データで見る「リムプロテクター」たち。アイザイア・ハーテンシュタイン、タイムロード、ラリー・ナンスJr、ルディ・ゴベア、ジャレット・アレンetc.
データサイトBBall IndexのHeadshot plotsを用いて昨季’22NBAのリムプロテクターたちを見てみましょう。Headshot plotsとは↓のような画像の事です。顔写真付きで可視化されているので色々と妄想しやすいのが最大の利点。
「リムプロテクト」はディフェンススキームの最後の方を担うので、POAディフェンス(ハンドラーや攻撃の起点に対するディフェンス)やペリメーターディフェンスの影響も大きく受けます。なので一人の選手を切り取って「リムプロテクター」として評価するのは非常に難しいんですけど、「こまけぇこたぁいいんだよ」の精神でPF/C登録1000分以上出場者を対象に調べてみようと思います。
代わりと言ってはなんですが、今回はいつもより多くの指標を使います。あくまでBBall Indexの指標によるものですが楽しんで頂ければ。
1
まず一枚目の縦軸はリムコンテスト/75(※1)で横軸がリムポイントセーブド/75(※2)です。
※1:75ポゼッションあたりでの、リム近くでのコンテスト(手をあげてシュートを阻止しようとする動作)の回数
※2:75ポゼッションあたりでの、リム近くで阻止した得点数。
アイザイア・ハーテンシュタインが右上で突出しています。昨季平均17.9分出場でトータル1216分出場とサンプルサイズは少なめですが共にキャリアハイ。36分換算ですとBLKが2.3とアグレッシブなディフェンスをするようです。ただ、その分ファウルも36分換算で平均4.9と非常に多いんでここらが課題でしょうか。’21は6.7、一年目は驚きの9.1!と、これでも良くなってきてるんですけどね。
他の36分換算の数字が16.7pts9.8rebと優秀なので「来季はスターターで見てみたかったなぁ」と思ったりもします。けどニックスで上手くミッチェル・ロビンソンと切磋琢磨してくれれば万々歳です。
次いで相手得点を阻止してるゴベアは流石というか当然というべきでしょうか。
2
次に見る指標は縦軸がブロックレートオンコンテスト%(※3)で横軸がリムデタランス(※4)です。
※3:コンテストに行った際のブロック成功率。
※4:直訳で「リム抑止力」となるとおり、その選手がコートにいる時のリム近くでの相手シュート頻度を示す指標。相手チームやリーグ平均を考慮に入れて計算される。
一枚目の画像では目立った位置にいなかったロバート・ウィリアムズ3世(以下タイムロード)とラリー・ナンスJrがそれぞれ突出した位置に。
タイムロードはコンテストの回数自体は多くないですがブロックの成功率が群を抜いています。一撃必殺って感じがして良いですね。
ナンスJrはリムプロテクターとするには身長は低いんですが、そのポジショニングや機動性で相手に「そもそもリム近くでは打とうと思わせない」というディフェンスが得意なのでしょうか。
ゴベアが左端にいるのはジャズがトラップのような形でゴベアの方へハンドラーを導くディフェンスしていたからでしょうか。ただ、最早その作戦もバレバレというか「ゴベアが外に釣り出される」「スイッチを強制されてハンドラーとの1on1を強いられる」で苦労してるシーンが日に日に増えてきてた気がします。
ちなみに一枚目で突出していたハーテンシュタインは赤丸の位置にいます。
3
次に見る指標は縦軸がファウルコミテッド/75(※5)で横軸がファウルトラブル%(※6)です。
※5:75ポゼッションあたりでのファウル回数。
※6:ファウルトラブルに陥った時間の割合。ファウルトラブルの定義は第1Qで2~5回、第2Qで3~5回、第3Qで4~5回、第4Qで4~5回、OTで5回のファウルをしている状態。
1枚目2枚目と違ってネガティブな面に焦点を当てていますが、割と大事で見逃されがちな数字だと思いますので取り上げてみました。1Qで5個以上のチームファウルは自動フリースローになるので、無駄にファウルを重ねる事は自軍の積極的なディフェンスを損なうなど自軍へ少なくないダメージを与えますから。
カール・アンソニー・タウンズ(以下KAT)のファウルトラブルは昨季大事な場面でもよく見かけましたから印象通りです。オフェンスで重要かつ大きな役割を持ちますから是非今後は修正してほしい点です。ゴベアの加入で守備機会は減りそうですが・・・・逆にさらに狙われるかも?
ゴベアは青丸の位置にいる通り、ファウル回数もファウルトラブルに陥る事も少なく、それでいて1枚目にあるようにリムでの相手得点を阻止しているのは流石です。左下にいるジャレット・アレンも素晴らしいです。
基本的にベンチから出てきた選手は(良く言えば)積極的に守ってファウルを重ねているようです。ジャマイカル・グリーンはイリーガル・スクリーンをとられまくってた記憶の方が強いですけども。メイソン・プラムリーはフリースローの打ち方変えたり試行錯誤と色々苦戦したシーズンでしたね。
ジェイレン・ジャクソンJrはもうずーっとアグレッシブにブロックしに行ってファウルも重むスタイルなので、ジェンキンスHCらコーチ陣から「もうファウルは気にしなくていい、ガツンといったれ」みたいな事を常々言われてるんじゃないかな、と勝手に思ってます。
感想。
毎度のことですが、ディフェンスの評価は難しいけれど空想の余地も多くて面白いです。特に「リムプロテクト」はチームディフェンスの形も反映されてるようで“奥深さ”を感じます。今回は6つの指標を使いましたが、それでも全く語りつくせてない感がありありです。
今回の「データで見るシリーズ」はここまで。ではまた次回。