【NBA】ディフェンスで重要な「ショットクロックを浪費させる」という概念。ドンチッチ、ヨキッチ、ステフィン・カリーら残りショットクロック秒数毎のEFG%他ランキング。
まずはこちらをご覧ください↓。
2023レギュラーシーズン、各チームショットクロック4秒以下で打ったシュートのEFG%ランキング。
ショットクロック残り4秒以下でのEFG%は1位のチームでも47.6%しかありません。ショットクロック関係ないリーグ全体の平均EFG%54.5%を大きく下回っている効率です。
これがショットクロック残り4秒から7秒の間になると、各チームEFG%が10%ほど向上します。
2023レギュラーシーズン、ショットクロック残り4秒~7秒で打ったシュートのEFG%ランキング。
ショットクロック残り7秒から15秒も大体同じ数値です。
ショットクロックが15秒以上残っている状況で打つシュート、つまりファストブレイク・トランジッションオフェンスではさらに効率が上がっていきます。
ショットクロック残り15秒~18秒で打ったシュートのEFG%ランキング。
ショットクロック残り18秒~22秒で打ったシュートのEFG%ランキング。
ショットクロック残り22秒~24秒で打ったシュートのEFG%ランキング。
プレイオフでも同様の傾向は見てとれます。ショットクロックが少ない状況では効率が著しく低下します。
2023プレイオフでのショットクロック残り秒数ごとのPPP&FGAグラフ(シュート1本あたりの得点数と試投数グラフ)。
この傾向はステフィン・カリーやケビン・デュラント、ニコラ・ヨキッチ、ジョエル・エンビード、ルカ・ドンチッチら「高効率タフショットメイカー」「高効率ボリュームスコアラー」でも同様です。
ステフのショットクロック毎のEFG%他一覧。
KDのショットクロック毎のEFG%他一覧。
ヨキッチのショットクロック毎のEFG%他一覧。
エンビードのショットクロック毎のEFG%他一覧。
ドンチッチのショットクロック毎のEFG%他一覧。
つまり、彼らや相手チームのシュート効率を少しでも落とそうと思ったのなら、“ショットクロックを浪費させる事は非常に有効となり得る”。
問題は、「どうやって?」です。
↓画像は2023レギュラーシーズン2023/3/15時点での「相手ボールハンドラーをピックアップした平均距離」ランキング。元記事・引用元へのリンク
ホゼ・アルバラード183cm、アーロン・ホリデー183cm、ジェボン・カーター185cm、マイルズ・マクブライド188cm、T.J・マッコネル185cmらアンダーサイズの選手が目立ちます。
“ショットクロックを浪費させる≒相手のやりたい事をスムーズにやらせない→高い位置からボールプレッシャーを強くする”。
リムに近づいていって高さのミスマッチを利用されたら不利、だったら高い位置からアグレッシブに守ってスティールできたのなら万々歳、デフレクションやドリブルを多くさせてショットクロックを浪費させたのなら儲けもの。ホゼ・アルバラードらにはそういった考えもあったかもしれません(※)。
余談:ホゼ・アルバラードがブレイクしたての頃、AAU(全米体育協会、未来のNBA選手の発掘・育成の場でもあります)ではニンジャスティールを狙う選手が急増してコーチ陣一同苦笑いだったそうです。
逆に考えると、例えFGミスやターンオーバーを記録せずとも打つべき時に打たなかったり、ボールを長く保持していながらチャンスメイクを出来ずショットクロックを無駄遣いしてしまったオフェンス側の選手はチームにとって大きな不利益となり得るって事です。
つまり「ショットクロックを浪費させるorしない」の概念、超大事。
勿論シュートの成否にはショットクロック以外にも多くの要素が絡んでいますから、「ショットクロックを浪費させる」事だけを狙っても良いディフェンスにはなりませんし、「ショットクロックを浪費しない」事だけを狙っても良いオフェンスにはなりません。
しかし上手くスキームに組み込めば有効な概念ですし、1バスケファンとしても「影のディフェンス貢献者」を発見しやすくなる楽しい概念だと思います。
今回はこの辺で。ではまた。