2つの意味で「早くも」大物が姿を消すEuroBasket2022準々決勝、残酷。MVPが見せる寂しい後ろ姿。

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2つの意味で「早くも」大物が姿を消すEuroBasket2022準々決勝、残酷。MVPが見せる寂しい後ろ姿。

・スペイン対フィンランド

前半。
フィンランドはマルッカネンだけに依存せずよくボールを回し、各々が思い切りの良さを見せます。第1Q終了時にはバックコートからのブザービーターも。
フィンランドは前クロアチア戦終盤で見せたチーム全体での積極性をこの試合前半でも維持。マルッカネンの10ptsを筆頭に9人の選手が8、8、7、5、5、4、3、2とバランスの良いスコアリング。

スペインはインサイド、特にゴール下でははっきりとアドバンテージを得ます。フィンランドはリバウンドが取れない。シュートを止められない。侵入を止められない。前半だけでスペインのビリー・エルナンゴメスFG5/7で13pts、フアンチョ・エルナンゴメスFG4/6で10pts。チーム全体で11ものオフェンシブリバウンド。
しかしスペインはインサイド攻めから派生した3Pがとにかく入らない。前半3P3/16で3P%19%。

前半終わって43-52でフィンランドが9点のリード。

後半。
ビハインドを背負ったもののスペインはフィンランドの弱点(インサイド)をはっきりと把握していますから、当然そこを攻めます。ディフェンスでも相手の勢いを削ぐべく各選手へのプレッシャーを強くします。
各選手へプレッシャーを強くすれば当然マルッカネンへスペースを与えやすくなります。しかしスペインの名将セルジオ・スカリオロHC、ボールを持ったマルッカネンには即ダブルチームを送る“そつのなさ”。思い切った先手を取ります。
マルッカネンはスコアを稼ぐも他選手はペースを乱されミスが目立ちだし、第3Q開始5分で早々にスペインが逆転。

そしてマルッカネン以外の地力の差も目立ち始めます。
フィンランドディフェンスはとにかくスペインのオフェンスを止められない。エントリーパス/ハイローを警戒すれば抜かれるor打たれる、ハンドラーへのチェックを厳しくすれば中を突かれイージースコア。相手のシュートが落ちるのを祈るのみ状態。
オフェンスではスペインのボールプレッシャーにタジタジ。マルッカネンにボールを渡せられないどころかゲームメイクが出来ない、プライマリーアクション(オフェンスの初動)でターンオーバーを量産してしまいます。随所でマルッカネンは得点しますが、インサイドでは圧倒され3Pも決まり始めたスペインにフィンランドは他になす術もなく。

試合結果は100-90でスペインが勝利。ビリー・エルナンゴメス27pts。マルッカネン28pts11reb、ミカエル・ヤンタネン18pts。

フィンランドは前半に最大15のリードを得ましたけど、その時点でも見てて「この試合は兎も角、10試合やったら9試合くらいはスペインが勝ちそう」って印象でした。それほど攻守でのインサイド差は一目瞭然でしたし、バックコート陣のスキル差もはっきりしていました。スペインの3Pが入らないことでフィンランドはリードを得ていた部分も大きかった印象です。

スペインは後半のアジャスト、先手の打ちっぷりが見事でしたね。ボールプレッシャー強くするだけでなくマルッカネンには早め早めのダブルチーム。
マルッカネンには流石の活躍を許しましたが、フィンランドのポイントガードEdon MAXHUNIには22分出場FG1/6の2pts4ast3ファウル5tovとほぼ仕事をさせませんでした。ターンオーバーからの得点差は実に33-12でスペインが圧倒。

スペインおめでとう!やっぱり強豪はNBAスターがいなくても強豪です。(エルナンゴメス兄弟には申し訳ない言い分ですが)

フィンランドはお疲れ様でした。サス・サリンは「THEシューター」な思い切りの良さで見ていて気持ちが良かったです。そしてなんといってもマルッカネン、来季ユタ・ジャズの試合でよろしく。

・ドイツ対ギリシャ

第1Q。
ギリシャはドイツの3Pを止められず、ドイツはヤニスを止められず。第1Qドイツの3P8/12、ヤニスはFG6/7の13pts4ast。31-27でドイツが4点リード。

