーやマイケル・ポーターJr、KCPは多少セカンドユニットに混ぜて起用もしてるんですけどね。
強豪チームで、ここまでスターターとベンチのプラスマイナスに差が出るのは珍しいです。

今季2023スターターベンチプラス/マイナスランキング。

セルティックスは唯一スターターとベンチ両方のプラス/マイナスランキングでTOP5入り。(キャバリアーズも惜しい)

開幕前のイメ・ウドカHC離脱騒動やロバート・ウィリアムズⅢ手術、ダニロ・ガリナリ負傷もなんのその。

マルコム・ブログドン、サム・ハウザー、ルーク・コーネット、グラント・ウィリアムズ(シーズン後半に調子は落としました)らは出場試合が多く、ローテーションをある程度安定できた事。
ジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンも比較的欠場が少なく平均出場時間は多くて、他セカンドユニットと出場時間を共有できた事。
この二つが大きいんでしょうか。



プレイオフではセカンドユニットが注目される事は少なくなります。

ただ、「優勝しよう」と思えばレギュラーシーズン終了から更に2ヶ月もシーズンが延長され、試合数が増える事になります。

全試合決して手は抜けませんが、頼れるセカンドユニットの働きによりスターターの休める時間帯が増える事は、優勝への大きな助けとなるはずです。

プレイオフと言えど、スターターのみならず、セカンドユニット含めたローテーションに要注目です。

今回はこの辺で。ではまた。

おまけ。

記事中の

「リーグ全体の平均」は必ずしも「リーグ全体の特徴」「各チームの特色や個性」を表しているわけではありません。

について少しだけ補足説明。

わかりやすい例を挙げますと

2020年日本の平均貯蓄額はおよそ1791万円でした。(2人以上の世帯)

ですが、対象世帯の3分の2は平均以下の貯蓄額。中央値(データを順に並べた時の真ん中の数字)は1061万円。

最頻値は100万円未満です。日本の世帯の10.1%が100万円未満の貯蓄額で、雑に言うと「2020年日本では貯蓄が100万円未満の世帯が最も多かった」って事です。

画像は財務省統計局から引用。

平均で見ると1791万円の貯蓄額でめっちゃ裕福に思えますけど、一握りの超裕福な世帯が平均を釣り上げたのであって、最も多いのは100万円未満の世帯。

誤解を恐れずに言うと、これは「平均/統計のウソ・矛盾」とも言われ、面白い部分でもあります。

フォーカスする値によって導き出される推論が違ってくるんですね。
今回は最頻値にフォーカスして「平均値に騙されちゃいけない。最頻値こそが実情を物語っている!」みたいな書き方をしましたが、勿論一概にそんな事言えるわけもありません。

バスケットボール・NBAの平均スタッツ/統計も似たようなもんです。リーグ全体で3Pやペースが増している事は間違いありませんが、それが全チームのプレイスタイルを物語っているわけではありませんし、各チームの間には大きな違いがあります。

選手のプレイオフ平均スタッツのようなサンプルサイズが小さく、レギュラーシーズン以上に状況に違い(対戦相手がバラバラ等)があるデータも要注意です。
プレイオフ経験の少ない選手は一握りの試合で平均値が大きく変動します。
「プレイオフ一回戦で比較的ディフェンスが不得手なチームとばかり対戦した選手」と「ファイナルまで勝ち進んでディフェンシブなチームとも対戦した選手」では平均スタッツの捉え方も違ってきます。

「平均」「傾向」「統計」ってのは便利で有能ですけど、時と場合によって姿かたちを変える油断ならない存在。

まさに峰不二子のような存在であります。

稀におっさんと化す峰不二子。
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