第2Q。
お互いディフェンスレスというよりはタフショットも決めきるスキルの高さ・タレントが際立つ試合展開。
シュルーダーは1on1で相手を抜く、プルアップ、ファウルをもらう、エンドワンと多彩に活躍しディフェンスではボールへ飛びつくハッスルを見せます。
ヤニスはただ一言アンストッパブル。
ギリシャのコスタス・スロウカスのハーフコートラインからのブザービーターで前半終了。57-61でギリシャが4点リード。ドイツFG18/34,3P11/17。ギリシャFG23/38,3P6/14の超ハイスコアな試合展開。
ギリシャは第2Q残り6分にヤニスらしからぬアンスポーツマンライクファウルこそあったものの、ヤニスFG8/11で19pts8ast、タイラー・ドーシーもFG5/7,3P2/3の13ptsと後半へ順調な出来。
ドイツはアンドレアス・オブスト3P4/5,15pts、シュルーダーは15pts6astを記録するも前半終了間際には不用意なミスが続き後半へ「若干の不安」を残します。

第3Q。
・・・・・・開始6分で20-1のランをドイツが決めます。
「若干の不安」なんてありませんでした。ドイツは相変わらず、まぁ3Pが決まること決まること。フランツ・バグナーの2連続3P。ダニエル・タイスはジャンパーを決め、リバウンドでも本領発揮。
ギリシャはヤニスの個人技で抵抗するも第3Qは26-10でドイツが圧倒。83-71でドイツ12点リード。
タイスのブザービーターで締めくくったのも大きく、勢いはドイツに。

第4Q。
第4Q頭は休憩させるも残り8分半にヤニス投入。
ヤニスはすぐにエンドワンを(かなり怪しい判定でしたが)得るなど怪物ぶりを発揮しますが、バグナーがそのヤニス越しにステップバック3を決め勢いを渡しません。じりじりと時計が進んでいきます。

そして試合終了まで残り5分、96-82でドイツが14点のリード。まだわからない。試合は自ずとフィジカルになりボックスアウトのもつれでタイスへファウルコール。

・・・・なんですけど様子がおかしい・・・関係ない場所でなにやらドイツ選手が審判に抗議・・・・審判集まる・・・画面にリプレイ流れる。ヤニスがリバウンドをとった相手選手の顔面をラリアットしてしまってるシーンが。顔面より上にあるボールをハタこうとした結果、上腕二頭筋らへんが顔面に当たってしまった形で故意のラリアットではないと思います。しかし危険なプレイには変わりなく・・・・・

ヤニス、この試合2度目のアンスポーツマンライクファウル。

残り5分でまさかのヤニス退場!

・・・・その2分後にはドイツのリードは22に広がり、完全に気持ちが途切れました。私の。

試合結果は107-96でドイツが勝利。シュルーダー26pts8ast、バグナー3P5/7で19pts、オブストも3P5/7で19pts。ギリシャはヤニス31pts7reb8ast、ギアンヌリス・ラレンザキス3P4/4の18pts。

どちらのチームにもあまり偏らずフラットに見ていましたが、この結果は寂しいです。
ドイツが勝ってギリシャが負けたからではなく、判定に不服があるのでもなく、あのヤニスが試合中にコートを立ち去る姿や試合後の佇まいに「心中察するに余りある」と言いますか。ショッキングと言いますか。

不可解だったのは残り4分にシュルーダーも1度のやり取りで2回テクニカルファウルをもらい退場した事ですかね。審判が不穏な空気をリセットしたかったのでしょうか。シュルーダーと相手コーチが口論しての1度目は兎も角、リプレイ見ても2度目が謎です。なんだったんだろ?少し気になります。

なにはともあれドイツはおめでとう!なんだかんだバグナーの活躍は嬉しいです。シュルーダーもようわからんポカするの含め愛嬌があってよろしい!

ギリシャはお疲れ様でした。ヤニスは色々なインタビューや記事でその思いを知っただけなので「気持ちがわかる」とまでは言えませんが、母国/代表チームへの献身には日本人の私も感じ入るものがありました。
来季NBA、今後の代表チームでの活躍に更に期待させてもらいますが、今は束の間の休息を。

・・・・・・・MVP2人がこんなに早くいなくなるとはなぁ、先人達やヌルキッチの言う通り「EuroBasketでは何が起こっても不思議ではない」です、ほんとに。

https://twitter.com/BasketNews_com/status/1569786571359981570
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